小金持ちな暗殺者2
探求者ギルドの職員に案内されて、夕べ訪れた執務室を再び訪れる。
職員がノックをすると。
「どうぞ」
入室を許可された。
「失礼致します。ミキオ様をお連れ致しました」
「ご苦労様、下がって良いよ」
職員が一礼して去った。
「さあ座りたまえ」
「はい」
にこやかに促され、素直に従った。
(うむ、悪い結果ではないようだな、どうせ政治的にとか、あ~だこうだとか嘴を挟んだ。小物がチョロチョロしたって所だろ)
ミキオは、大体の中りを付けた。
ファロンは、にこやかに微笑みながら、
「単刀直入に言うと、君を襲撃した傭兵は、所属していたクランに奴隷として買われた」
奴隷は二名、傭兵として名も売れていたため、それなりの金額で売れたこと。小さな皮の袋を渡してきた。
「中身の確認をしてくれたまえ」
「はい」
言われるまま、硬貨らしき物が入ってる皮の袋から、手のひらに中身を広げた。
「大金貨二枚と金貨7枚になる」
(まだこの国の貨幣価値が分からないが、恐らくで考えれば10進方式だろうな、金貨1枚が10万くらいと考えると270万くらいかな?)
「結構な金額ですが、宜しいのですか?」
何となく多い気がして訊ねたら。
「よく分かったね。君のいた国も貨幣は似てるのかな?」
(探ってきたか………)
ミキオは外国で仕事をすることもあって、一両小判は掴みで持っていた。
「これを………」
ファロンは艶やかな布を受け取り眉を潜める。
「少し前まで、僕のいた国で使われていた貨幣、一両と呼ばれる金貨です」
ようやくミキオの意図を察した。
花をあしらった精緻な布をめくると、数枚の変わった型の金貨が出てきた。
「おぉ~、これは不思議な型だが、一枚一枚、職人が作ったのが分かる」
(これは精緻な布といい、間違いなくこの大陸では見たことのない証拠だ)
ちらりミキオを伺い見た。
何となく察して、
「一枚を残してくれるのでしたら、残り四両とそちらの染布はお譲り致しましょう」
「そうかい?!、いや~悪いね」
ファロンの笑みが深まる。
「所で、この染め布は他にも?」
「ええ持ち込んだ数は少ないですが、お譲りしましょうか」
「おぉ~、頼めると嬉しいよ」
暗殺の仕事中と言うことで、持ち込んでた荷物は少ないがあった。
コンパクトな革製の肩掛けを腰の所に隠してあったのだ。
「ちょっと失礼致します」
上着を脱いで、肩掛けを取り外した。
「ほぉ~、変わった型の鞄だね」
目を輝かせたファロンに、やや気圧されながら、肩掛けの中身を広げる。
「此方も見て見ますか?」
「是非頼むよ」
鼻息も荒く、意気込む。
幾つか持ち歩いていた草木染めの布、時に包帯変わりに使うため薬草を煮詰めて、色を着けさせてある物は、別にしてあって良かったとか考えながら、
ファロンは好奇心を満たすため、革製の肩掛けを丹念に調べて行く。
(素晴らしい…………、僕達騎士にしても、旅人にしても、これは非常に使える物だね)
感嘆の溜め息を吐いた。
(特に色々なポケットがあるのが良いよ。何かを取り出すとき、いちいち鞍から外さなくて良いし、馬に乗りながら、道具が出せそうなのが実に実用的だ)
ちらり、ちらりミキオを伺っていた。
「えっと………、それを差し上げて構わないのですが」
「本当かい!」
「何分オーダーメイドの一品物でして、どこかで良い皮も譲って貰えるのでしたらお譲り致しましょう」
「おぉ~!、何だか悪いな」
上機嫌に笑うファロンに、ミキオは笑みを浮かべながら、小さく舌を内心出していた。
(あれは俺の手作りさ、高く買ってくれよ聖騎士さん)
様々な持ち物を肩掛け込みで、売ることになった。
「いや~、いい買い物をした気分だよ」
「此方こそ感謝致します」
礼儀正しく、目礼をした。
『大金貨10、金貨7枚』
大体の貨幣価値も、ファロンと話してる内に聞き出していた。
小判一枚=大金貨一枚、大金貨四枚
肩掛け鞄=大金貨四枚
草木染めの布5枚はプレゼントとした。
「これは僕から」
金貨10枚を御礼に貰った。
「ありがとうございますファロン様」
「うんうん、また何かあったら訊ねておいで」
ファロンから紹介状まで書いて貰えた。
(権力者からの紹介状ゲットだ)
これは何かと使えるだろうな、よっぽど肩掛け鞄が良かったのだろう、
「じゃこっちが、僕が有してる皮の中でも良いものだ」
ファロンが布の袋を渡してきた。
中には緑かかった爬虫類か何かの鞣した革だった。
「これは…………」
「僕が仕留めたワイバーンの鞣した皮膜だよ。倉にそこそこ貯まってた物で悪いが」
「…………いっ、いえありがとうございます」
(流石はファンタジー、竜とか居るのかよ!)
「喜んで貰えて良かった。またねミキオ君」
「お世話になりました」
深々頭を下げるミキオを。優しい顔で見送るファロン。
見えなくなるまで見送ると足取りも刈る。屋敷に向かって行った。
この物語はフィクションです。




