平和な生活だったのに
「あなただけは…」
鋭い光が走った時、私は宙に放り投げられていた。
「!?!?!?」
光と共に透き通るような金色の長い髪が舞う。
「ロイ兄さーん、これこっちでいい?」
「あぁ、頼んだ」
俺の弟、レイが荷物を運んでくれたようだ。
ここは俺とレイが住む家。
ちょっとした貯蔵庫と寝室があるだけの家だ。
森の中にある家は村があるというわけではなく、
一軒だけぽつんと建っている。
なんでも昔は小さな村だったらしいが、
気がついたら兄弟2人と幼馴染で弟の彼女が少し離れているところに住んでいるだけとなった。
親はいない。
何故だか覚えていないが、物心つく頃にはいなかったので気にしたことはなかった。
弟の彼女の祖母が面倒をみてくれていたこともあったが、その祖母も知らずのうちに他界してしまったようだ。
周囲に大人がいない環境のおかげで19才になった今でも話すことは得意ではないが、2つ下の弟がしっかりと成長してくれたので安心している。
そろそろ地下の倉庫から出てレイを手伝った方が良さそうだ。
レイの薪割りを手伝ってやらないと…
そんなことを考えていると
ドゴォオォォォ
「兄さん伏せてー!!!」
ちょうど玄関を開けたらレイが走りこんできて辺りが土煙で見えなくなった。
アシンメトリーに切った長い前髪が風に舞う。
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