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03話 影獣襲来―戦慄の学園決戦

夕暮れ時、教室の窓からは、学園の寮や訓練施設の建物が見える。

日が沈みかけ、みんなはそれぞれ自分の寮へ戻っていった。


「佐藤くん?」


後ろから声をかけられて振り返ると、 綾瀬 舞が立っていた。


「みんなもう帰ったよ? なんでまだいるの?」


「スキルがなくて、なんか居場所がない気がしてさ」


素直に言うと、彼女は少し驚いた表情を見せた。


「そんなことないよ」


 舞はにっこりと笑った。


「私も最初は不安だったけど、先生もみんなも支えてくれるし、ちゃんと変われると思う」


その言葉に、心の奥のもやもやが少し晴れた気がした。


「ありがとう、舞」


「また明日、一緒に頑張ろうね」


二人だけの放課後の教室で、少しだけ未来が輝き始めていた――。


翌日の朝、学園の広い廊下を歩きながら、俺は緊張と期待が入り混じった気持ちを抱えていた。

今日はいよいよ第七班のメンバーと初めて顔を合わせる日だ。


教室の扉を開けると、すでに数人の生徒が集まっていた。

その中で一際目立つ男が、教室の入り口に立っていた。


身長は高く、短く黒く整えられた髪。鋭い眼光と引き締まった体つきからは、凛とした自信がにじみ出ている。

彼がこの班のリーダー、風間隼斗だった。


「おい、遅いぞ。誰だお前?」


風間の声は低く、鋭かったが、どこか筋の通った響きがあった。


「……佐藤蓮です。よろしくお願いします」


俺は少し声を震わせながら答えた。


風間はじっと俺を見つめ、軽く頭を下げた。


「風間隼斗だ。よろしくな。俺たちは選ばれし者だ。だからこそ、この班で最強を目指す」

「この班のリーダーは俺だ。全員を引っ張っていくつもりだ。ついてこい」


彼の言葉には揺るぎない覚悟が宿っていて、自然と俺の背筋が伸びた。


「わ、わかりました。ついていきます」


すると、隣の席から女の子が顔を出した。


「ふふ、風間くん、怖い顔してるけど、本当は面倒見がいいんだから」


その声の主は、綾瀬舞だった。

彼女は俺を見て、にっこり微笑む


教室の空気が少し和んだ気がした。


その日の朝陽は、まるで新しい物語の幕開けを祝福しているかのようだった。


夕暮れ時、学園寮の静かな廊下。

俺は自分の部屋の前で鍵を開けようとしていた。


「佐藤くん」


背後から声がして振り返ると、綾瀬舞が立っていた。


「一緒に帰ろうって言ったけど、先に戻っちゃってごめん」


「いや、大丈夫。」


俺は自然に答える。


「今日の訓練はどうだった?」


舞が真剣な表情で尋ねる。


「正直、まだ不安がある。でも、みんなと一緒に頑張りたいと思ってる」


「そうだね。私も同じ気持ち。これからもっと強くなろう」


互いにうなずき合い、戦う仲間としての決意が胸に刻まれた。


「じゃあ、また明日な」


「うん、また明日」


それぞれの部屋の扉を閉め、寮に静けさが戻る。




次の日の朝――




教室の空気はいつもと変わらず、静かで落ち着いていた。

先生の声が黒板に書かれた文字をなぞるように響く。


「さて、今日は戦闘スキルの基礎理論について説明します…」


俺はノートにペンを走らせながらも、どこか気が散っていた。

窓の外の風景がいつもよりざわついている気がしたからだ。


突然、遠くから不穏な地鳴りが響く。

その音は次第に大きくなり、校舎全体が微かに震えた。


「何だ、今の音は…?」


ざわめき始める教室。先生も動揺を隠せず、窓の外を見つめる。


視界の隅に、巨大な影が学園の門をくぐり抜けて入ってくるのが見えた。


「影獣だ…!」誰かが叫ぶ。


窓の外に現れたのは、異形の怪物。巨大な爪と鋭い牙を持ち、黒い鱗が光を吸い込むように鈍く輝いていた。


「全員、戦闘班は配置につけ!」先生の声が震えていた。


俺は咄嗟に席を立ち、胸の奥から湧き上がる熱い力を感じた。

「やるしかない……!」


教室は一瞬で緊迫した戦場へと変わった。



影獣の咆哮が辺りに轟き渡り、俺たち第七班は学園の中庭で激しい戦闘を繰り広げていた。

風間隼斗が冷静に指示を飛ばす。


「佐藤、風上を狙え!舞は後方支援に回れ!」


「わかった!」俺は必死に剣を構え、影獣の動きを見極める。

舞は魔力を込めた矢を放ち、的確に敵の弱点を狙った。


しかし、影獣の攻撃は凄まじく、鋭い爪が風を切り裂きながら襲いかかる。

俺の防御がわずかに遅れ、肩に激しい痛みが走った。


「うっ…!」膝が震え、踏みとどまるのがやっとだった。

「佐藤くん、大丈夫!?」舞の声が耳に届くが、返事をする余裕もない。


風間は冷静に仲間の様子を確認しつつ、自らも鋭い一撃を放つ。

だが影獣の皮膚は硬く、なかなか致命傷を与えられない。


「くそ……! こんな相手に苦戦するなんて」風間の声に焦りが滲む。


仲間たちも疲弊し、何度も攻撃を受けてはよろめく。

綾瀬舞は矢を放つ手が震え、額には汗がにじむ。


「まだ、負けるわけにはいかない……!」


俺は意を決して影獣の懐に飛び込み、全力の一撃を浴びせた。

だが、硬い鱗に弾かれ、逆に爪で腕を深く切られてしまう。


「ぐっ……!」痛みで唸り声をあげる。


仲間も次々と傷を負い、息が荒くなる。

風間が鋭い目で仲間を鼓舞する。


「諦めるな! ここで負けたら、俺たちの意味がない!」


だが、影獣の猛攻はさらに激しくなり、俺たちは押し込まれていく。

足元をすくわれ、何度も倒れそうになる。


「まだ…いける……!」


必死に立ち上がり、俺は仲間の元へ駆け寄った。

舞も倒れかけていたが、俺の声に励まされ、もう一度踏みとどまる。


「俺たちは、絶対に負けられない――!」


激しい痛みと疲労に耐えながらも、仲間の顔を見て決意を新たにする。

血と汗が混じる中庭に、俺たちの闘志が静かに燃え上がっていた。


影獣の鋭い爪が迫る中、俺たちは全力で防御と反撃を繰り返した。

疲労が体に重くのしかかり、息が荒くなる。


腕にかすり傷はあったものの、仲間の誰も致命傷を負わず、必死に戦い抜いている。

綾瀬舞も集中を切らさず、冷静に攻撃を支援する。


「もう少しだ、みんな。ここを乗り越えれば――」


風間の声が俺たちの背中を押す。


影獣の猛攻は激しいが、俺たちの意志は折れなかった。

傷つきながらも互いに支え合い、最後の力を振り絞る。


「絶対に負けるわけにはいかない――!」


その叫びが、俺たちの心に新たな力をもたらした。

そして、激闘はまだ続く。

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