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ep16:ナターシャ領主代行、北方からの女旅人と出会う

 ここはユリスタシア村から少し北に行ったところの草原。

 いわゆる放牧地だ。

 そこでフォリア監督率いる劇団幼女と話し合ったが。

 結局はこう答えるしかなかった。


「やっぱりさ、神様に祈るしかないんじゃない?」

「他に方法はない、か」


 フォリア監督も自力での解決を諦めたようだ。

 彼女はゆっくりと立ち上がり。

 お尻を軽くはたいてから言う。


「分かった。スランプを抜け出せるように協会でお祈りしてくる」

「「「私たちもー!」」」


 劇団幼女たちもフォリアに続く。

 今居る草原を出て、農道を進むらしい。

 協会に向かうようだ。


「あ、天使ちゃんも行くー!」


 ついでに天使ちゃんも付いていった。

 信徒が増えるのは嬉しいことなのだろう。

 でも待って欲しい。


「天使ちゃーん、そのまえに撮影機材返してー?」

「ごめーん! 今日から本当にメンテだからまた今度ねー!」

「早くしてねー!」

『うん! 急ぐから安心してー!』


 そのやり取りを最後に。

 劇団幼女と天使ちゃんはるんるんと去っていって。

 草原には私一人だけ取り残された。


「ぶー」


 機材を返して貰えなかったので一人でむくれる。

 生配信は、最初こそ戸惑いがあったが。

 今ではすっかり日常の一部に溶け込んでいて。

 配信しないと気分が乗らないのだ。


「あー暇……」


 具体的に言うと魔王候補モードが切れる。

 私は原っぱに寝っ転がると。

 大の字で太陽の日差しを浴び始めた。


「もー何もしたくない」


 さらに、私のつよつよステータスはやる気やテンションと連動しているので。

 モチベが保てなくなるとLv相応の値に戻ってしまうのだ。

 それには一つの原因がある。

 説明……いや、見たほうが早いか。


「ステータスオープン」


 魔法が起動し、ブオン、とステータスが表示された。


 ―――――――――――――――――――――――


 Lv20/99

 名:ユリスタシア・ナターシャ

 年齢:8歳

 職業:魔法使い

 称号:合成の魔女

 8021/8099exp

 利き手:両手


 HP500/500

 MP∞/∞


 ATK:10

 STR:5

 MATK:600

 INT:200

 DEF:50

 RES:600

 AGI:100

 LUK:8


 武器1(左):なし

 武器2(右):なし

 頭:魔王候補の魔女帽子

 体:魔王候補のゴシックワンピ(体・腰共通)

 左腕:黒長手袋

 右腕:【終式封印】【除去・着脱不可】

 腰:魔王候補のゴシックワンピ(体・腰共通)

 脚:黒タイツ

 足:革のブーツ


 アクセサリー:

 ケットシーの白金指輪

 転移の指輪


 乗り物:

 なし


 魔法適正(魔法攻撃倍率)


 ALL:10


 ―――――――――――――――――――――――


 所持スキル一覧


 剣術Lv0 身体能力Lv1

 魔法適正Lv3 回避術Lv1

 会話術Lv1 中二病LvEx

 詳細鑑定Lv4(MP100)

 異次元収納(インベントリ)(MP1000):Legend【封印】


 神の加護:Legend【封印】

 魔法創造:Unique

 熾天使の紋章:Unique

 初代魔王の血筋LvEx:Legend【封印】


 固有スキル


 未来は我が手中に有りカタストロフ・ピリオド:Fate【封印】

 過去は我が魂に在りアイギス・オブ・アルカディア:World【封印】

 魔眼・因果観測眼(ラプラス・アイ)【封印】


 称号スキル

 魔女の熟練操縦術(箒):Rare


 装備の効果

 終式封印(※解除条件外のため強制発動※ 

 封印効果:能力値・スキルLvが大幅に低下

      ランクLegend以上のスキルを完全封印


 解除条件(下記のどれでも可)

      やる気を出す

      鍛錬を怠らない

      気力を振り絞る

      面倒くさがらない

      鍛錬を怠らない

      魔王候補としての威厳を保つ

      鍛錬を怠らない

      思い立ったらすぐ行動

      鍛錬を怠らない

      ?????????????? )


