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15.いのち

命について、です。とりあえず。あたしは大切な命を失ってきました。大切な人も、大切な愛犬も。どうしようもない、やり場のない、そんな気持ちでいっぱいになって、涙が枯れるなんて嘘だと思いました。枯れるんじゃなくて心の中に流れて行くんだと思いました。だって、明日からは、明後日からはまた日常というものに追われなくてはいけなくて、笑わなくちゃいけないから。私は言ってあげたかった、「もういいよ」って。「よく頑張ったね」って。「ありがとう」って。「ごめんね」って。それと同時に、そうやって言ってほしかったのかもしれない、誰かに。




死んでしまった命は

どこに行くのでしょう


天国は本当にあるの

地獄は本当にあるの

神様は本当にいるの


それなら

どうか


あたしが大切に思う人たちは

天国にいけますように


おいしいものをたくさん食べて

仲間もたくさんいて

恋をして

だけどいつも笑っていられますように



泣かないでって

言おうと思ったけど

それはたぶん

あたし自身に送った言葉


寂しくて寂しくて

仕方がないのは

きっとあたしだから



目が覚めて

なんとなくわかった

身体がいつもより軽いということに


そして


目が覚めて

しっかりとわかった

一人ぽっちになってしまったということに



もう少しだけ寝ていたい

もう少しだけ君といたい


もう少しだけ笑わなくていいように

もう少しだけ泣いていられるように


もう少しだけ頑張らなくていいように

もう少しだけ一人ぽっちでいられるように



白い鳩が飛んで行った

君だったのかい


白い雲が流れて行った

君は乗れたかい


白い服を着て行った

あなたからもらったもの


あたしには

これくらいしかできなかった


遠くで声が聞こえる

あの時と同じ

命が始まったみたい


この気持ちは

どこにしまえばよかっただろう

この涙は

どこにしまえばよかっただろう




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