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Settlement

「どうした?かかってこないのか?」

グラヴィーテは少し警戒した様子でこちらを伺っている。1体1には持ち込めたものの、一切勝てるビジョンが見えない。

「まぁそんな焦るなよ。俺のスキルが知りたくないか?」

そんなことを言いながら勝ち筋を少しでも見出そうとするが、

「なんだ?大方時間稼ぎといったところか?」

グラヴィーテには見透かされていた。

「来ないならこちらから行くぞ!」

そう言うとグラヴィーテは周囲の小石を宙に浮かせる。極力重力で飛ばせるものの少ない場所を選んだつもりであったが、砂や小石のある場所は避けられなかった。

(クソっどうしよう、)

グラヴィーテは宙に浮かせた小石を物凄い勢いでこちらに飛ばしてきた。俺は避けようと努力はしたものの、数が多いこともあり、小石が掠る度にダメージを食らった。

(中々ダメージがデカイな、)

「避けてばかりでどうする?」

グラヴィーテは煽ってくるが返している余裕はない。こうしているうちにも体力は半分を切ろうとしている。

「もしやお前、攻撃に長けた能力を持っていないのか?」

核心をついた発言に動揺したせいだろうか。一瞬動きが鈍った翔の腹部に小石が直撃した。

「ウグッ!」

(スキル「死んだふり」を発動します。効果により一定時間無敵を得ます。)

(もう発動しちまった、後がねぇ)

この世界でのLvは上がるにつれて次のLvに必要な経験値が増えていくが、翔はLv6であり、LvUPには、少なくとも3回は「死んだふり」の発動が必要であった。

「フンッ 本当に耐久力はあるようだな。Lv6とは思えない程だ。」

グラヴィーテは小石を食らっても無敵のためにダメージを受けていない翔を見て、一旦攻撃を辞めた。

「グラヴィティ ホールド」

グラヴィーテはそう唱えると、翔の体は地面に押さえつけられて身動きが取れなくなった。

(またか!このままだと何も出来ずに死にそうだ、)

「グラヴィティ パニッシャー」

詠唱と同時に、宙に浮いた大量の小石が1点に集められた。

「これで終わりだ。」

グラヴィーテは、そう言うと、小石の塊をハンマーのように振り下ろした。

(クソっこれで終わりか、、)

(ビトゥンピース「擬死の魂」を獲得しました。)

本来、固有スキルは元から全ての機能を発現しているわけではない。例えば翔の場合、スキル「死んだふり」は、ある条件を達成したことで無敵を得るという効果が追加された。このように何らかの条件で発現する追加効果の中でも、秀でて強力な追加効果の発現に必要なピースがビトゥンピースである。ビトゥンピースの獲得は容易なものではなく、そのスキルに関連している場合が多い。

(「擬死の魂」の獲得条件、スキル「死んだふり」発動中の死亡確定を達成しました。「擬死の魂」の獲得により、スキル「死んだふり」に以下の効果を追加します。

「スキル「死んだふり」の発動中に何らかの事象により死亡が確定した際、自身のステータスの内 防御 の数値を30秒間600%増加する。この効果は再発動に24時間必要。」)

グラヴィーテの攻撃は確かに翔に直撃した。しかし、効果により防御数値が一時的に7800までも跳ね上がった翔にグラヴィーテの攻撃は蟻のパンチのようなものであった。

「何故だ?なぜ生きているのだ?何故平然としていられるのだ!!」

グラヴィーテはそう言うと、何度も小石の塊を振り回した。しかしこれが、誤った判断であった。

防御数値の伸びる効果は既に終了していた。しかしそんなことは一切問題でないかのように翔はダメージを受けなかった。

(打撃によるダメージを一定数受け切りました。スキル「打撃耐性」Lv1がスキル「打撃無効」LvMAXに進化しました。)

(スキルの進化を確認。相応の経験値を付与します。レベルアップしました。)

「打撃無効」を得た翔には「グラヴィティ パニッシャー」が一切効かなかった。「打撃無効」の判定はシビアであり、例えば小石を飛ばされた際、掠ればダメージを受けるが、直撃してもダメージは受けないと言ったようで、本当に打撃、体への衝撃、といったものを無効化するようであった。

「そうか、本当にダメージを受けないようだな。」

そういうとグラヴィーテは手を上に振り上げた。

「お前は強い。そこに誠意を示し、俺の全力でお前を殺してやろう。ブラックホール!」

そう言うとグラヴィーテの前には小規模のブラックホールが生成され始めた。

重力操作と聞いて重力を操ることができるというのは容易に想像がつく。しかし、その汎用性という面では、遥かに想像を超えた応用も可能である。重力の向きを変えて引き寄せたり反重力で空を飛んだりはもちろんのこと、空間を強力な重力で歪ませることで、重力弾や重力波を飛ばせる他、空間転移なんてことまでもが可能になる。ブラックホールはそれらの究極系とも言えるであろう。しかしその代償は大きく、体力が最低値になる上、重力の全てをブラックホールに収束するために、その他の重力操作による技の一切が併用出来ない。また魔力消耗も大きい。

(なんだこれぇぇ絶対死ぬって。)

ブラックホールに翔は吸い込まれた。

(スキル「死んだふり」を発動します。効果により一定時間無敵を得ます。)

ブラックホールに吸い込まれたものは、粉々になって中心部に持っていかれる。無敵の効果は、ダメージを無効化するが、重力などに逆らえるわけではないため、体はそのままの状態で中心部に吸い込まれていくこととなった。しかし、気がつくと翔は地面に立っていた。目の前にはグラヴィーテが倒れている。翔との勝負で既に魔力をかなり消費していたグラヴィーテは、ブラックホールを長時間維持できなかったようだった。魔物のような、魔力をマナとして生きている生物にとって、魔力の枯渇は絶体絶命を表す。そのため魔力が枯渇すると身動きが取れなくなるようだった。

翔はゆっくりとグラヴィーテの方へ歩いていく。

「くっ、この俺が負けるってのか、、」

グラヴィーテは近づいて来る足音を聞いて段々と息を荒くしている。

「グラヴィーテ、お前の敗因は自暴自棄になったことだ。」

そう言い放つと翔は、体力が1になったグラヴィーテに留めを刺した。



天羽 翔 Lv7

スキル「死んだふり」Lv2+1「痛覚耐性」Lv1「打撃無効」LvMAX「圧縮無効」LvMAX


体力 180

知力 48

筋力 31

防御 16

スピード 24

魔力 12


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