空白の城壁
「入るか、、、」
疲労と引け目から力の入らない足をなんとか引きずりながら王都城壁門の前まで来た翔は、かれこれ30分ほど城内に戻るかどうか迷って右往左往していた。ついに決心をした翔は、王都に足を踏み入れると、とんでもない光景が待ち受けていた。
「何も、ない?」
城壁の中は、人どころか、建物の一切が無かった。考えてみればおかしな話だ。受付もなく城壁内に足を踏み入れることができたのだから。
ーーーーーーーーーーーーーーー二時間前ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「やはりみんなで助けに行くべきだ。」
クラスの大半が反対する中、二階堂だけはなんとか翔の援護に行こうとしていた。
「彼は私たちを助けようと行動してくれたのよ。それを棒に振るうなんて一番可哀想な話じゃない。」
夢宮は二階堂の意見には全く応える様子はなかった。カーストで言えばツートップの2人が対立しているのである。当然クラスメイトは二階堂派と夢宮派の二つに分断された。
とは言え、夢宮派のクラスメイトの方が圧倒的に多かったために、二階堂派側の意見は、程なくして潰される結果となった。
「君たちが反対するというのなら僕らだけでも彼を助けに行く!」
二階堂派そういうと城門の方へと進み始めたが、
「スパイダーウェブ」
蜘蛛川 束音の固有スキル「蜘蛛の糸操」により拘束されてしまった。
「離せっ、」
二階堂は抵抗しようとしたが蜘蛛の糸はびくともしない。
「なぜそこまでして僕を止めるんだ!」
二階堂は納得できず大声を上げるが、
「あなたは私たちの中で主戦力。死なれたら後々が大変よ。それにあなたもさっき魔人と戦って、手も足も出ないことは実感したでしょう?」
夢宮の正確な指摘に何も言い返せなくなってしまった。
「なら彼を見殺しにしても君らは平気なのか!」
二階堂はなんとか諦めず説得しようとするが、夢宮には、一切譲る気配がないようだった。
「今は、彼を信じましょう。」
そう言われてついに二階堂も諦めたようであった。
「とりあえず今は少しでもここから離れよう。僕の転移スキルは、転移するもののサイズや転移させる距離に比例して発動所要時間も延びるんだ。30分もあれば王都ごとどこかに飛ばせると思うよ。」
緊迫した空気の中、そう言い出したのは間鳶 転太であった。
「彼がもし戻ってきた時のために、転移先を記しておこう。」
ーーーーーーーーーーーーーーーー現在ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なんだこれ?」
翔は、ふと辺りを見回すと、地面に「再会はクリミナリアで」と刻まれているのを見つけた。
「クリミナリア?」
クリミナリア王国。この国は土地がとても広く、国を追加で3つは作れるほどのサイズがあった。そのため国を転移させるのに丁度いい場所であった。ここからはドストリアルの森を抜けてすぐのところにあるが、ドストリアルの森は平均100レベル台の魔物がウロウロしているためとても危険である。避けて通ろうにも、片側にはエンプレス山脈、もう一方にはエルメスの谷といった形で、どちらにせよクリミナス王国に行くのに移動は困難であった。
「さて、どうするか、」
翔は、王都にやっと着いたかと思えばまた歩かなければならいことに億劫さを感じながらも、歩き始めたのだった。
天羽 翔 Lv43
スキル「死んだふり」Lv2+1「痛覚耐性」Lv1「打撃無効」LvMAX「圧縮無効」LvMAX
体力 2480
知力 343
筋力 312
防御 278
スピード 126
魔力 85




