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50.盗人


幸せを奪うのは

結局誰のせいでもなく


自分のせいなんだと思う



幸せを手放すのも

幸せをつかむのも



誰のせいでもない

自分のせい




いくらでも

自分は犠牲にできる


ただその先には

何が待っているのだろう








私の両足は切り取られ

膝から下は見えなくなった

誰に盗まれたのだろう

誰に助けを求めればいいのだろう



止血はすんだから

とりあえず

腕だけで這っていた

おかしなことに

痛みは苦しくなく

むしろなぜだか

心が落ち着いた



ところで私は

どこに向かっているのだろう

後ろから何かが追ってくる

それだけはわかっていた

首を絞められて

呼吸が止まったのは

その後すぐのこと




目が覚めると

今度は腕がなくなっていた

誰に盗まれたのだろう

誰がこんなもの必要としたのだろう



止血ができなくて

とりあえず

腕を地面に押し付けた

おかしなことに

どれだけ血が流れても

私の息がとまることはなく

鮮明に世界が見えた



ところで私は

この先どうすればいいのだろう

後ろから何かが追いかけてきても

逃げることはできないから

その姿を見てやった

その瞬間

目をつぶされた





もう目が覚めることはなかった

暗闇だけの世界

誰に盗まれたかはわかった

あれはもう一人の私、希望を捨てない私



色んなものを失ったから

とりあえず

諦めようと思った

おかしなことに

身体はとても軽くて

私は私に任せることにした




ところで私は

どこに行ってしまったのだろう

今度は私が後ろから追いかけて

私から色々な物を

奪っていくのだろうか

そんなことはできないな

もうそんな気力ないものね

もう一人の私が

今の私のようになるのは

あとどれくらいだろうか



どうか少しでも

幸せでありますように



私もあなたも

幸せでありますように

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