スキル「死んだふり」ってそれはないでしょう!?
………は?
「ステータスウィンドウオープン」と唱えた後、目の前に表示された情報はとても衝撃的なものであった。
天羽 翔 Lv1
スキル 「死んだふり」
体力 120
知力 27
筋力 12
防御 5
スピード 7
魔力 3
いくら転生したばかりで何も分かっていないといえどこのスキル「死んだふり」がハズレスキルであることくらい分かる。例えば二階堂のスキルは「神聖力付与」。身体に神聖力を付与し、様々な神々の加護を受けることができるというものらしい。いかにも主人公らしいスキルだ。また、夢宮のスキルは「神回復」。自分を含め、対象を回復する。腕が切れたとしても一瞬で治癒できるレベルらしい。
俺の「死んだふり」って何?
説明を見ると、
瀕死時、死んだふり状態になる。思考以外の全ての機能が停止する。
と書いてある。
(このスキル何に使うんだよ、、、)
俺はどうやらとんでもなく弱いスキルを手に入れてしまったらしい。
「よー翔 スキルどうだった?」
こいつは鹿鳥 優馬 俺の唯一の友人だ。
「、、、死んだふり」
「っw」
「笑うなよ。そういうお前はどうだったんだ?」
「えー俺か?鳥獣操作。」
スキル「鳥獣操作」。自然界の動植物と会話したり手伝ってもらったりできるスキル。索敵とかにかなり役立ちそうなスキルだ。
「いいなぁー。なんだよ死んだふりって」
「まぁそう気落とすなって、きっと使い道があるさ。絶対、、、いや多分?、、、もしかしたら。」
「さらに自信無くすわ。」
「それでは早速 実践演習をしましょう。」
マロリーがそう言うと、俺らは訓練場のような場所に案内された。
「今から二人一組のペアになって実際に戦ってもらいます。演習ではこの木刀を使用してもらいます。」
木刀といっても、魔力で強化されているらしく、鈍器として人を簡単に殺せる程度には殺傷能力がありそうだ。
「なぁ翔。俺と勝負しねぇか?聞けばお前、死んだふりとかいうクソ雑魚スキルらしいじゃねぇかwww」
こいつは真島 健斗。何かと俺に絡んでくる嫌なやつだ。
「あれれぇ?ビビってんのか?カス」
ここまで煽られては乗るしかない。鹿鳥にはあんな奴の挑発に乗らなくていいと言われたがそれでは男が廃る。
「いいぜ、乗ってやるよ」
そう言うと真島は何か企んでいるような笑みを浮かべ嫌な予感しかしなかったが気にしないことにした。
「それでは、実践演習開始!」
マロリーの合図とともに、真島は飛びかかって来る。守りの体制に入ろうとすると、真島がいきなり消えた。
(消えた!?)
そう。これが真島のスキル「透明化」
(厄介だな、どう対処しよう。)
そう思ったのも束の間。
「グブッ」
腹部に強い衝撃が走る。どうやら木刀で殴られたらしい、俺は地面に座り込んでしまった。即座に立とうとするが中々足に力が入らない。
(想像以上にダメージ食らってるな、)
その後も一方的に木刀で殴られ続けていると、ピロンと目の前にステータスウィンドウのようなものが表示された。
(体力が10パーを切りました。)
いくら異世界転生したといえども所詮は人間。強化された木刀なんかで殴られ続けたら流石に死ぬ。
(マズいな…)
「降参、ストップ!」
真島にそう伝えるも止まってくれる気配はなく、体力は5パーセントを切った。
(スキル「死んだふり」を発動します。)
そんなウィンドウが表示されるとともに俺の身体に力が入らなくなり、視界は真っ暗、耳にも何も入ってこなくなった。
(……死んだのか?その割には頭が良く冴えている。なるほど、これが「死んだふり」の効果か。)
どれくらい経っただろうか、視界が開くと、周りには生徒たちが集まっていた。真島はマロリーに注意されている。夢宮が助けてくれたのだろうか。
「ってて、、、」
「まだ安静にしてなさい。」
「やっぱり夢宮が回復してくれたのか?」
「いいえ、私は何もしてないわ。」
「じゃあなんで、、、」
するとそこにマロリーが来て、
「理由は分かりませんが、あなたはレベルアップしたようです。レベルアップすると、ステータス上昇と体力、魔力の全回復、稀にスキルのレベルも上がります。」
と説明してくれた。
(なるほど。おそらく「死んだふり」は発動すると経験値も上がるのだろう)
って事は、、、、死にかければ死にかけるほど強くなる………?
天羽 翔 Lv2
スキル「死んだふり」
体力 132
知力 30
筋力 19
防御 7
スピード 13
魔力 5