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メイディ-ブラッド=吸血鬼リヴァイヴ=  作者: 綾
吸血鬼リヴァイヴ
5/14

04「死のゲーム」

一応、グロ注意

 バケモノがカレンを狙っていることに気付くと、レジは彼女を突き飛ばし、代わりに餌食となった。


 バケモノは進化した体に慣れておらず、細かい動作がまだ出来ていない。そのため、機動力が上がった肉体に違和感を感じることになり、どうしても動きの制御が難しかった。

 カレンの直前で止まり、刺し殺すつもりが勢いを止めることができず、そのまま通過後、空中で回転して無理矢理体を地面に叩きつけるようにして着地した。


 進化の結果は申し分ない。これなら、性能を完全に把握したとき自分は最強になれるだろうと確信する。


 左腕に突き刺している獲物が心臓を貫かれ、口から吐血した。体は痙攣し、焦点も定かではない。

 そんなもの、バケモノには関係ない。死んでるか生きてるか、それすらもどうでもいい。

 人間を食べればより強く進化する捕食対象のそれ以上でも以下でもない。

 強くなるから食べる。抵抗するから殺す。それだけだ。


 でも、ただ強くなるだけでは駄目だ。賢くなる必要がある。

 メスを食べると思考がスッとクリアになっていく。大嫌いな人間の言葉を理解し、話せるようになったのもメスを食べてからだから、強さ以外に作用しているのは間違いないはずだ。だからなるべく、メスは見つけ次第最優先で食べてきた。この体にした人間共を殺すには、力だけでは足りないことを理解しているから。


 捕らえた獲物の頭を口にくわえこみ、首に歯を立てた。


 グギ……ギ、ギュガィグッ


 首から上が無くなったことで、痛みから解放された体はダランと力無く垂れ下がった。

 3度租借し、飲み込む。


「いやあああああああおああああああああああ!!!!


 人間の悲鳴が上がった。

 叫んでいるのは人間のメスだった。捕らえたのはオスか。味がいつもと同じだとは思った。


 今度こそメスを食おうと、オスを平らげたバケモノは再び行動を開始する。


「目を狙え! ロングソードでは歯が立たない!!」


 メスを守るためにオスが群がるが食べる順番が変わるだけのことに何故気付かないのか。

 絶対的な力の前では無力だというのに、どうして逆らおうと刃向かうの理解できない。


 だがそれは、バケモノの自問でもあった。

 無力の自分は人間に捕らえられ、色々と体を弄くられた。父さんと母さん、弟は無事だろうか。捕まったのが自分だけならまだ良いのだが。


 何も出来ない彼らを見ていると昔の自分を思い出す。




 その日は突然だった。


 住み処にしていた森一帯は、いつもと変わらずのどかで、風が気持ちよかった。唯一荒れる事としては、嵐が来る時くらいで、雷が落ちたときには森の皆と鎮火に当たったものだ。

 種族が違くとも森を愛する者同士流行は深く、本当に優しい場所だった。


 ある日、息苦しさに目を覚ました。

 酸素を求めて喘ぐが、一向に取り入れる事が出来ない。

 ふらつく足を、洞穴の壁を伝ってなんとか外に出ると、火が一面に広がっていた。むわっとした熱風が頬を焼く。

 視界に広がるのは火の海と、森の仲間たちが倒れている姿。皆、苦痛に顔が歪んでいる。外傷はないから、おそらく酸欠によるものだろう。洞穴の中までは火が回っていないので、酸素が焼かれなかったために、自分は無事だったらしい。


