登録とイベント
「いい、名前を思い付いた。」
「名前付けて貰えるんですか!?
やった、一回名前付けてみて欲しかったんですよね~。」
「ミレイ。それがお前の名前だ。」
その瞬間、二人をオーラのような物が包み込む。それは二人の間を通り抜け、去って行った。
「ミレイ?あまり聞かない名前ですね、それ。」
いや、気になったのそっちかい!と突っ込みたくなったが、忍耐が肝心。何とか自前のメンタルで耐えきった。
すごいな、俺のメンタル。
「俺が元いたところの、名前さ。
センチメンタルな気分になっちまったかな…」
「ほほう、成る程。ご主人の好きだった人ですか。」
「いやいや、全然違うよ!?」
「と言って、本音の所は…?」
「違うって言ってんだろ。」
「隠さなくていいんだよ。ほら、言いふらさないから、言ってみなさい。」
「いい加減やかましい。召喚主権限使うぞ。」
ようやく黙った。
さて、本音のところでは、もう一度冒険者ギルドに行きたい。
いくらなんでも門前払いはないと思う。
「なぁ、冒険者ギルドに…」
「よし、行くか。」
…即決すぎるだろ……
この前と同じ道を通り、冒険者ギルドを目指す。
どうやら記憶力は多少よくなっているようだ。
これで前世に戻れば、テストの点が…
黒歴史がよみがえってくる。
恐怖である。
そんな下らないことをしている内に、ギルドに着いた。
実は今回、非常に楽しみにしている事がある。
いわゆる不良キャラに、「てめぇ何やってんだ、アァ!?」とか、中途半端なランクのキャラに「ベテランがみっちり冒険者のルールってやつを教えてやらぁ!」とかいうイベントを待ち望んでいるのだ。
「あぁ、また来てしまったのね。」
これは最初の職員仏頂面美人だ。
「ええ、また来ました。
ギルドに登録を、よろしくお願いします。」
「前にも言った通り、あなたは現地にでれば即死…
あぁ、成る程。あなたの隣にいるのがあなたの最終兵器って訳ね。
いいわ、あなたのギルドへの登録を許可します。
そこの石版に触れて。」
石版に触れた瞬間、体の中を何かが走り回ったような感覚があった。何か覚えのある感覚だ。
そうか。これは…魔力だ。
そんなこんなで出来たらしい。
「これがあなたのギルドカードよ。いまはまだFランク。
依頼を受ける事によってランクは上がって行くわ。
じゃあ…死なないでね。」
こうして、雨宮は、冒険者になった。
周りからの注目は浴びている。
そう、イベントが来る予感は十分にあるのだ。
しかし…来ない。
冒険者ギルドを出たが、やはり来ない。
「なぁ、何で俺の元に他の冒険者来ないんだろ?」
「冒険者とは元来、そのように人にはあまり絡まないのではないのでしょうか?」
成る程、前世の知識と実際の異世界には差があるようだ。
実は、ミレイが原因で声をかけられなかったことを、彼らは知らない。
雑魚は強者を見つければ、そこには近づかない物である。
「せっかくだし、近くの森に散歩にでも行く?」
「賛成賛成。とっととこんな窮屈な所を出よう。そうしよう。」
吸血姫、かなり鬱憤がたまっていたようです…。
せっかくなので、守衛から情報の入手タイム。
「…銅貨2枚だ。」
まさかの金を要求して来やがった。しかも200円も。
仕方ないので払うと、
「…近々、タックルブルの群れが来る。
一頭一頭はDランク程の強さだが、群れると10匹でB+ランクほどにもなる。精々気をつけろ。」
これは、かなり重要な情報だ。そんな物には巻き込まれたくない。
「ありがとう。」
「気をつけろ、小僧。
森が荒れている。何か、嵐がくるぞ。」
そんな忠告を、僕は半ば流して聞いていた。




