魔法少女、
紙芝居屋の過去編。
僕は、その〝闇〟に飲まれて、死んだ。
闇は、自分を紙芝居屋と名乗った。
そして闇は、僕を闇に変えた。
いつしか僕は紙芝居屋になっていた。
これは、僕が闇に出会う前の物語。
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「おはよう」
浅野香織という少女は、クラスの人気者だった。
眉目秀麗、成績優秀、おまけに身体能力も優れている。
キング・オブ・ユウトウセイ。いや、クイーンとすべきか。
それに引き替えて、楠木風癒は、クラスの腫物だった。
ろくに手入れもされていない枝毛だらけの髪、荒れた肌、ついでに漫画みたいな瓶底メガネ。成績中の下、運動神経は幼稚園児のほうがまし。
クイーン・オブ・レットウセイ。いや、クイーンに失礼か。
そんな僕、楠木風癒は浅野香織と幼馴染で親友だった。そう、『だった』。
僕みたいなやつと香織がつるんでるのが気に食わない人は、大人にも子供にも沢山いた。だから、僕はいじめの対象になったのだ。
最初、香織は周りに訴えた。
「風癒をいじめるな」
「風癒は大切な友達だ」
しかし、そんなことでいじめがなくなることもなく。
香織は僕を諦めた。
僕と一緒にいることも、僕へのいじめを止めることも。
最終的には、香織も一緒になって僕をいじめるようになった。
「どんくさいやつ」
香織は僕の背中を蹴り飛ばしてそういったのだ。
世間では、いじめられる側にも問題がある、とよく言われている。
そんなのは、嘘っぱちだ。
だとしたら僕は、
偶々、『出来る子』と友達になってしまったことが『問題』だったのか。
僕は諦めた。生きることも、頑張ることも。
そんな時だった。
僕の前に〝光〟がやってきたのは。