 一先ず皆を安全な洞穴の中に連れていこうとしたところで、普段見ない生物を見つけた。

 銀の服に身を包み、黒い装置を顔につけた人間がたくさん、見たこともない装置を手に持って森に入ってきていた。

 その装置から火を吹き、今この瞬間森を燃やしていることから、直ぐに森を火の海にしている原因がそいつらであることがわかった。

 更に燃やすだけでなく、酸欠で呻く仲間達を他の人間が何処かに運び出している。


「ーーサンプルは全10体ずつでいい。他は処分しろ」


 何か指示を出しているあいつがリーダーだろう。

 無事な森の住民が自分しかいないため、一人でなんとかしなければならない。一番現実的なのは、リーダーをなんとかすることだ。


 皮膚が焼け爛れていくのを我慢しながら、燃える木々を伝ってリーダーに近づいていく。

 行動先を予測し、目の前をリーダーが通るのを息を殺して待つ。


 運よくリーダーだけ外れて一人こちらに向かってくる。これならなんとかなるかもしれない。魚くらいしか、あとは喧嘩したときに使うような爪では殺せはしないかもしれないが、回りは火の海だ。怯ませてその隙に燃やしてしまえばいい。


 隠れている木のすぐ前を通った瞬間に、バケモノは飛び出し、リーダーに襲いかかった。


「ばればれだ」


 ドバンッ!


 肩に大きな穴が空き、左腕が皮一枚で繋がっている状態になった。


「グアアアアアアン!!!?」


 痛い!

 痛みに叫ぶがそれは急激に酸素の消費を誘うもので、酸素が消えているこの環境では、意識を失わせるのに充分だった。


 気づけば檻に閉じ込められ、一面真っ白な場所に連れてこられていた。そこでは俺の他にも色んな種類の、たくさんの生き物がいた。何もせずとも食事を与えられたが、毎日少しずつそいつらは消えていった。


 檻が開けられた。抜け出そうと試みたが、体がうまく動かなかった。今思えば、食事に何かされていたのかもしれない。苦労するのに簡単にくれるのはおかしすぎた。


 体を拘束され、腕に痛みを感じた。見ると腕以外にもあちこちに、針みたいなのがたくさん刺さっていて、全部赤い液体が入ったケースに繋がっていた。


 ケースの水位がどんどん下がっていく。つまり、赤い液体が体内に流れ込んできていて、あまりの痛みに声をあげてしまった。


 その声に驚いた。

 耳を刺すような摩擦音混じりの声。自分の声は低めのはずだったのに、声質が変わってしまっている。

 体は茶色の体毛に覆われていたはずが、青くて刺々しいものに変わっており、視線を下に向けると大きな爪が視界に入った。

 身を守るために爪はあったが、明らかに殺すためのものになっている。


 肩に開けられた穴も、見る限り嘘だったかのようになんともなかった。

 異常な姿に、自分が自分でない気がした。


 こうしてバケモノは誕生した。


 敵はこの過程においてバケモノが克服したものを知らなかった。


 毒物の耐性。


 全く無効になるわけではないが、出された食事を摂る際に体にピリピリとした感覚が走ることに気付いたバケモノは、それが食事に入っている何かを殺しているということに思い当たる。

 それから後も同じ食事を出され、まるで改良されないそれに、敵は自分が毒物の影響を受けていないことに気づいていないのではないかと、推測した。


 体に異変が起こってから7日後、再び敵が自分を連れ出すために檻を開け、こちらにやってきた。

 バケモノは敵を油断させるために毒で弱っている素振りを見せ、されるがままに連れ出された。


 まず拘束具をつけようとする敵の首を爪で斬った。以前なら傷を負わせる程度しかなかった威力が、一撃で体と分断させるほどに鋭利で強度が増していた。


 首と体が床に落ちる音で、施錠しようとしていた敵がこちらに気づくが驚く暇すら与えてやらない。

 振り向き、視線が合う手前で同じようにしてこの世を発つことになる。


 弱っている演技のために下ろしていた瞼を開けると、そこはグレースケールの世界だった。

 床も壁も天井も何もかもに色がないといった雰囲気。


 怯えつつも、回りをしっかりと確認をする。

 敵はさっきの2人しかいないみたいだった。自分が閉じ込められていた檻と同じものが、壁一面に埋められていて、上にまで5段、奥は最後まで見えないくらいあった。その中には同じようにして多種多様の生き物がぐったりと横たわっている。


