諦めなかったことへの報い
自分のスペックは、自分の想像よりはるかに低かった。
その事実に、雨宮は打ちひしがれていた。
「その気になれば、もっと色々スキルを身につけられていただろうにな。」
そう、今の雨宮を打ち据えているのは、自分の過去だった。自分で積極的に何かやるわけでもなく、
ラノベばかり読んでいた過去。すべての可能性を捨ててきたのは、自分自身だった。
今、雨宮が目指しているのは本屋だ。たった一つだけ手元に残っている召喚魔法、せめてそれを活用するためだけに歩いている。
ついでに、さっきギルドカウンターにて確認したが、100円玉と銀貨はとても形状が似ていて、銀貨は
1枚が約10000円ほどの価値を持つことも分かった。
つまり、うまく騙せると考えて約50000円を手にしたのと同じ状態だ。だが、あまり喜べる状況でもなさそうだ。
本屋に着いて、早速召喚魔法の書を探し始める。が、なかなか見つからない。
結局その本が見つかったのは、本屋に入ってから実に3時間後のことだった。
「うわっ、高い」
その本は一冊、銀貨二枚と銅貨50枚。ついでに銅貨一枚で約100円らしいので、この本は実に一冊で
25000円オーバーということになる。
それでもそれにかけるしかない。そうして店の中でもトップレベルで売れなかったその本は無事に売れたのだった。
宿に着く。どうやら一日銅貨二枚で行けるらしい。
「早速召喚の練習と行きますか。」
そう、もっと安い宿はあったがここにしたのは、単に召喚魔法の練習ができるからだった。
「魔方陣の展開の仕方はこんなものでいいのか?」
最後のページに少しだけ乗っていた属性なしの魔方陣を描きながらつぶやく。
何せサークルの線1本書くだけでも魔術的な儀式が必要となるのだ。
「なるほど、召喚士の需要が低いのもうなずける。」
それはさっきのギルド員の言葉だ。
サモナーは召喚できるまで戦力とならないため、たとえsをもっていようがあちこちで冷遇されるでしょう、と言っていた。
「魔術式展開。サークル、起動、魔力経路確保。
召喚術式、起動!」
入念に準備された魔術式は、何一つ問題を起こさずに起動した。
まばゆい閃光が一度だけ発生し、現世にいない何者かが召喚される。そのあとに残ったのは・・・
「なんだ、やっぱりスライムか。」
そこにいたのは青色の粘生成物だった。
それでもなお、諦めきれずに、召喚を続ける。
2回目、3回目、4回目もスライム。
そして、ミラクルは発生した。不意に、今までのスパイラルが途切れる。
今までとは明らかに格の違った存在が、現世に舞い降りてくる。
そいつは召喚者を見ると、一言。
「召喚された瞬間マナ切れですか・・・」
1日の上限である、5回に達したのだった。




