終わりへ
平凡な日常がどれ程すばらしいものか俺はこんな簡単なことに気づく事すら出来なかった
高校1年の5月18日、この世界を終わりを告げる夢を見た。
主系列星により安定していた惑星が崩壊し、核融合による大規模爆発、太陽の膨張、炭素の急激増加が一瞬のうちに起き、宇宙が収縮を始めあっという間に宇宙の終わりを遂げた、俺は震え、尋常じゃない汗をだし、ただただその光景を見ていることしかできなかった、そして宇宙の中心にポツりと佇む見覚えのある少女が目に飛び込んできた、少女は自分を見ていた、何かを伝えたい、そんな目だった。
俺は夢から覚めると、すぐさまパソコンに向かい、この夢の出来事について無我夢中で調べた
俺が夢で見た光景は人間原理に則った宇宙の老化、そして宇宙の終わりの瞬間だったらしい。
俺は不安で不安でしょうがなかった、今にも夢の出来事が実現するのではないかという恐怖、俺は夢だ夢だと言い聞かせ続けた、しかし、俺は夢ではないことは分かっていた、ただ認めたくないだけだった…………
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俺の名前は折紙 刻、5月の18日、宇宙の終わりの夢をみた人間の一人、そして人間を超えた力を得た一人。
今は7月の2日、俺の精神はある程度安定しいつもと変わらず学校に通っている、しかし事態は深刻な状況にあった
5月26日
自分には18日以来、変な力が宿った、それは物体を思うがままに移動させられる力、不気味だった、その能力のせいかなぜか俺はある場所に引付けられるように足を運んでいた。そしてある少年を発見した、一目で分かる、彼もあの夢を見た一人だ。
「ここに来たという事はあなたもあの夢を見た一人という事ですね」
もう驚かない、あの夢で俺の感覚神経は麻痺したんだな。
「私にも時間がないので簡単に説明します」
「私たちは夏音が鍵だと判断しています、夏音とは夢に出てきた少女のことです
そして今、能力を得た者の中には2つの考えが対立しています」
「1、宇宙の終わりに直面したときに夏音さんが何らかの行動を起こしてくれる可能性に賭ける考え。
2、夏音さんを殺害し、宇宙の老化が止まる可能性に賭ける考えの2つです。」
「しかしどちらも大きな問題点があります。
1つ目の考えの問題点は仮にいくつかの宇宙が存在するとして夏音さんが理想的な宇宙を作り上げるための実験としてこの宇宙の老化を進めたのなら、夏音さんが宇宙の終わりで何らかの行動を起こしてくれる可能性が低いということ。
2つ目の考えの問題点は、夏音さんを殺害しても宇宙の老化が止まらなかった場合、もう成すすべがないということです。
もしかしたら、私たちが宇宙の終わりに直面したときどのような行動をとるのか夏音さんが試しているのかもしれませんね」
「……夏音というのは夢にでてきた少女のことでこの地球に存在していると、あの夢を見た人たちは彼女が宇宙の終わりの鍵になると考えていてそして2つの考えどうしが対立し闘っている、これでいいか?」
「はい、そのとおりです」
俺が恐怖で押し潰されている間にここまで話が進んでいたのか、そして俺もこの2つの考えのどちらかに賛同しなきゃいけないわけか……。面白い
「……俺は1つ目の考えに賛同する」
「即決しなくてもいいですよ、時間ならまだありますよ」
「いや、1つ目でいい」
「なら、私と貴方は仲間です、私の名前は秋峰 奏と言います、」
「俺は―――」
「自己紹介は不要ですよ、私は貴方を知っています」
おいおい、俺って有名人だっけな
「だってクラスメイトじゃないですか」
「…………あ」
「思い出してくれましたか」
「どこかで見たことあると思ってたけど、悪い完全に忘れてたよ、影薄いし」
「貴方よりは薄くないと思いますよ?
そんなことよりも急ぎましょう、闘いが今さっき始まりましたすぐに合流します、大丈夫ですか?」
恐怖はない、俺はこんな世界に憧れていた、むしろ大歓迎
「ははっ、世界の命運をかけて、俺は全力で夏音を守る」
俺はこの日、夢の少女を命にかけて守ると誓った
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