 しかしそこにいるどれもは、自然の色のように見えた。

 自然の色ーー本来の色でないのは自分だけで、この人工色のような雰囲気が、グレースケールの世界とぴったりと合わさり、バケモノは急に寒気を覚えた。


 何処からか、声が聞こえてくる。自分の中に、別の何かがいるかのような、不気味な感覚。それは否定するのでもなく、自分に寄り添うようにして語り掛けてきた。


 ーー血を見ろ、肉を見ろ、人間を見ろ。


 足下に転がっている死体は、さっき自分が殺した敵だ。

 その姿はどう見ても人間だった。自分を捕らえ、ここに閉じ込め、こんな姿にしたのもきっと人間だ。


 ーー血を食え、肉を食え、人間を食え。


 バケモノは頭のない人間の体を持ち上げた。首の断面に口をつけ、啜った。


 ーーッ!! もっとだ!!


 心の中で絶叫する何かは、もっと寄越せと働きかけてくる。足りない、全部平らげろ。隣にももう一体いるだろうと。


 嗅いだこともない血生臭いに顔をしかめながらも、今度は右肩をかじった。魚とは全く違う、ねっとりとした血肉が歯にへばりついて非常に気持ち悪い。


 ーーあああおおあああアアアア……来るぞ


 ドグンと、一際大きく心臓が脈動した。それが波紋が伝わるように全身へと回り、激痛が走る。


「ッジャアアアアアアアアアアア!!!」


 腕と脚が破裂する。地面に倒れ込み、次は腹に穴が空き、そこからドロッとしたものが皮膚を覆い始めて新しい皮膚を成形する。


「ヴヴヴヴヴヴヴヴ……………………」


 熱が徐々に引いていき、床からひんやりとした冷気が伝わった事が変化の終わった証だった。

 自分の体を起こすときに、バケモノは思わず動きを止めてしまった。

 痛みに気を付けながらゆっくりと上体を起こすつもりが、ほとんど立つ寸前にまで動作が終わっている。


 明らかに力が増していた。


 ーー人間を食え。


 再び声が聞こえる。正体が何かは知らないが、こうして力を得られたのだから、自分にとってプラスの事であるには違いない。

 力が得られるならなんでもいい、人間を殺せるならなんだってやってやる。


 ーー人間を食え。食って強くなれ。


 脱出したバケモノは小さな村を辿っていった。

 自分の他に捕らえられていた生き物は、あの数を出すのは敵がいずれ来る事を考えると不可能だったので、そのままだ。

 村を見つけるたびに一人残らず殺し、食べることでより凶悪になっていく体。それでもまだ足りない。


 200を越えたあたりで数えるのはやめた。最初は自分がこれだけ強くなるには、どれだけ食べれば良いのかの指標にするために数えていたが、どうせ全て食べるのだ。数えるだけ無駄なので止めた。恐らく1000近く食べたのではないだろうか。


 そして、この街に来た。

『アウダウン』という街は、バケモノにとっては初の中規模の集落だ。今まではせいぜい150くらいの小規模の村を中心に襲っていたが、ある程度強くなったのでちまちま殺るより、多い所で一気に狩ったほうが効率がいい。


 やはり今までの村と違って武器が充実している。初めて銃という武器をくらった時は驚いた。矢よりも貫通力のある鉄の弾が飛んでくるのだ。

 弓矢の場合、矢は長いので掴むことが出来るが、銃弾は小さくて掴めない。

 撃たれれば回避は不可能だ。


 だが、くらったとしても傷を受けるレベルで、到底死とは程遠い。


 威力も森で人間のリーダーが持っていたものよりも全然弱かった。

 現に21いた人間は既にあと2人だけだ。


「カレン、無事か?」

「お父、さん……!」


 機能しなくなった右腕をぶらさげて、娘を庇って父親であるカールはバケモノへとロングソードを向ける。


( 親子、カ…… )


