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寡黙青年旅に出る  作者: 林ことり
2/2

飛び立つ翼は誰のもの?

背中に衝撃が走った。

どうやら家の中に倒れこんだようだ。


「レイ、大丈夫か?」

「うん、なんとか・・・」


レイと共に起き上がり、いまだに砂ぼこりが舞う外へと向かった。


「女の子・・・?」


キラキラと輝く金髪、レースがあしらわれた胸元、白く輝くブローチ、鮮やかな赤いワンピース。

あまり見ない外の人間に俺たちは目を奪われた。


「とりあえず、部屋に運ぶぞ。」

「うん、そうだね」


俺は少女を抱えるとベットに寝かした。



いつしか夕方になった。窓には綺麗な夕日が見えている。


「この子、大丈夫かな?」

「・・・・・」


目を覚ます気配はなかった。

彼女の膨らんだ胸元を見て目をそらす。そういったものは苦手だった。


ドンドンドン


「あ、はーい」


突然の来客にレイが扉を開ける。わざわざ町からやってきたのだろうか。


「治安維持部隊の者だが、本日この地域に落下物があったという報告を受けている。何か変わったことはないか?」

「それなら女の子が・・・・」


押しかけてきた男二人が無遠慮に部屋の中に入ってくる。

俺は顔を顰めた。


「ほぅ・・・・。これは・・・」


ハッ

その瞬間、少女が目を見開く。


「人間・・・・!?」


ファァァァ


少女は凄い勢いでベットの上に立ち上がり、透明できらめく羽を出すと窓の外から飛び立った。

一瞬の出来事だった。


「えっ、え???」

「おおおおお、絶滅した妖精族だぞ!すぐに捕らえろ!」

「はい!」

「レイ!」

「あ、うん!」


治安維持部隊の男たちと共に外に出る。







少女は無我夢中で飛んでいた。


『どうして人間が・・・・。お父様、お母様・・・・』


あふれた涙をぬぐうと眼下に川が見えた。

川沿いを低く飛ぶ。


「あら?こんばんは、カワイイ妖精さん。」


川のほとりの小さな泉から声を掛けられた。

つい立ち止まると、羽が粒子となって消える。

視界が揺らいだ。

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