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紙芝居屋と僕2
牛乳大好きです。美味しい牛乳って本当においしいですよね。
紙芝居屋は紙芝居の最後の一枚を読み終え、舞台は荷台から降ろされた。
「これが、完結した物語?」
「そうだよ」
狐の面の向こうの表情は読むことができない。しかし、紙芝居屋の口元はきっと下品
につり上がっているだろう。
「それからこの『僕』はどうなったんだ?」
「消えたよ。」
そう答えながら紙芝居屋は次の紙芝居を舞台に入れ始めていた。
「消えた?」
「そう。物語が完成したら、主人公は消えてしまうんだ」
物語が完結したら、主人公は消える……。
「君も気を付けることだね。机の中に芋ようかんが詰め込まれていても、『転』がやって
こないように」
紙芝居屋は再び舞台を自転車の荷台に鎮座させ、そう言った。
「『転』がやってくる?」
「そう『転』が来たら次は」
『結』だ。