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ep27-閑話:ナターシャの世界平和RTA 3時間24分01秒

 私は魔王を継承して次の日の朝に、動画のネタ……もとい世界を平和にすべく『覇王』と『厄災の獣』を因果に基づいて処分し、『邪神』を懐柔すると決めた。最速で。


『では、計測開始』

「はーい、よーいスタート」


 世界平和RTA始まるよー。



 まず、エルリック北方にある初代魔王の立てた『覇王の墓』に出向き、会合と同時に禅問答を仕掛けてくる、髭面でイケオジの青白い霊体――覇王バレスタリオスに『そんなんだから初代魔王の母親に振られるんだよ』と剛速球を投げて一撃で散体させた。


「ヨハ、タダ、セカイノ、タメニ……」

「良いか覇王、女性は世界よりも自分を大事にしてくれる男が好きだ。王としての責務なんて他人に任せて捨ててしまえ」

「ソウカ、レンアイ、とは……ハハ、ははは……」

「ただしイケメンに限るから注意な」

「ぐあああああ……――」

「ついでにおっさんになると金目当ての女しか来ないから注意な」

『やめて差し上げて下さい我が魔王(マイロード)、覇王は既に成仏されました』

「勇を失ったな」


 いくら世界最強だろうと恋は難しいらしい。


 次はエルフォンス教皇国中央、聖女が代々守っているという『大神殿』を訪れ、三下ムーブをしながらも虎視眈々と下剋上を狙っている『厄災の獣』の封印を解き、完全復活させた後にスキル【真贋魔王の手エンド・オブ・エルキング】で獣の首根っこを掴み、飼い主――『影の王国』の元に届けた。


 影の王国とは、ユリスタシア領に繋がった猫脈の猫要素そのもの。

 ようは影猫――月影黒猫ルナシャドー・ブラックキャットが暮らしている国だ。

 私はエルフォンス教皇国からユリスタシア領まで、そのステータスに物を言わせて飛び、イルミニャティマークの直上で止まると、影の王国に入るための詠唱魔法を使用した。


「【躾のなってない犬っころめ! 今から飼い主の元に届けてやろう! 幻影潜航(ファントム・ダイブ)】!」

『ギャオオオオオ――――――!?』


 冗談のような詠唱だが、これが正規である。

 作成者は四代目魔王、『契約制定の魔王(コントラクト・キング)』である従属の悪魔。

 名前を言ってはいけないので、これ以上は言うまい。


 黒い神狼フェンリルに千を超える赤白目・金の瞳を植え付けたようなフォルムの『厄災の獣』を盾にしながら、純粋な力そのものである猫脈を潜航していく内に、厄災の獣から今まで食べたであろう人や魔物の『存在』がバラバラと剥がれていった。

 これが、邪神が都合よく利用していた『不死の軍勢』の真の本体。

 失われた歴史とでも言うべきだろうか。


 ま、厄災の獣は食べた『存在』を一つ残らず剥がされ、ただの一匹の影小犬に戻った頃に、ようやく影の王国に到着。その世界を収める『影の女王』に返却し、その犬に四代目魔王が送ったという『従属の首輪』を付けてもらった。これで万事解決だ。


 黒い女性型の実体――影の女王は喋れないので、静かなる儀礼をされた後、感謝の印として『龍の鱗』を送ってくれた。

 そしてそのまま、この空間ごと消滅する道を選んだ。

 またペットの犬が逃げないように。


 んー、ここらへんの説明は難しいんだけど、彼女とそのペットは高次元生命体。

 つまり、空間が消えてもどっかで生きているのだ。

 神様や天使ちゃん、もしくは悪魔に近しい存在といえば良いんだろうか。わからん。


 ま、スペースファンタジーのような難しい説明は投げ捨てて。

 ペットをちゃんと届けたおかげか、影の女王様は私たちの世界を大分と好いたらしく、夜間になると影猫と一緒にお忍びで出没するようになったらしい。

 犬と違って猫は無害で可愛いからヨシ!


 ……え? 邪神?

 ああ、マグナギアの活動家達がカルト教団になって生み出そうとしてたから、慌てて干渉しに行ったけど、『中二病の精霊』が宿った例の『暗示魔短剣サジェスチョン・ダガー』とスラム孤児らしい黒髪の少年が召喚の儀式に乱入して、邪悪なる信仰と力を全て強奪していった。

 いやはや、惚れ惚れするほどに王道の悪堕ち主人公ムーブだった。

 彼らと再び相まみえる時が楽しみかも。


 まぁ邪神信仰は完全に消滅!

 世界が平和になったので攻略終了!

 私は計測係兼撮影班のリズールと共に帰宅し、タイマーストップした。


「――はい帰宅! リズール、タイムは!?」

『記録は3時間24分01秒です。他に走者が居ないので世界一位ですね』

「やったー!」


 バンザイしながらぴょんぴょんと飛ぶ私。

 リズールも珍しく、私と同じように飛びながら喜んでくれた。

 これでもう目の上のたんこぶは無い。

 幸せな学生生活を謳歌しよう。

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