規格外の金持ちと規格外の異世界の神
《日本・横浜・埠頭》
『21:57』
巨大な桟橋に、恐ろしく巨大な船が曳航していた。
世界を巡る船がある。
今現在、アメリカと言う国が二隻、イングランドが一隻、アラブの王族が二隻、世界を巡る巨大船がある。
クイーンエリザベス号、2世号共にアメリカのある起業が所有している船である。
乗組員1578人、季節、期間にもよるが常時2000人以上の乗客を乗せていた。
レンは、偽造屋から言われた待ち合わせ場所で待っていると。
程無く、黒塗りの馬車が音もなく止まっていた。
アラビア語『お前さんがレンと言う男か』
英語『……ああ、偽造屋から紹介された。貴方が〇〇〇〇・ラバーゼスですか?』
英語『そうだ。見た目アラビア系かと思ったが、違うようだな?』
英語『祖母が、アラブ人だとは聞いてますが、残念ながら、言語までは』
英語『ふむ、変わった瞳だが、確かにお前さんからはアラブ人に通じる血を感じるな、歓迎しよう、遠い同胞よ』
英語『感謝する。過ぎ去りし同胞よ』
レンの返しに、ちょっとだけ笑みを浮かべ、口髭を生やしたアラブ人〇〇〇〇・ラバーゼスは、リムジンに乗るよう促してきた。
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レンはこの異世界に来て、初めて馬車、車と呼ばれてる種類のリムジンの中に入る。
『ほう~、思ったよりもシックな作り、きらびやかで丁寧な職人のオーダーメイドと思われるシートだ』
に座る。リムジンは緩やかなスピードで、滑るように走り出した。
レンが知っていた。高級な普通の馬車だと横並びに、座席を作るのだが。
リムジンは違うようだ。
『フム普通は、進行方向の方に勢いが向かうから正面に座席を作るのだが、此方の世界だと違うのか?』
ネット検索すると。
『リムジンとは高級車に該当か、縦に座席を作るのは、道路を綺麗に舗装してあるから可能なのか、なるほど確かに、尻に感じる不快感と跳ねるような、痛みを感じないな』
ネット検索では、車なる物の詳しい仕組みは見ることは出来ないが、お金を手にしたら、解析用に幾つか購入を検討していた。
『魔道具としたら、色々な可能性が広がりそうだ。そうだな魔法アイテムも案外売れるかもな?、売りの宝石とは別に一般的なUPの付与がされてるアクセサリーも見せてみるか』
【収納】のスキルとサングラスに繋げて、手持ちの宝石を宝石箱に分けていく。
『此方の宝石は驚くほど小さいのに高価だ。魔力を溜める性質の宝石は安そうだ。しかしスピネル=スピード、アンバー=腕力UPの効果が二倍だ。これ等は向こうでも安価だ。此方には魔法アイテムや付与がされてるアクセサリーは無い筈だ。売値は高めにしないとな』
検討してみると人間の100mの世界タイムを、指針に上げて考えると。運動エネルギーなんちゃらとか、検索すると出てくる。
『裏の世界には、付与がされてるアクセサリーがありそうなのだが………』
思った結果は得られなかった。
『しかし、このシートは素晴らしいな』
リムジンの中は縦にシートが作られていて、4~6人なら、ちょっとしたパーティが楽しめる作りになっていた。
『こうした馬車を作る技術を人間が持つとは、感嘆に価する。それに面白そうな技術を持つに進化をするものだな………』
アースガルドでは、此方の世界と比べると。後数千年単位は時間が必要になるだろうか、
ただあのままアースガルドで従属神として、活動してたら…………、
『考えるだけで最悪だな』
あの世界は、まだ若い。いやようやく神々の手から、人間達の手に委ねられた世界だ。
色々と不具合が出るのは当たり前だ。
『此方の言葉にすると。ハードのわりにソフトが貧弱過ぎるようだからな、あの神々だけだと。成長するのにも、一万年単位の時間が掛かりそうだ………』
神となったが、元は人間であるレンにとって、非効率な下請けなど、冗談ではなかった。こっちがかなり本音なのが、逃避した理由であった。
『俺は、駄神達の為に、77柱の神々を封じたんじゃ無いんだがな………』
ただ世界が、人間の成長を望み。増えすぎた悪神と邪精霊を封じさせるため、レンを産み落とされたと。レンはそう考えていた。
『今さらアースガルドに、俺は必要ないさ、こいつらもな………』
創造のカードに封じた神々に、そっと触れた。やがて封じた神々は、カードの付属ギフトで無に帰る。
その長い年月を掛けてる間に、契約者であるンの固有スキルに変化して行くのだ。
最後に、神々はカードから消えて行くだろう………、
『いつの日か………ね』
果たして、
『何万年掛かることやら…………』
そっと吐息を吐いた。
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リムジンが止まったのは、埠頭に近い最高級ホテル、ホテルリザイア、裏と表、両方の権力者から絶大な支持と独特な権力をもって、中立を認められたとされる場所である。
全世界で17ヶ所しかなく。
数少ない日本でありながら国内の法が利かない、そんな秘密の場所であった。
外観は明治時代に作られた古い洋館である。
しかしレンが古びたエレベーターに乗ると。〇〇〇〇・ラバーゼスは、黄金で作られた獅子の鍵を。エレベーターに差し込む。
━━━━地下に、エレベーターが降りていった。
やがてエレベーターが示す表示は、
地下B2を過ぎて、振り切りように一周して、ようやくエレベーターが止まった。
再び黄金の鍵を回すとエレベーターの反対側の奥が開いて、真新しいエントランスが眼科に広がっていた。
『ほう~。面白そうなからくりだ』
元の世界だと邪精霊や従属神、悪霊王、リッチが広大な亜空間を作り出した迷宮に住んでいた。
『権力者も自分の墓や迷宮を作りたがったが、此方の世界も似ているな』
ただアースガルドだと墓を作る権力者は、リッチやスペクターになってしまい、悪神の従属や邪精霊になってしまい。負の遺産を数多に産み出していた。
ホテルリザイアの玄関になるようだ。
『これはまた…………』
英語『驚いたようだな』
英語『ああ………』
素直に頷いたレンに、さもありなんとラバーゼスは頷いた。
英語『このホテルリザイアこそ、我らが主の持ち物になるのだ』
英語『………それは凄いな』
自慢げに、主なる人物を語るラバーゼス、しかしレンにも、此ほどの施設を作り出し、また国に認めさせてることの二つに、感嘆の溜め息を吐いた。
『僅か、二日しかこの世界にいないが………』
この場所が、いかなる権力を持って、密かに作られたか、それを考えるだけでも笑みを浮かべていた。
英語『………ほ~う、笑えるのか、お前さん大したものだな』
英語『そうかな?、なんかこうワクワクしないか、こう言う秘密の場所って知るとさ』
英語『ああ~、何となく分かるぜ、秘密基地だろ』
英語『そうそう、森とか、洞窟とか、地下にとかにね』
英語『確かに違いないわ~、お前さん面白い奴だな!』
ラバーゼスにとって、初めて会う若い主の客ではあるが、
所詮は、小さな島国日本にいた。ファミリーのボンボンと聞いていた。とるに足らないと思ってたが………、
これが侮れない人物と分かり、楽しくなっていた。
この物語はフィクションです。人物名、固有名称は創作物ですのでご了承を。