 自分の家族は、あの炎の中で行き長らえたのだろうか。

 生きていて欲しい。だが現実的に考えれば不可能だろう。あそこには炎だけでなく人間という驚異がいたのだ。きっと焼かれなくとも撃ち殺されてしまうだろう。


 だから、例え血の繋がりがある人間を前に同情はしない。

 貴様らが仕掛けてきたんだ。俺の家族と仲間を奪っておいて、自分達だけ助かるなど有り得ない。


 バケモノの体は新たに19人食った事で3.1メートルにまで成長した。

 強くなっても、殺すことに余裕は見せない。それは相手に誠意を持ってとかではない。『万が一』を無くすためだ。

 俺はここで死ぬわけにはいかない。死ぬべき者を殺すまでは生きて殺し続けてやる。


 カールは痛みに意識が飛びそうになりながらバケモノへと特攻を試みる。

 進むたびに視界の端に仲間達で出来た血溜まりが過ぎていく。そこに本来あるべき死体が無いのは、全てバケモノの腹の中に収まっているから。


 容易く弾かれ、カールはボールのようにバウンドしながらカレンの直ぐ側へと叩き戻される。ソードは衝撃で根本から折れて砕けた。

 バケモノにとっては蚊を祓う動作も、カールには必殺の一撃となって脇腹を抉り獲った。


 爪の隙間に挟まった肉を、串肉を食べるようにブシリと食しながらとどめを刺すために近づいていくと、今まで震えて動けなかったカレンが、痛みに呻く父親を庇ってバケモノの前に立ちはだかった。


「ッグ、やめるんだ、カレン!!」


 呼び掛けるも動こうとしないカレンに、バケモノは歩み寄っていく。余韻を楽しむように一歩。


「どきなさい!!カレンどけえええ!!!」


 別れの言葉を待ってやるとでも言うのか。バケモノはカレンの目の前で止まり、見下ろしている。

 えげつない腐臭が、カレンを襲う。微風に揺られて血まみれの毛が鼻を掠めるとき、吐き気が込み上げてくるが、ぐっと口を結んで必死に堪える。目には涙を浮かべ、自分の死の恐怖か、父親の死の恐怖によるものか分からない。でもきっと両方だ。


「……っ」


 スッと首筋に爪を当てる。

 ヌチャっとした肉の感触は、さっきまでいた兵士たちのもの。レジの、愛する人のものも含まれていると思うと怒りが込み上げてくるが、それよりも恐怖が勝った。


 私もあの中の一部になるんだと。


 懸命に堪えていた涙が、頬を伝って地面に落ちた。もう、彼女には限界だった。


「 人間は、 勝手だ 」


 バケモノは独白する。


「 自分達は他所ヲ荒らすクセに、自分ノコととなるト被害者ずらだ 」


 森を焼き、仲間を拐い、俺をこんな体にしたのは人間なのに、その人間が自分の命かわいさに泣く。


 きっと、その人と森を焼いた人間は違うと、悪い人間は一部だけで、本当は優しい種族なんだと訴える者がいるかもしれない。


 それがどうした。


 優しい仲間が、綺麗な森が一体何をした。

 なにもしていないのに、人間に滅ぼされたんだ。

 今の状況と何が違うって言うんだ。


 そう思うと、身勝手さにとてつもない怒りが胸を満たした。何故そんな目で俺を見る。何故?


 被害者ずらなのか?

