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弐剣の創造者  作者: 菊池伊久真
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第二話 唐突な襲撃

 ここは、将来の国家魔術師管を育成する機関、オルデン・デ・カルリア学園。略してオルリア学園

 

 そこに一人の赤毛の美少女がいた。


「はぁ~疲れた~」


 その少女は背伸びをする。平均的な大きさの胸が揺れる。


 彼女名前は栗宮アヤカ。オルリア学園の高等部の1年生にして入学試験主席合格者。


 なお、入学式が数日後なので、まだ正式に高等部の一年生というわけではない。


 オルリア学園は全寮制で中等部3学年と高等部3学年に分かれており、大半の生徒が中等部卒業後、高等部への入学試験を受けて進学する。同じ系列の学園だからと言ってエレベーター式という甘い仕組みではない。当然、中等部在学中に魔術における勉学を怠った者は入学試験で落とされる。しかも、この学園の合格倍率は10倍とかなり高い。合格者は、皆超エリートだということだ。


 アヤカもその合格者の一人であり、しかも、主席合格だ。


今は春休みで普通なら実家に帰るところだろうがこの学園の生徒は長期の休みでも帰る者は少ない。


 なぜかというと、ここの図書館には、かなり貴重な魔法書が保管されており、生徒なら閲覧自由。

 また、魔術技術や体力など上げるための設備が豊富にあり、これも、同様に生徒なら使用可能なので、国家魔術師を本気で目指している学生たちは長期の休みでさえも自身の能力の向上のために切磋琢磨しているというわけだ。

 アヤカも今まで、魔術の特訓をやっていた。今はその帰りだ。


(今日は、いつもより難易度高い魔術の特訓ばかりしていたからいつもよりきつい。そうだ、あそこの湖で少しだけ水浴びしてから帰ろっと)


 アヤカは湖の近くに来ると、自身を透明化する幻影魔法の術式を展開する。


透明なる衣(インビジブル・ドレス)


 そう術名を唱えると足元に魔法陣が発動しそのまま足から順に綾香の体を透明化していく。


 これは第一階梯の幻影魔法だ。


 術者の身体と祖の身体に少しでも接触している物すべてを透明化する魔法。


 難易度はもっとも簡単な第一階梯。しかし、練度によって発揮される性能は大きく変化する。


 練度が低ければ、魔力感知で簡単にばれてしまう。


 だが、その逆に練度が高ければ姿はもちろんのこと、匂い、音、視線、魔力反応、までも完全に消すことが出来る。第一階梯の魔法にしては、かなり使い勝手がいい魔法だ。


「これでよしっと」


 アヤカは完全にその場から姿を消し完璧な透明人間となった。


(よし、これで誰からも気付かれることなく水浴びが出来る)


 まず、制服のリボンを外す。次にスカートを脱ぎ、カッターシャツのボタンへと手を動かす。


 下着以外の服を全部脱ぎ終えた後、衣類をきちんと畳む。この時、衣類はアヤカに触れてはいないが「透明なる衣(インビジブル・ドレス)」発動時に触れていたのでそのまま透明のままだ。


