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バーサクスプーン〜みなしご幼女と二人旅〜  作者: ぴいたん
3略奪のハレルヤ
9/82

1ヒナの涙

 流石のムートも限界だった。

 何せ二日間ほとんど眠らずに移動と戦闘を繰り返しているのだ、ムートでなくても無理はない。

 ハラーソの町に着くなり宿を取り、ベッドに横になるとそのまま寝てしまった。

 一方でヒナは、同じ室内で夜空を見上げていた。

「どこにいてもお月様は見えるのね」

 空には双月がやさしくヒナを見下ろしていた。

「どっちがお父さんでどっちがお母さんかしら」

 じっと見上げるも、よくわからなかった。ヒナは首から下げている少し大きめのネックレスを握った。

「お母さん……」

 言ってさらに寂しくなった。思い出したのだ、自分が一人ということを。

 涙が流れてくる。とめどなく流れてくる。

「どうしてわたしを置いていっちゃったの?」

 嗚咽を漏らしながらヒナはしばらく泣く。

「わたし……わたし……」

 どうしようもない悲しみと、母の恋しさがヒナを襲っていた。それも仕方ない。ヒナはの年齢は十歳程度、まだまだ甘えたい年頃なのだから。

 しかし大声では泣かない。ムートが起きてしまう。それはなんというか申しわけがなかった。

 ヒナの命を何度も救ってくれたムート。まだなんの恩返しもしていない。それだというのに、眠ることすら妨げようとしている。よくない。よくないが今はどうしようもない。

「ダメじゃないヒナ、しっかりなさい。あなたはこれからがんばらなきゃいけないのよ」

 その後、ヒナは床の上に毛布をひき、その上で寝た。

 そんなヒナの様子を、ムートが察知していないワケもなく、そっぽを向いて寝続けているフリをしていた。

 そして考える。このままヒナと一緒にいてもいいものか? ヒナはこの先、早かれ遅かれ自立しなくてはならない。それは年齢的にではなく精神的にだ。今のままではムートに依存して生きることになるだろう。しかしそれではいけない。それをやってはいけないのだ。

 ではどうしたらいいか? 考えながらもムートは窓の外の双月を見やる。

「アマレ……お前ならどうする?」

 アマレなら「自分で考えなさい!」と一言だろう。

「ったくよ、考えてるよ」

 でもどうしようもないこともある。ムートは一生懸命考える。そして、一つの結論に達した。


「どこへ行くの?」

 ヒナの質問にろくすっぽ答えず、宿を出たムートはある場所へと向かっていた。

「あったあった」

 それはこの町の教会だった。

「おーい誰か居ないかー?」

「教会に用があったのね」

 すると奥の方で掃除をしていた男がゆっくりとした歩調で現れた。

「はい、何の御用で?」

 明らかにやる気と覇気が感じられない。だが、神父で間違いないようだ。

「頼みがあるんだが」

「なんでしょう? 話なら概ね聞きますけど」

「この子を預かって欲しいんだ」

 思わず笑顔が歪んだのはヒナだった。

「ムート?」

「はあ、お預かりですか? 何日くらいでしょう」

「この子が成人するまで。金は前払いでも構わないぜ」

「ムート!」

 思わず声を荒げたヒナを二人はじっと見やる。

「こちらの、お嬢さんにはまだお話しされていなかったのですね」

 ムートは「すまねえ」と謝る。

「かしこまりました。ではとりあえずお茶だけでも飲んで行かれませんか? お二人ともで」

 神父の誘いに乗ったムートだった。ヒナは断固辞退のかまえだったが、ムートが教会の中に入ると、二人だけで話させるわけにもいかず、ヒナも教会の中へと入っていった。

はじめての人も違う人もこんにちは作者のぴいたんです

「バーサクスプーン〜みなしご幼女と二人旅〜」

読んでみていかがだったでしょうか?

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そう思われた方はぜひブックマークと↓に行ってもらって、星5つの高評価お願いします!

これからも楽しい小説を上げていきますのでよろしくお願いします!

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