55.笑う≠泣く
笑うことは
いいことみたい
泣くことは
悪いことみたい
そんなことないと思うのは
私が泣き虫だからでしょうか
泣くということが
もう少し認められていたら
例えば
笑うことと同じであったなら
世界はもう少し
優しいものになったかもしれない
あなたの隣にいる人は
あなたは
もう少しだけ
無理をしなくても
意地をはらなくても
良かったかもしれない
悲しい時は
わんわん泣いて
寂しいと言えたかもしれない
いつから
泣く、ということが
タブーになってしまったんだろう
泣く、ということが
弱くて
情けなくて
だらしのないことのように
なってしまったんだろう
大人だって
ただの人間だもの
子供と違うところを数えたら
その少なさに驚くよ
しっかりしなきゃいけないのは
わかってるよ
社会的責任とか
社会的義務とか
つきまとってくるのも
わかってるよ
学校にいって
会社にいって
家庭に残って
友人に気を遣って
上司に気を遣って
したくもない笑顔つくって
下げたくない頭を下げて
みんな必死に何かを守ってる
自分の存在理由を考えてる
感謝を忘れられた母親は
疲れた顔の夫に向かって笑う
私のこと、まだ愛してる?とは
聞けないまま
仕事でくたくたな父親は
妻の料理を美味しいと食べる
本当は何を食べても同じ味しか
しないのに
友達とケンカをした子供は
情けない自分を隠したくて
母親にも父親にも嫌われないよう
良い子を演じる
あぁ
どうして?
みんなこんなに弱いのに
みんなこんなに脆いのに
それでも
踏ん張るのは
それでも
平気なフリをするのは
どうして?
臆病な私たちは
泣くことを忘れたくて
幸せなら笑うべきだ、と
いつからか決めた
だからこそ
笑うことが辛くなった
あなたを
私の隣にいる人たちを
私は注意深く見つめる
いつでも
泣いていいよ、と
言えるように
見栄も意地もプライドも
立場も大人も子供も
どうでもいい
そんなことより
あなたの心が裂けそうで
苦しくて
苦しくて
生きることも
嫌になってしまうことの方が
私にとっては大問題
聞かせて
あなたのお話を
目から落ちる
涙とやらを
私は受け止めるよ
そして
最後に一つだけお願い
私が泣きたくなった時
泣いてもいいよ、と言ってほしい
それだけで私
そのあと
もう少しだけ
頑張れるから