暗殺者
《地球・日本》
朝日が目に染みる。
俺は、すっかり慣れた足取りで、JR関内駅で降りていた。
平日の朝、通勤とかとは真逆に歩く。向かうのは中華街だ。
左手に横浜スタジアムを見ながら向かっていた。
近頃は、食べ放題の店ばかり増えてるよな、
まあ~俺みたいな、わけありな闇の住人には、あまり関係のない話だがな。
そうそう、今の俺の名前は、憲屋敷幹雄だ。
無論本名じゃないぜ。名字も、名前も適当に偽造屋から買った物だ。
だから名前で呼ばれると。困るし、慣れてないから。一瞬戸惑うこともあるがな、
昔風に言えば、師匠の忌み名である【王輪】又はオウリンっとかで、呼ばれてる事が多いな。
まあ~俺が暗器使いって、呼ばれてるのもあるだろうし、伝説の暗殺者である師匠の唯一の弟子であるからな。最近はそう呼ばれてるようだ。
俺が得意にしてるのは、暗器と呼ばれる物だ。
その中でも、特に指で弾く指弾や硬貨を指の間に挟み、手首のスナップで放つ、硬貨銭を得意にしていた。
師匠から受け継いだ暗殺技もそれがメインだったてのもある。
最近は、チャクラムって投擲武器をメインにしている。
インドの武器で、戦輪って書いて、チャクラムって読むんだが……、
それを師匠の伝で、俺用にレストアしたものを使うことが多いな、指の間に挟めて、掌に隠せる程小さくしたから。音もさせず、最小限の動作で、狙った所を切り裂けるのが、今使ってるのだ。
そもそも師匠が得意にしている暗殺技を参考にしていた。
師匠の暗器は、素材から伝説的な特殊な金属を加工して造られた物らしい。俺も幾つか持たされてる。
世界でも希少すぎる気、魔力、法力に反応する金属がある。よく小説なんかである。魔法銀とか神々の金属とか呼ばれてはいるな。
闇の住人からは五曜石、
☆火曜石
☆水曜石
☆木曜石
☆金曜石
☆土曜石
陰陽道にある五曜王に因んだ配合で。
特殊な手順で、金属を加工することで造られた。特殊な金属の暗器のことを【王輪】って呼ばれていた。
昔はって言っても、俺はよく知らねえがよ。
━━師匠曰く、ジュースの蓋や、ビールの蓋を昔は加工した物を使ってたらしい。
激動の時代だったんだとさ。
鉄が手に入りにくい戦乱の時代、
当時は仕方な~く。それらを加工して使ってたらしいぜ。
それを関西では【王冠】って言ったらしい。
その時代の遊びには、牛乳瓶の蓋を。ポンポンとか息を吐いて跳ばす遊びがあった。
そこからヒントを得た師匠は、
【王冠】→【クラウン】
やがて【チャクラム】って暗器に行き着いた。
師匠は何時しかその武器を。
【王輪】またはオウリンと呼ぶようになった。
所詮、暗器だぜ、それらを好んで使ってた俺の師匠は、俗にいうなれば育ての親である。
中国人で、王林無論偽名だ。中華街に住んでいた
………今さらだが、
まんまだよな、隠す気無いだろう………、とか思って師匠に言ったら、
師匠はこれぽっちも、気にした様子がないのには呆れるぜ。全くよ。
まあ~いいがな、
もうすぐ昼だ。
人通りのない場所。何てのが中華街にも少ないが、全く無いわけではない。
裏通りと呼ばれる細い路地に入る。
何件かお店があるが、大体が堅気ではない。
昔と違い。裏の人間は副業をしている。
表向き普通のお店だったりするがな。
師匠の場合は、鍼灸師だ。
一応俺も国家資格は買った口だ。
免許も偽造で済ませてる。
何せ、国籍も分からない、いや存在しない人間なんだぜ。
今の世の中、表面の分かりやすい証明書があれば、案外なんとかなるものだ。
さて一応説明しとく、俺の母親は師匠が調べた限り、
中学生のとき俺を身籠り、棄てた。
理由はどうであれな、
………だから。
俺は存在しない人間だ。
案外そんな人間は多い物だ。
社会や、国が隠してるがな………、
案外この世界の闇は、かなり深いらしいぜ………。
俺もこれ以上沈まないよう、精々気を付けるぜ。
「ただいま」
「…………おう、お帰り幹雄」
赤ら顔、朝から酒を飲んでたらしいな。
「ほらよ」
ちょっとした厚みのある封筒を投げ渡す。
500万入ってる。
「おお~、ちょうど酒代が少なくなっておった。ほれ幹雄」
師匠から100万から大体半分にした金を、渡してきた。
「次の仕事は?」
適当に小分けした金を。財布とは別に仕舞う。
「3日後じゃな」
「そうか、そう言えば、ようやく【跳弾】が出来るようになったぜ」
「ほ~う、お前がな………、ふむ毎日気を【王輪】に馴染ませれるようになったかの?」
お前らは、中国武術てのを知ってるか?、
わりと世間では有名だと思う、
日本にも似たような技術を教える。合気道、剣術にも使われてるが、
基本の技の他に教えるのが、五感を研ぎ澄ませる方法と。五感を鍛えることをさせられる。
・視野を広く、俯瞰で相手を見ること。
・自然体になる為に。短く息を吸い込み、ゆっくり吐き出す。呼吸法を学ぶこと。
・視点と間合いを理解することで。相手に遠く、自分に近く。
中国武術では一部奥義に通じる。歩方が含まれてるが、これ等を含めて【道】と呼ぶ思想である。
【道】と呼ばれていた、仙人になるための思想がある。
現代でも【道師】と呼ばれる者達がいる。
所謂仙人を目指す修行する存在だ。
一部気を使う者【道童】又は【童気】ドウキとも呼ばれる気功の使い手、それが師匠だ。
「ああそれなりにな、それから師匠。飲みすぎんなよ」
「………はいはい」
酔っぱらいを置いてくのは心配だが、そろそろ常連も来る時間だな、俺がいると色々と煩く言われるし、さっさとおいとまするか。
これにて、最初の投稿は終わりです。続きは、余裕があれば、