表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/38

33 久しぶりの雅樹登場

「えーでは、羽目を外しすぎないように。あと、勉強も忘れずになー!」


 担任の先生の話なんて誰も聞いていなくて、各々これから何をするだの何が楽しみだの話している。

 かくいう俺も夏休みの諸注意なんて聞いていなくて、単語帳に目を落としていた。


「お前はこの夏どうすんだよ。ってかこんな時でも単語帳とは……やっぱり愛の力は偉大だな」


「お前何言ってんだよ。お前も夏休みで浮かれてんのか?」


「そりゃもちろん。高二の夏なんて最高の夏に決まってる」


「でもお前の彼女受験生だろ?」


「ほぼ指定校推薦確定」


「……これだからハイスペックカップルは……」


 何話ぶりだよ、とツッコみたくなるほどに友人キャラとは思えないほどの登板数を誇っている雅樹。

 こいつは相変わらずカッコいい。


 でも、今の俺の目は雅樹よりも単語帳を欲しているけど。


「お前は、どうすんだ?」


「うーん……特に予定はない。強いて言うなら、図書館で勉強の予定ならある」


「お前が勉強ねぇ……」


 まぁ高一の時なんて赤点常連だったんだから、訝し気な視線を向けられてもおかしくない。

 ただ、ちょっとムカつく。


 ほんとは俺だって勉強したくないのだ。

 でも鬼教官のみくるさんが、勉強しろってうるさいもんで……。


「ん? どしたの?」


 みくるが振り返って俺のことを見てくる。

 どうやら俺がみくるに視線を向けていたことはバレバレらしい。

 恐るべし幼馴染……。


「んん、何でもない」


「そっか」


 みくるは俺にニコッと微笑みを浮かべた後、前を向いた。

 みくるは先生のありがた~い話をしっかりと聞いていて、やっぱりこいつはずっと優等生だなと再確認する。


「お前、あんな可愛い女子が近くにいんだから、夏休み楽しまない手はないよな?」


「……さぁ?」


 ぶっちゃけ、楽しむ気満々である。

 ただ、行きたいところがない。いや、みくるとだったらどこでもいいんだけどね?


「俺は海とか行ったりするけど?」


「……何それ自慢?」


「本人の前で言ったら確実に殴られるだろうけど、ぶっちゃけ水着姿見たさに誘った」


「思春期だなぁ」


「女子高校生の彼女の水着姿を見れんのも今年で最後だからな」


「じじくさ。ってかキモいな。人生何周目?」


「ピチピチの高校生で、ただいま絶賛一周目」


「ピチピチってのがじじくせぇな……」


 まぁ見た目は完全にイケメン好青年だけど。


「あとで有海あみさんに言ってやろ」


「え? ちょっとそれは待てよ俺死んじゃうよ」


「彼女に殺されるなら本望だろ?」


「そんな特殊性癖ねぇって。ってかなんで有海さんと通信手段持ってんの?」


「雅樹の弱みを教えてくれってこっそり教えてもらった」


「有海さんめ……」


 拳に力を入れる雅樹だが、少しうれしそうだ。

 やっぱりこいつ、Mなんだろうな。


「まっ、とにかくこの夏楽しまない手はないぜ?」


「わかってるっつの」


「お互い楽しもうぜ」


「おう」


 そんなことを話していると、気づいたら担任の先生の諸注意は終わっていて、キーンコーンカーンコーンと夏休みの始まりを知らせる鐘が鳴り響いていた。


雅樹久しぶり……忘れてなんていなかったよ?


新連載二本始めました。

「大人気モデルになった幼馴染が幼い頃に交わした俺との約束を果たすために帰ってきた件」

「クラスの地味な女子と根暗な男子が実は大人気モデルだと誰も知らない」

です。ぜひ見てくださいまし!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ほう、女の子と海か…リア充の証だな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