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紙芝居屋と僕(欠)
最終章に入ります。理由は、めんどくさいから。
「もういい、やめてくれ。沢山だ」
僕は叫んだ。
「どうして」
「僕はこんな『転』は望まない。もっと普通の『転』機が欲しいんだ」
紙芝居屋は笑った。お面の下の顔は見えないままでも、紙芝居屋が笑ったのだとわかる。
「君はそんなに『結』したいのかい?」
「違う!」
僕は『欠』したくないだけだ。『結』したいのではない。
僕が欲しいのは本当に『転』なのか?
「そうか、だから君には光って見えたんだね」
紙芝居屋はその狐の面を外した。
顔がない。
そこにはただの丸い“闇”があるだけだった。
「僕には真っ黒に見えるんだ、この舞台」
紙芝居屋は笑っている……。
闇が、歪んで、歪んで、蠢いて。
「だから見せてあげるよ」
―――鬼障天欠の物語を。
これから始まる物語は『転』の物語だ。それまで平平凡凡な生活を送ってきた彼(?)の『転』の話だ。学校という空間、閉ざされた世界の中で彼は何を見るのだろうか。変化なき日常に何を望むのだろうか。