異世界のチンピラ、裏社会2
あれからレンは男達と話をした。男達のリーダーである奥住とは、手打ちとした。その上で、色々と誤解してるようだが、レンにとって都合がよく。利用することにした。
「そうか………、お前さん何処かのファミリーの御曹司だったのか」
「父のファミリーの名前は出せないのは申し訳な~いです~」
「あっ、いやそうだろうぜ」
(日本のヤクザとは違うファミリーは、ある意味ヤバイからな。手打ちにしてくれて助かったぜ)
冷や汗を拭いながら、男臭い顔を拭っていた。
男、奥住に案内させて、レンは日本に滞在するため、奥住に偽造屋の仲介を頼んでいた。
勿論仲介料に先に20万ほど弾んだら、二つ返事で案内してくれた。分かりやすい男である意味助かっていた。
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二人が訪れたのは東京にある。小さなお店が無数に並ぶ通り、
「ご、ゴールド?、お金通りって読むのでしょう~か?」
「この辺りは歌舞伎町からも近くてな、ある意味最後の無法地帯なんだぜ」
意味ありげに奥住が笑う。恐らく闇の住人、日本のマフィアとか呼ばれてる。昔懐かしい場所とか言っていた。
奥住は入り汲んだ小さな裏通りを幾つか通り、萎びたバーを訪れていた。
奥住には仲介料の他に、紹介料に20万と金貨五枚をここで渡した。金貨一枚日本円で、18000程になったので、仲間と別けてもそれなりの利益が出たはずだ、
笑みを浮かべたので文句はないようだ。
「じゃあな、なんかまたあるなら、電話しろよ」
足取りも軽く。偽造屋に挨拶した奥住は帰っていった。
「外国人さん、何を作るのかね?」
免許だけなら20万、住所込みで50万、住民登録込みなら100万、おまけでアパートとパスポート付きなら300万だそうだ。
「ならそれで、支払いは金貨にします。プラチナで払います?、宝石の原石でも良いですが………」
「…………おやおや、これはなかなかなお客のようだ、あんな外れ者の奥住が連れてきたにしては。上客だったようだね」
初老のマスターが、弧を描くように狐目を上機嫌に細めた。
「………そうだね。なら金の方が使い勝手はいがなね。あるかい?」
奥住が言っていた金の価格が上がっているとか言っていたな。24金1グラム5300、
金貨一枚18金だったので18000~24000の間だ。
100グラムづつの小さな板を。7枚。
「余りは情報料だ」
「………なるほど、答えられるならね」
「宝石の原石と加工済みのがかなりある。まとめて取引してくれる組織か個人を頼む。割安でも、ある程度は我慢するよ~」
「…………ほ~う。どのくらいかね?」
「……そうだな、少な物からそうでもないものまで、それなりにあるかな」
なるほど………、何処かのカルテットのファミリーのボンボンかと。男は察した。だから奥住は追い剥ぎなんてせず。友好的にしてたのかと納得する。
(この坊や、上客だったね)
男は、安アパートじゃなく。男が所有する高級マンションの中でも、有数の物件を坊やに与えることにした。
(あそこは中立だ。物件としての価値もある。仲介料引いても悪くない金になるはずだな)
「………酒は、いける口かね」
「そうだ~、蒸留酒があるなら頼めま~すか」
外国人なら、自国の酒を頼むのが普通だ、拘りがある者が意外と多いからだ。
しかし青年は、蒸留酒と指定した。何よりも場馴れもしてる。いやし過ぎてる。
(ボンボンにしてはね。うむ外国の工作員って線は消えたね)
初老の男とて、国に睨まれてまで、非合法はやらない、ある一定の必要悪と認められているのだから。
「………坊や、普段何を飲んでるんだい」
やや興味を抱いて、訪ねたら。偽造屋を営むようになって35年、初めてのことだ。
「多分、こっちにはない珍しい酒で~す、飲んでみますか?」
「………飲んでみたいが」
何も持ってないような………、
(そう言えば、坊やは何処から金の延べ棒を?)
レンは何気ない手付きで、何処からともなく小型の樽を出してきた。
「………なっ!、何も無いところからから樽が………」
(………嫌々、小型の樽って言っても)
レンは小型の樽を持つと、更に青みがかったグラスも出して、樽をカウンターに乗せた。
並々と中身が入っていたようで。重そうな音がした。どうみても30キロはありそうである。
(これはいったい、どうした物かと思い悩む)
「こいつはまた、古そうな樽だね」
初老の男もバーを営む。酒の知識はそれなりにあった。趣味で古い酒を集めた時代もあったから、それに気付いた。
「家にあった、古いお酒で~す」
古い技法のコルクがされてるのを見て。ゴクリと喉を鳴らしていた。
(こいつは樽だけでもいい値段しそうだな………)
完全なオーダーメイドな樽なんて。初めて見た男は、恐る恐るコルクを抜いて。レンが用意したグラスに酒を流した。
すると暴力的なまでの、芳醇なオークが醸し出す香りが、店内を覆い包むではないか。
(こっ。こいつは最高級の蒸留酒だ、………多分。葡萄酒から作られてるからブランデーだね)
「さあ親父さん、御近づきに一杯飲まないか」
「………ぜひとも」
優男は、カウンターの奥に。そのまま小型の樽が置ける器具を設置していた、銅を加工して作った専用の注ぎ口を取り付ける。
「これはお近づきに差し上げるよ。コックを捻れば出るからね」
中身は、入れ換えが可能であること。幾つか取り扱いの説明を受けた後、早速一口。
ガツンとした辛みがまだ残ってるが………、
「美味い………実に美味い」
「それは良かった。こいつは僕が畑から拘って作ったからね。まだ若いけどおいしいよね」
(………なっ、なんと。ワインナリーを運営しておる一族か、通りで裕福な訳だ)
妙な納得をしていた。
「こいつに好みの酒を入れて一年置いとくと。熟成するから。また楽しめるって、作者に聞いたよ~、大事にしたらこの樽も、30年は使えるそうだよ」
(………そうつは素晴らしいな。ある意味、酒の財産にもなるしな)
上機嫌になった男は、きちんと仲介することを決めた。
この小説はフィクションです