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超常現象研究部⑤

「えっ……女の人が急に男の子に…………!?」


「………ッ!?」


 千晶が声のした方を向くと、口に手を当てて、驚愕の表情を浮かべる女性が自分を見ている事に気付いた。


(ま、まさか……俺の正体が…………バレた!?)


 あまりの緊張事態に千晶の頭は混乱を極める。そんな中、女性は落ち着きを取り戻すとじっと千晶の顔を見つめる。


「…………貴方、もしかして」


 すると、女性は恐る恐るといった感じで千晶に近づき、顔を覗き込む。


「えっ……あの……えっと……」


 未だ混乱しているのか、千晶は女性のされるがままになってしまっている。


「やっぱり………貴方、お名前は?」


 すると、女性は一人納得したのか一人で何度も頷くと唐突に千晶に名前を尋ねてくる。


「天風……天風千晶です」


 千晶は未だ混乱しているのか、正直に答える。すると、女性は懐から名刺を、鞄からペンを取り出すと裏に何かを書き、千晶に差し出す


「天風君………突然で申し訳無いけど、貴方に話したい事があるの。時間がある時でいいのから私の家に来てもらえるかしら?」


「えっ!?」


 突然の提案に千晶の混乱はますます深まる。そんな千晶を他所に、女性は話は終わりとばかりにその場を去ってしまう。


(どうすっか……正体を見られちゃったし、あの人の名前も……)


 そこで千晶は手に持った名刺を見る。そこには佐藤初江と言う名前と、裏に家の住所と携帯の電話番号であろう数字が記されていた。






 その後、千晶を見つけた担任の杉山順子に物凄い勢いで怒られた以外、特に問題もなくボランティアは終了した。

 千晶達は園児達に別れを告げて幼稚園を後にし、順子の車に乗り込む。


(良かった。チヒロくん仲良くなったみたいで)


 チヒロは何人かの園児と楽しそうにしていた。その様子を見た千晶は内心で胸をなで下ろしていた。


「今日は皆ありがとな。手伝ってくれて」


 車を運転しながら唐突に順子がそう言って来た。


「いや~。久々にかなり身体を動かしたから、明日は筋肉痛なりそうだわ」


「それはお前だけだな。精神年齢が同じ位なのか、ずっと走り回ってたからな」


 金山のぼやきに、すかさず中山がツッコミを入れ、車内に笑いが木霊する。


「でも、園の先生達は感謝していたぞ。出来れば、また遊びに来て欲しいって」


 そんな順子の言葉に千晶達は考え込んでしまう。そんな空気を察してか、今まで黙っていた直輝が口を開く。


「行く時も言いましたが、僕達は皆さんに強制は出来ません。だからそんなに深く考えなくても大丈夫…………」


「俺、入部するわ」


 直輝の言葉を遮って金山が口を開く。


「今日のボランティアもすげぇ面白かったし、何より超常現象の調査がどんなもんか興味あるしな」


 そう言って金山は直輝の方を真っ直ぐ向く。


「と言うわけで、学校に帰ったら入部届を出すからからそのつもりでな!」


 そう言って金山は直輝に笑いかける。すると、直輝はスッと金山から顔を背ける。


「えっと、あの……ありがとう」


「俺も入部する」


 すると、金山に釣られるように中山も入部を希望し始めた。


「コイツを放置すると、何しでかすか分からんからな。俺も入部させてもらう。構わないな?」


「おい!どう言う意味だよ!」


 中山がそう言う隣で金山が文句を言っていたが、中山は無視して話を進める。


「…………私も入部しようかな。超常現象の調査っていうのもしてみたいし」


「皆さん……ありがとうございます!」


 そして、遂には優里香も入部を希望し始める。その言葉に直輝は顔に涙を浮かべながら笑みを浮かべていた。


「俺は………」


 そんな中、千晶は一人曖昧な態度をとっていた。千晶は入部しようか悩んでいるようだった。


「…………天風、別に無理に入部しようとする必要はないぞ」


「先生」


 そんな千晶の態度を察してか、順子が千晶に声をかける。その言葉に千晶はますます申し訳なくなってしまう。


「………天風君。超常現象研究部はいつでも部員を募集しています」


 そんな千晶に、嬉し涙を拭った直輝が優しく声をかける。


「もしこの先、天風君が部活に入りたいと思ってくれたなら何時でも声をかけて下さい。何時でも大歓迎です」


 そう言って直輝は千晶に笑いかける。その態度に、千晶は若干だけど心が軽くなるのを感じた。


「そうか………ありがとう朝霧」


「そうだぜ天風!」


 すると、金山がいきなり話に割り込んできた。


「お前はゆっくり悩んでから入部しろ!そうすればお前に先輩風を吹かして色々教えられるしな」


「お前に先輩面されるのは、ゾッとするな」


 と言う二人の漫才をBGMにしながら、やがて車は学校に到着しようとしていた。


「………………………………」


 そんな千晶の様子を優里香は無言で見つめていた。



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