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弐剣の創造者  作者: 菊池伊久真
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第四話 洋風な生徒会室

 朝のけだるげな体をやんわりと起こしてくれる太陽の暖かい日差しとオーケストラのような音色を奏でる心地よい小鳥たちの鳴き声を聞きながらレオは目を覚まし寮のベットから降りる。


「んっ~」


 俺は寝癖の立ちまくったぼさぼさの頭を掻きながら洗面台へと向かう。


(なんか、いつもよりも肩が重いな)

 

「あ、そうだ。昨日学園内に突然現れたカメリエと戦ったんだったな」 


(そうそう。なんか昨日、大事なことを忘れていたんだったっけ。ええっと)


 俺はその場で数秒間考え思い当たる節を一つ思い出し、朝っぱらから冷や汗をかく羽目になる。


 やばい、やばい、あの女の子ほったらかしにして帰ってきてしまった。


 たしか、同学年って言っていたから学園内どこかで会う機会があるかもしれない。その時にでも謝らなきゃいけないな。


(本当にあの子には、申し訳ないことをしてしまった。しかも、下着姿まで見てしまってるし、こりゃ土下座しても許してもらえないかもしれないな)


 そう思いながら、俺は洗面台で顔を洗う。水と水が激しくぶつかり合う音を立てながら、今日の予定を思いでしてみる。


「えっと、今日はこの学園の生徒会長の所に行くんだったなそういえば。出来れば早く済ませてまた図書館にでも行ければいいな」


 洗顔を済ませた俺はテキパキと朝食の用意をする。


「いただきます」


 誰かが周りに居るわけではないけれども礼儀正しく食前のあいさつをしながら食べ始める。


(小さいころ、「いただきます」言はなくて母さんによく怒られていたな)


 そんな、昔の思い出にふけりながら朝食を食べ始める。今日の朝食のメインは、ふわふわの玉子焼きだ。


 玉子焼きは優の得意料理の内の一つだ。


 朝食を食べ終えたあと、すぐさま制服に着替えはお磨き準備を整える。


「さてと、そろそろ行くか」


 部屋のカギを閉めエレベーターで寮の一階まで降り、寮を出て学園へ向かう。


 オルリア学園は、かなり広大で、施設も数多くある。そのため、どこに校舎がありそのどこに生徒会室があるのか優は知らなかった。


 まあ、知らないことはっ知っている人に聞けばいいだけだ。


「すみません。本校にはどうやって行けばいいでしょうか?」


 と道端にいる先輩らしき女子生徒に尋ねてみる。すると、にこやかな表情がとてもきれいなその女子生徒は穏やかな口調で懇切丁寧に教えてくれた。


「この道をまっすぐ行って、右に曲がって、その道を次は左に曲がり、その先は少し上り坂になっていて、その坂を上りきると右手に校舎が見るから、あとは、校舎に近づくようにしていけば着くよ」


 そう教えてくれた直後、腕時計で時間を確認したその女子生徒は、「あ、もうこんな時間、急がなきゃ」と言って、足早々に行ってしまった。


(急ぎだったのか。悪いことをしたな)


 そう思う俺だったが、同時にああゆう親切な人がもっとこの世界に増えてくれればいいのにとも思った。


(あ、お礼言いそびれてしまった)


 そう思い、走って行った方向を振り返ってみたがさすがにもう居なかった。また会ったら、きちんとお礼しよう。


 ん?最近こうことが妙に多いような気がする。そう思ったが、あまり、気に留めるような事でもないので気にしないことにする。


 それから、俺は教えてもらった通りの道順で校舎までたどり着き、校舎内の事務所で生徒会室の場所を聞き向かったのだった。




「やっと着いた。ここが、生徒会室か」


 レオは息を「はぁはぁ」と切らしながら自分の方向音痴を呪った。生徒会室の場所を教えてもらった後その通りに進んだはずだったのだが、どうゆうわけか校舎内を一時間近くも、ぐるぐるとさまよっていたようだ。


