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殺るか殺られるか

ローリーはトラヴィスに剣を向ける。

「悪いが、この獲物(クレア)は俺のものだ。お前が何て言おうと譲る気はないね」

ローリーはヴァンパイア・スレイヤー二人を目の前にしながらも、平然としていた。

「だったら本当にお前を殺すしかないようだな…」

トラヴィスは怒りがこもった口調で鞘から剣を抜き出す。

もはやトラヴィスの怒りは爆発しかけている。

「本気で俺を殺すのかい?」

すると、ジュリアはトラヴィスを止める。

「あんたが何者か知らないけど、ずいぶんとあたしの相棒を馬鹿にしてくれるじゃない」

ジュリアはローリーをキッと睨む。

「別に馬鹿にはしていないさ。ところであんたは誰だ。見かけない面だな?」

「あたしはジュリア。(トラヴィス)の相棒よ」

「なるほど。で、相棒にかわってあんたが俺と殺ろうってぇのか?」

「あんたがその気ならばね」

ローリーは目をチラリとクレアの方へ向けると、剣を踏んでいな片方の肩に突き刺した。

そのクレアは悲鳴を上げる。

「クレア!」

剣を突き刺された肩からは血かドクドクと流れる。

「何度も言うが、こいつは俺の獲物だ。それと今の俺をあまり怒らせない方が身のためだぜ」

「何だと?!」

今のローリーを支配しているのはクレアへの凄まじい殺意であった。本能が言ってやがるのさ。「この吸血鬼をあの世へ送ってやれ!」と。

獲物を殺そうとしているローリーはまるで狂暴な猛獣であった。

体内を流れる血の中にアドレナリンがまじっているのが分かる。

もう一刻も早くこの吸血鬼を殺したくウズウズしている。

ここでトラヴィスかジュリアが俺の目的を妨げようならばどちらか一人、いや二人まとめてあの世へ送ってやる!

「俺は人間を相手にするのは好みじゃないが、邪魔立てするんならば話は別だ」

ローリーは突き刺した剣を引き抜き、同時に肩を踏みつけている足をどかす否やクレアの顔面を蹴った。

クレアは一瞬、悲鳴を上げる。蹴られた拍子に口の中を切り、血が出ていた。

「やめろ!」

「おいおい。お前もクレアを殺すんだろ。だったら何でこいつの身を案じてるんだ?」

更にクレアの腹部を蹴る。

「どうせこいつは俺かお前に殺されるんだ。だったら身を案じる必要なんかないんじゃないのか?」

その瞬間、トラヴィスの怒りが爆発した。トラヴィスは怒声を上げながらローリーに剣を振り下ろす。

切られる寸前でローリーは剣を上げてトラヴィスの攻撃を防ぐ。

「もう許さん。まずは貴様から殺してやる!」

トラヴィスの言葉にローリーはハッと相手を小馬鹿にした様な笑みを浮かべる。

「おもしれえ。殺ってみな。だが、俺の命は吸血鬼より安くはないぜ」

ローリーはそのままの体勢で片足を上げて、トラヴィスの腹部を蹴り飛ばした。

その拍子にトラヴィスは背中から地面に倒れる。

「トラヴィス!」

ジュリアはトラヴィスの方へ近寄る。体を起こそうとを片手を伸ばすが、

「邪魔だ!」

気が立っているトラヴィスはジュリアの片手を乱暴に払い除け、体を起こした。

トラヴィスは怒りで我を忘れている。ジュリアの目の前に立つトラヴィスは自分の知るトラヴィスではなかった。

「相棒は大切に扱えよな。トラヴィス」

「黙れ。ざれ言を抜かすな!」

「ざれ言だ? ひどいことを言うんだな。俺の言ったことが分からないほどお前には学習能力がないのか?」

「ふざけるな!」

トラヴィスは再びローリーに攻撃を加える。一方ローリーはトラヴィスの猛攻を防ぐ。

トラヴィスの強さは本物だ。剣がなければ俺は間違いなく殺されていた。

「俺の邪魔ばかりしやがって。お前から始末してやる!」

トラヴィスは剣を握る力を強め、ローリーを押し倒そうとする。

ローリーはそうはさせまいと逆にトラヴィスを押し倒そうとするが、怒りが力の源となっているトラヴィスの方が力は上であった。

「このゴロツキめが!」

トラヴィスは怒声を上げながらローリーを乱暴に蹴り飛ばした。

ローリーが地面に倒れた瞬間、トラヴィスは剣をローリーの首へ振り下ろした。

が、ローリーはすかさず体を横に倒してトラヴィスの攻撃をかわす。

「相手の首を取るんならば、相手を固定しろよな」

ローリーは腰を上げる。

「俺はお前みたいな小者にアッサリ負ける奴じゃないぜ。にしてもこっちが大人しくしてれば図に乗りやがって。俺を本気にさせたことを後悔させてやる!」

トラヴィスの攻撃にローリーの怒りが爆発した瞬間であった。

ローリーは自分の目的を邪魔立てするのならば者がたとえヴァンパイア・スレイヤーであろうと容赦なく殺してやるのだ。

「減らず口もほどほどにしろよ…」

その時だ。二人の前にジャービスが姿を現して二人を止める。

「止めるな。ジャービス!」

トラヴィスはジャービスに声を張り上げる。

「そこまでだ。二人とも。剣を鞘に納めてもらいましょうか」

ジャービス二人(トラヴィスとローリー)に剣を鞘に納めるよう命じる。

「お前はよけいな首をはさむな。ジャービス」

「そうはいきません。今あなた方に死なれてはは困る」

ジャービスは二人を睨む。

ローリーは剣を鞘に納める。ジャービスはローリーが剣を鞘に納めたのを確認すると、頭をトラヴィスの方へ振り向ける。

「トラヴィス殿。僕は今後あなたに憎まれても構わないが、これだけは言っておきます。この女と殺し合いを演じても無意味なだけだ」

ジャービスの言葉にトラヴィスは「クソッ!」と一言悪態を吐いて剣を鞘に納めた。





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