 ―――――――――――――――――――――――


「ちょっとサボるとすぐこれだよ……」


 ステータスから目を外し。

 指輪以外は何もない右手を見ながら呟いた。

 実は終式封印、あの時から私の右腕に宿ったままになっている。


「あ、右目の魔眼が消えてく」


 呟いた通り、金色だった右の瞳が元の蒼色に戻った。

 封印されたからだ。

 そのままパチクリお目々の両方が蒼くて。

 無限に可愛いだけのクソザコ銀髪幼女に戻ってしまう。


「おのれウィスタリアめ……」


 どうやら大賢者ウィスタリア。

 魔眼を覚醒させる役割を担っただけでなく。

 私が暴走して世界を滅ぼさないための制御術者として。

 魔眼を通じて天界から干渉してくるのだ。

 リズール曰く『魔王に目をつけられないため』に必要な処置だったらしい。


「たまには何もしなくてもいいじゃんかー。いつも頑張ってるじゃん」


 さらにやる気をなくしたり、こうしてサボったりすると。

 魔眼生成時に組み込んだ封印術式を利用して。

 チートスキル・ステータスを封印してくる。

 解除条件を見るに『常に魔王候補たれ、努力を怠るな』と言いたいらしい。


「あーもう……」


 たしかに次期魔王に正式決定したようなもんだし。

 期待されるのも分かるけどね。

 でもいい加減、出るべきところは出るべきだと理解した。

 この際だからはっきり言わせてもらおう。


「だったらさ、直接指導しに来なよ。この時代にいるんでしょ?」


 ちょっとマジギレすると、ブオン、と一つのウィンドウが表示される。


 ―――――――――――――――――――――――


 大賢者のヒント!


 パワーが不足しているようなので、

 重点的に鍛えてみましょう。


 ―――――――――――――――――――――――


「時流に乗ってんじゃないよ!」


 思わずウィンドウを殴りつけた。

 バァン、と木材を殴ったような音が鳴ったが、ウィンドウは無傷だった。

 私の拳だけがヒリヒリする。


「くっそ……」


 赤くなった手をなでなでした。

 この大賢者、たまにこういうことしてくる。

 魔法技能の無駄遣いだ。


「ふーんだ、今日はもうよわよわナターシャちゃんで居るもんねー」


 ウィンドウを消し、拗ねてそっぽを向く。

 私だって一人の人間なんだい。


「……ふぁ、ふ」


 横になっていたら大きなあくびが出る。

 弱体化すると眠気に襲われやすくなるのだ。

 昔なつかしの感覚。

 まだ女児だったころを思い出せるね。


「このまま寝よっかな」


 夢うつつのままぼーっとしていると。

 農道を、北の方角から歩いてくる旅人らしき人影が見えた。

 剣を装備しているところを見るに剣士だろう。

 仲間の姿が見えないので一人旅らしい。


「……冒険者さんかな?」


 ちょっとだけ本気で観察した。

 防具は革鎧、平民の服、そして銀髪で蒼い瞳の女性だ。

 首に赤いスカーフを巻いている。

 何というかヒーローにあこがれてそう。


『おや、そこにいるのは……』


 すると軽装の女旅人は、草原で寝転がっている一人の幼女に気付いた。

 嬉しいのか、とても爽やかな笑顔で駆け寄ってくる。


「こんにちはお嬢さん! いい天気だね!」

「こんちはー」


 私も軽く挨拶を返した。

 どうやら交流せにゃならんようだ。

 眠いけどしょうがない。


「お姉さーん。お名前はー?」

「私の名か!?」


 私は体を起こして座った。

 近くにしゃがみ込んだ女旅人さんは、嬉しそうに言葉を返す。


「名は『アンネリーゼ』と言う! 君の名前は!?」

「私? 私はフェレルナーデだよー」

「そ、そうか、変わった名だな。君との出会いに感謝を」

「出会いに感謝をー」


 見知らぬ人用の定型文の挨拶を終える。

 女旅人さんもといアンネリーゼさんは私の隣に座った。


「早速だが、君に聞きたいことがあるんだ」

「はい」


 で、こう尋ねてきた。


「ユリスタシア家のご令嬢を知らないか?」

「え?」


 いきなり何なんだろうこの人。

メンタル回復したので書いていきます。

あとメンタル砕けた原因が投稿予告なので辞めます。

でも今週中には投稿再開します。


ちなみにアンネリーゼはあのアンネリーゼです。

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