アオイ イヤフォン
ーーーーガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン……
「…、」
電車の内部情報は相も変わらず満員電車というほど混んではいないが座れる席もなく、私の身長では吊り革に捕まることはできるが鞄が重く、腕も疲れているので捕まる気にもなれない。
不幸中の幸いといったら大袈裟だか壁にもたれることができるのでまだましだと思う。
「(あ…、)」
シャッフルで流れる曲は今までアップテンポの曲ばかりだったのにいきなりピアノとアコースティックギターとサクソフォンとシンガーだけで構成されているジャズが流れた。
この曲を聴くと無意識のうちに目線を下げてしまう。
理由は………分かっている。
左耳からからイヤフォンを外し溜め息が出た。
青いイヤフォンだなんて偏見ではないが女子にしては珍しい、そんなことは分かっているがあの時はこの色が良かったのだ。
{シュー……}
左から炭酸のペットボトルの蓋を開けた時のような音がした。
「…。」
半分祈り半分その逆のことを祈った。
開いたドアから一斉に人が出入りをした。
「(あ、)」
叶ったのは前者のほうだった。
だが半分は叶わなかった。
「(また、だ。)」
電車に乗り込んだのはセミロングで全体的にナチュラルブラウンだが毛先だけ金髪でメイクは程々でチャコールグレーのワンピースに明るいベージュのトレンチコートを着た整った顔の女性と男にしてはやや長めの髪型で白いTシャツに少し重めのでチェーンの長い原石ネックレスに黒のロンクカーディガンを着た見知った男性……、さっき祈ったのは中学時代部活は違ったが親しくしてもらった元先輩である彼の事だ。
「(また、)」
違う女性と一緒だ。
ガン見してしまいそうになったので視線を逸らして元先輩の鞄からぶら下がってるいる私のと似たような色の青いイヤフォンを見るようにした。
前見たときはロングヘアでキャラメルのような明るい色、その前は日本人形のように真っ黒な髪でパッツンのアイラインをキツメに引いて目がくっきりした人とあと男性がもう一人。
何しろあの人の周りには必ずと言っていいほど女性がいる。
中学の卒業時に諦めたつもりだがどうやらついていなかったらしい。
あの時からしては少しは考えも大人になったつもりだが未だに根本的なところは変わっていないと嫌と思う程思い知らされる。
と、話の方にはあまり気にしてはいなかったが話題的に気にしているのかハッとしてしまう一言を女性の方が言った。
「――――――……そういえば今彼女いないの?」
「!」
分かるように反応してしまったのではないか?
こめかみに少し汗を感じたがこれは周りに人が多いからということにしておこう。
赤の他人の会話を盗み聞きするのは若干罪悪感はあるがどうして見気になってしまい音楽を止めてイヤフォンは外した。
「……、」
どう、なのだろうか?
「んー、あー俺?一応いるんだけどねー。」
「!?」
一瞬膝から落ちそうな感じがして呼吸が止まりそうな感じがした。
嗚呼、やっぱりいるんだ。
「へーいるんだー。写真ないの?」
「あ、ごめん嘘ついた彼女じゃなくて完全なる俺の片思いだった。」
「あ、そうなの?」
“彼女じゃなくて完全なる俺の片思い”?
すこし気は取り戻したが実際は変わっていない。
「はぁー……。」
あの時に思いっきり失恋したと勉強したと思っていたのにまたここでもするとは思っていなかった。
そう思うと会話を聞いていると再び悲しくなるから音楽を聴こうと思ってイヤフォンを見たら少し笑えてきた。
まだ壊れてないけど、買い換えようかな。
そうだ、験担ぎで今度は“アカ”にしよう。