「この校舎無駄に広すぎるだろ!」


 と、いつもはこんな愚痴を言わない俺でさえも愚痴が出てしまうくらいこの校舎は広すぎるのだ。


 まあ、最終的にはたどり着けたんだからよしとするか。終り良ければなんとやらだ。


 息を十分に整えてからドアをノックする。しかし、中からは何の反応も返ってこない。


「留守なのかな?」


 そう思いもしたが、もしかしたらノックの音が聞こえていないだけかもしれないし、それに一時間歩き回ってやっと辿りついたのに「留守でした」なんてことになったら俺のここに来るまでの労力が水の泡となってしまう。


 だから、もう一度だけノックをすることにする。


 “コンコン“


 すると、ガチャリとドアが開き中から背の低い桃色髪でツインテールの髪型をした少女が出てきた。目をこすりながらあくびをしている。


 どうやらドアノックの音で起こしてしまったようだ。


(なんだか少し罪悪感を覚えるなぁ)


「何のご用件でしょうか?」


 その少女はまだ眠気のさめない顔と口調で言った。


「えっと、生徒会長に今日合うようにと理事長から言われて来たんですけど、今いますか?」


「生徒会長は、現在、国家魔術師協会からの緊急任務に出ています。副会長ならもう少しで戻ってくると思いますが中でお待ちになりますか?」


「はい。そうさせていただきます」


 中へと案内された俺は「ソファーにでも座って待っていてください」と言われたので、そのお言葉に甘えるとする。ソファーに座り、周りをよく見渡すと、内装は中世ヨーロッパ風のものだった。校舎の外見とはかなり異なっているので建設するときにこの部屋だけ特注でこのような内装をお願いしたのだろう。


「コーヒーと紅茶どちらがいいですか?」


 と桃色髪の少女がこちらを向き尋ねる。どうやら、飲み物を準備してくれるようだ。


「コーヒーでお願いします」


 俺はその問いに対して即答した。だって、コーヒーと紅茶だろ。天地がひっくり返ったとしても俺はコーヒーを選択する。


「砂糖とミルクはどうしますか?」


「なしでお願いします」


 これも即答。コーヒーに砂糖とミルクなんて入れる愚行は生まれてこのかた、一度だってありはしない。


「わかりました」


 少女はツインテールの髪を揺らしながら、コーヒーを淹れ始める。


「ありがとうございます」


「いえいえ、これもれっきとした生徒会役員の仕事ですから」


 なるほど。生徒会役員だったか。たしか、この学園で生徒会に入るためには相当な実力とそれを証明するすべを持っていなければいけない。ということは、この少女は、容姿からは想像もつかないような実力者ということなのだろう。


(しかし、この身長と胸の膨らみ、本当に俺よりも年上なのだろうか)


 そう疑問に思った瞬間、


「あっ、自己紹介が遅くなってすみません。私はオルリア学園中等部三年のメシルと言います。ええっと、私の方が年下なので普通のしゃべり方でいいですよ」


 とタイミングよく俺の疑問は即座に解消された。


(やっぱり、そうだと思ったんだよ。この身長とあの胸の大きさで年上はないな)


 納得いったところでこちらも自己紹介をしておく。


「わかった。俺は高等部一年のレオだ。よろしくメシル」


「はい。こちらこそよろしくお願いします」


 ぺこりと小さな頭を下げる。


 それから、シメルが出来上がったコーヒーをマグカップに注ぎ込み、俺がその芳醇な香りを嗅いでいる時、生徒会室のドアがガチャリと開いて一人の青年が入ってきた。


「ん!? ああ、君が例の。僕はオルリア学園高等部三年のオネスト・ペンドラゴンだ。よろしく!」


 その青年は入って来てそうそうレオを見ると少年のように目を輝かせながらそう尋ねてきたのだった。


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