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36 バーベキュー大会優勝

 バーベキュー大会が一通り終わって。


「優勝、私!」


「いやいや私でしょ⁈」


「優勝って何?」


「わ、分かんない……」


 そんな小競り合いが妹軍団の中で行われている中、俺とみくるはキャンプ用の椅子に座ってまだ空をぼーっと見ていた。

 ま、マジで食い過ぎた……」


「腹がはち切れそう……」


「え、えぇ⁈ えいちゃん大丈夫⁈ 私が抑えててあげようか?」


「いやいいから。っておい腹抑えんな。より出ちまいそうになるだろうが」


「じゃ、じゃあ擦る?」


「俺は妊婦か」


 そうツッコむが、みくるは何かしないと済まないらしく、腹を擦り始める。

 なんだか変な気持ちだ。 

 みくるは赤子を撫でてる時のような表情で俺の腹を撫でてるし、俺はちょっと眠くなってきた。


「よく食べたね~」


「今度は俺赤子か。立派な17歳だぞ?」


「立派かどうかは知らないけど、私にとってえいちゃんはまだまだ子供だなぁ」


「じゃあそれでいいから、水くれ」


「はいはい♪」


 たいそうご機嫌なみくる。

 俺に庇護欲をそそられるとは……まぁ俺としては楽できるしいいんだけどね。


 そんな中、妹軍団といえば……。


「私がたくさん肉を食べたから、私が優勝だと思います!」


「いやいや、私はちゃんと野菜も食べたんだよ? 加奈はお肉ばっかり食べてた!」


「そこ重要なの? っていうか評価基準何……」


「私はもうわからない……」


 まだ誰が優勝なのか、加奈と花が争っていた。

 ちゃんとバーベキュー大会してたのかよ。


 まぁ朝日と三ツ谷はついて行けてない様子だけど。


「あぁーもういい! 弁天君! 審査員に任命!」


「……は?」


 椅子に座って読書を嗜んでいた弁天に飛び火。

 ドンマイ弁天。そういう日もある。


「誰が一番バーベキュー王にふさわしいか、審査して!」


「めんどいから僕で」


「「えぇ~⁈」」


 またすぐに読書をし始める弁天。

 あんなに気まずそうにしてたのに、いつからお前そんなに成長したんだよ……。


「百点の回答……」


「弁天君面白すぎ……」


 悔しそうにしている加奈と花とは打って変わって、腹を抱えて爆笑している二人。

 いいな、青春してんな。


「くぅ……しょうがない。弁天君優勝!」


「……」


 弁天ノーコメント。

 これはニュースター誕生の予感だな。

 たぶん、読書に集中してるだけだと思うけど。


 加奈は悔しそうに、弁天に花の首飾りをかけた。

 ……すげぇ似合わねぇな。


「あいつら、ほんと元気だな。俺とほんと一つしか違わないの?」


「えいちゃんは最近老化が進んでる気がするよ。一緒に朝ウォーキングでもする?」


「俺朝起きれないんだよなぁ……」


「じゃあ私が起こしに行ってあげようか?」


「勘弁」


「むぅ~」


 拗ねたように頬をぷくっと膨らませてそっぽを向くみくる。

 全く、ほんとに表情豊かな奴だ。


「いつか、な?」


「……約束だよ?」


「あぁ」


「指切りげんまんは?」


「……どうぞどうぞ」


 恥ずかしい気持ちはあるが、みくるはこれも断ってしまえば本格的に拗ねてしまいそうなので受け入れる。

 するとほくほく顔で、指切りげんまんをしてきた。


「指切りげんまん嘘ついたら一日私のいうことき~く」


「は? それ針千本飲むのと等価なの? やばく――」


「指切った!」


「……」


「んふふ」


 小悪魔的な笑みを浮かべるみくる。

 俺はそれに苦笑することしかできなかった。


 一方、妹軍団はこの二人の姿を見て、またしても同じことを思ったのだった。



「「「「(真の優勝者はこっちだったか⁈)」」」」



 


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― 新着の感想 ―
[一言] うん、優勝者は間違いなく、あの二人ですね! 二人でいれば常に勝ち組ですか。そうですか。羨ましいですな(笑)
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