超常現象研究部⑥
「千晶に戻る所を、人に見られたーーー!?」
学校に戻り入部届を出した後、千晶の様子がおかしいと感じた優里香は千晶に帰るのを待ってもらいその帰り道で千晶を問い詰める。
千晶も自分の正体を知っている優里香に隠す気は無かったのか、正直に事情を説明した所だった。
「声がデカい!誰かに聞かれたらどうするんだ!?」
千晶は優里香の声に注意を促す。幸い周囲に人はおらず、今の会話を聞かれることはなかった。
「ごめんごめん。………でも、どうしてそんな事になったの?」
「ああ、実は…………」
優里香の疑問に、千晶は幼稚園で起きた出来事をかいつまんで説明した。
「そっか………千晶らしいね」
「はぁ!?どういう意味だよ」
優里香は少し考えた後にそう答える。その答えに千晶はムッとなる。
「だって千晶はその子の為に何か出来るか考えた結果、変身して勇気付けようとしたんでしょ」
「………別に、そんなんじゃ」
図星を突かれたのか千晶は言葉に詰まる。
「って、今はそんな事言っている場合じゃないね」
と、優里香は脱線しかけた話題を元に戻す。
「それで、どうするの千晶?」
「………正体を知られた以上、下手な事をして大事になる前に何とかしたいし、近い内に会いに行こうと思う」
優里香の言葉に、千晶は前を向きながらはっきりと答える。
「そう……ならその時は私もついて行く」
そんな千晶に対して、優里香は千晶の方を見ながらはっきりと答える。
「ついて行くって……そんなことしたら向こうの迷惑になるんじゃ」
「そもそも向こうも千晶一人で来い何て言ってないでしょう。それに、もし迷惑って言われたらたらその時はその時だし」
あっけからんとする優里香の態度に千晶は少し考え込む。
「分かった。ついて来てくれると助かるから、もしそうなったら当日はよろしく頼む」
そう言って千晶は優里香に頭を下げる。
「別に良いよ。私と千晶の中だもん。と言うか日程は決まっているの?」
と言う優里香の問いかけに、まだ日程を決めていない事に気付く千晶であった。
「…………そうですね。それでしたら今週の土曜日が空いているのでその日の午後にいたしますか?」
優里香に促され、千晶は早速件の女性…………初江に電話を掛ける。初江は前会った時と変わらず丁寧な口調で、日程を決めていく。
「ええ大丈夫です。それと、その日にもう一人連れて行きたいのですが大丈夫ですか?」
千晶は日程を了承しつつ、初江に優里香を連れてって良いかの提案をする。
「ええ、こちらは構いませんが……その方はどういった方なのですか?」
電話越しに初江の訝しむ声が聞こえる。千晶は優里香の方を向いて、目線で話して良いかの確認を取る。その視線に優里香は気付くとうんと頷いたので、千晶は話を続ける。
「…………俺の幼馴染で、俺の正体を知っている人物です。だから今回の話に加わっても問題ないかと?」
流石に協力しているとは言えずに当たり障りのない返答をする。すると、初江は少し悩んだ後に答える。
「分かりました。では今週の土曜日お待ちしています。場所は名刺の裏に住所が書いてありますので」
そう言って電話は切れ、千晶は優里香の方を見る。
「どうだった?」
優里香の問いに千晶は大きく頷く。
「大丈夫だって。で、日時は今週の土曜日の午後。白石、お前に確認取らなかったが予定とか大丈夫か?」
「大丈夫だよ。仮に予定があったってこっちを優先するよ」
優里香の言葉に千晶は申し訳ない気持ちになる。そんな千晶を見て優里香は慌てて声を上げる。
「嘘嘘、最初から予定はないからそんな顔しないで」
「そうか…………ありがとな」
千晶の感謝の言葉に優里香は無言で頷き、慎重な顔になる。
「それにしても、その人一体何が目的何だろう?」
「?どう言う事だ」
優里香の疑問に千晶も疑問を浮かべる。
「だって、急に目の前で姿が変わった人を、話したい事があるからって後日自宅に招くなんて…………普通じゃないよ」
「………確かにそうだよな。でも…………」
「でも?」
(あの人、前に会った事があるような気が…………)
千晶は少し考えた後に、首を横に振る。
「いや、多分俺の気のせいだろう」
「なにそれ、こっちは真面目に考えているのに」
その後、優里香と千晶は共に考えるが結局結論が出ずに、二人はそのまま別れるのだった。