 ふざけるなよ。


 殺す。


 カレンの命が刈り取られる寸前、バケモノの皮膚が鉄の弾を受け止めた。


「 ッギャジャゥ ! 」


「包囲ッ!」


 現れたのは黒の館へ無断で向かった20人のうちの10人。戻り組だ。


 彼らは何度も演習でやってきたように、二人が銃によってバケモノを牽制し、その間に他が走り抜けた。


 全部で20発放たれた銃弾は、そのほとんどが爪によって弾かれるか裂かれるかして宙に放物線を描いて落ちていく。バケモノに届いたのは4発だけだ。


「糞! 軌道が見えてるってのかよ!!」


 当たった弾も貫通することなく、皮膚で塞き止められていることに驚きを隠せない。どう考えても勝ち目のない敵だった。バケモノという呼称も、的を得ている。


 10人は戦士として、守るという義務感によって己を鼓舞しなんとか足を動かした。

 ソードを持つ手が震える。寒気もしてきた。この先に待ち受ける死を想像して手先の感覚が無くなり、何度もその手にソードが握られていることを確認する。


「構えろ!」


 バケモノを囲い、包囲が完成すると残りの8人も銃を構えた。戦士に一人一丁配備される標準的な銃だ。特別威力が高かったり、精度が良いわけではないが、人を殺すには十分な銃。


「撃てえええ!!」


 射線上に重ならないように配置した10人の銃から銃弾の嵐が炸裂した。3mを越える巨体なので特に狙いを定めなくても何処かしらに当たるのは不幸中の幸いだった。震えた手元では精密な射撃など出来やしない。


 銃による攻撃に対してバケモノが行ったのは、顔に向かってくる弾丸だけを弾くことだけだった。致命傷だけを避け、あとの弾丸は体に当たるが貫くようなことにはならず、人とは比べ物にならない筋肉の密度によって全て表面で止まっていた。


 銃弾の嵐の中、女性を守っていた満身創痍の戦士が、バケモノへと迫る。手には砕けたソードではなく、仲間のソードが2本握られている。


「うち続けろおおおお!!!」


 誤射を避け、引き金を引く手を止めようとしたがバケモノへ向かう戦士の声のままに撃ち続けた。

 2発の弾丸が戦士の体に突き刺さる。右脇腹と、左足を貫通していくが勢いに引っ張られるようにして前へ進む。


「っくそ、たれええーー」


 ソードを振りかざすが、それが振るわれるよりもバケモノの爪のほうが速かった。


 左から右へ振るわれた右腕はメキメキという音を立たせながら戦士をぶっ飛ばした。

 森のほうへ50mはぶっ飛び、木をへし折りながらようやく止まった。


 ガキン、と嫌な音がした。弾が尽きたのだ。

 攻撃が止んだ後は、殺戮の始まりだ。ゆらりとバケモノの影が揺らぐと同時に兵士の首が2つ飛んだ。


 ソードで対抗するも高速で振るわれる爪の前では木の枝同然だった。容易く砕け、ついでに首が飛ぶ。


 女性は、救援に駆けつけた戦士10人が現れた時、ほんの少し希望の色を覗かせていたが、1分と経たずに絶望へと再び塗り替えられた。


 新たに首がない戦士が10量産され、グチ、グチュッとバケモノに咀嚼されていく。銃弾の傷跡はボコッボゴオと収縮と膨張を繰り返し再生し、より強固な筋肉へと変わっていった。


 遺されたのは女性一人。

 バケモノは女性の正面に立つと摩擦音混じりの独特の掠れ声で言った。

 それは抑えられない憎しみを堪えるための娯楽。

 少しでも多くの恐怖を与えてやろうというバケモノの粋な計らいだ。


「 一つ、ゲームヲしよう 」


 頬に愛しい者を撫でるかのように手を添える。その顔は醜悪に歪み、今すぐにでも殺してやりたいが、手段として仕方なく生かしてやるという感情が浮き彫りになっている。


「 お前ノ、生き残りを賭けたゲームダ 」


 決して達成される事のない内容だが、生への可能性を残され、例え僅かだったとしても、それでも願わずにはいられない彼女の気持ちは精神的に持つのだろうか。


「 全テは、 次の人間次第ダ。 せいゼイ願え 」


 大きな口を開け、バケモノは恐怖で硬直した女性の体を持ち上げると、3.5mにまで成長した体に、足から丸ごと放り込んだ。


 館からの帰還途中にあった10人と、彼らの無事を確かめるために向かった19人、ついていった女性一人の合計31人が10分の間にバケモノの胃袋へと、栄養として取り込まれた。


 その場に残ったのは血と、鎧と剣だけだった。

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