要するに、魔法を発動した際に触れていればその後離れたとしても透明のままだということだ。


 最初は下着も脱ごうかと思ったりもしたが、いくら透明で見えていないとはいえ野外で素っ裸になるのには抵抗があった。


 まあそれはおいて、さっそく水の中に入る。汗だくの身体が気持ち悪く、一秒でも早くこの気持ち悪さから解放されたかった。


「あぁー、気持ちー」


 水温は丁度良く心地いい。少しだけ家にプールを持っている人みたいなリッチな気分になる。


先ほどまでの訓練で掻いた汗もきれいさっぱり洗い流す。


 十五分くらい水浴びをした後そろそろ寮へ帰ろうと思った瞬間、壮大な音とともに湖の中から巨大な生物が突如として出現した。


 その形相は蛇とあまり変わらないが、体は四体あり、それぞれの身体の至る所に無数の目が付いていた。そのうえ、全長約30メートル程度はありそうだ。


 アヤカは一瞬何が起きたのか理解が遅れたたが、気を持ち直す。それから、即座に湖から上がり、その巨大な生物から距離をとる。


「こいつって、カメリエ(危険生命体)よね。何で学園内に居るのよ!」


 本来この学園には、強力な魔術結界が球体状に張ってあり陸、空、地中のどの箇所からも侵入出来る隙間なんてないはずなのだ。


(それなのに居るってことはどうにかして魔術結界を破ってきたか、もしくは誰かが何らかの意図で持ち込んだってこと?でも、いったい何のために・・・)


「いろいろ考えたってしょうがないじゃない。今はどうやって倒すかということだけに集中しなきゃ」


 この目の前に居る生物は、モンスター、魔獣、エイリアン等々、呼び名はいくつも存在しているが魔術師教会は、それらの人間に対して害をなす生物をカメリエ(危険生命体)と総称している。

 このカメリエを倒すためには魔術攻撃や物理攻撃でカメリエの身体のどこかに存在する魔力核を破壊するしかない。


 魔力核とは魔力を生成する器官のことだ。大きさは個人個人で異なるがどんなに弱くとも魔術師ならば誰もが持っている物だ。その魔力核を理性のない生物が持つとカメリエという異形の怪物が出来上がるというわけだ。まあ、魔術師の魔力核とカメリエとのでは多少違いはあるが。


 とにもかくにも、カメリエを倒すにはその魔力核を見つけ破壊しなければならないわけだ。


「来て!黒刻と赤刻の双銃(エクレール)!」


 瞬間、アヤカの両手に魔力が集中し二対の銃が出現する。魔術師が自身の魔力で形成する固有武装だ。武器の種類、また能力は個人で異なる。


 アヤカの固有武装は両手銃の【黒刻と赤刻の双銃(エクレール)】とライフルの【絶対の主砲(ツランプ・カート)】。基本的には、エクレールを使用する。ツランプ・カートは使用後に極度の疲労感が襲ってくるためあまり使いたくない。今は、魔力残量が少ないため【絶対の主砲(ツランプ・カート)】は使用不能なのだが。


 エクレールの基本能力【三属の弾丸(トリプル・ブレット)】は、魔術の基本元素の内の氷、火、雷、を魔力弾に乗せて放つという物。


 威力は、使用者が得意な属性ほど上がる。アヤカは火、氷、雷の順に得意だ。雷属性に関しては得意というより苦手と言った方が正しい。


 今回のカメリエは、水中から出現したということから水属性だろうと推測される。相性は最悪だ。


 しかし、目の前の敵を倒さなければこの学園に被害が出てしまう。それだけは避けなければならない。


 今日は、魔術の特訓で魔力をかなり消費している。そのため魔力切れになる前に片付けなければならない。


(骨が折れそう。今日ってなんでこんなについてないんだろう)


 アヤカはそう思いながらも銃撃を開始する。


 まずは敵の視界を奪う。そのためには【氷の弾丸(アイス・ブレット)】で目を潰すのが一番手っ取り早いだろう。


 黒刻と紅刻の双銃(エクレール)から、氷を纏った弾丸がうち放たれる。銃口の数センチ前に三段の小さな魔法陣が展開され、その魔法陣の中心を弾丸が打ち抜くようにして発射される。


 初弾は見事に命中。しかし、カメリエも一目を潰されたくらいでは怯むはずもなく。攻撃を仕掛けてくる。


 その攻撃は顔面から突っ込んでくるという何とも単純なものだが四つの頭身から不規則的に攻撃されてはよけるのも一苦労だ。


「もう、なんでこんなに目の数多いのよ!」


 アヤカの弾数と弾速では蛇型のカメリエの目をすべて潰すのにはかなりの時間がかかるのだった。


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