超常現象研究部②
「超常現象研究部………聞いた事あるよ」
順子に部活の助っ人を頼まれた夜、千晶はスマホで昼間あった事を優里香に報告していた。
「本当か?白石」
「うん。うちの学校で結構名が通っていて、実際に超常現象について調査しているらしいよ」
千晶の問いかけに、優里香は電話越しに答える。
「調べた内容は学校の掲示板に載せたり、動画サイトにアップしたりしているらしいの。けど…………」
「けど?」
すると、今まで饒舌に説明していた優里香の説明が急に途絶える。
「去年殆どの部員が卒業しちゃって、今は私達と同学年の男子が一人らしいのよ」
「……そうなのか」
優里香の説明を聞いて千晶は一人頷く。昼間、千晶は今後について悩んでいる所、担任の杉山順子に見つかり、半ば強引に悩み事を言わされたのだ。とは言っても本当の事を話す訳にいかず千晶は少し誤魔化すように話をした所、翌日に部活の助っ人を頼まれたのだ。その部活というのが今話題に上がっている超常現象研究部なのである。
(優里香に聞いたおかげで、先生が適当な事を言っていない事が分かった。さて……どうなるかな)
「ねえ、千晶?」
千晶が考えていると優里香が問いかけていきた。
「ん?どうした?」
「杉山先生。その部活の助っ人に何人か来て欲しいって言っていたんだよね?」
「ああ、出来れば二、三人来てくれればって言っていたな」
優里香の言葉に、千晶は順子が言っていた事を思い出した。
――なら明日の放課後私に付き合え。出来ればもう二、三人連れて来てくれると助かるが――――
(成る程。あれは部員が一人しかいないから俺に声をかけたのか…………)
「じゃあさ、私も参加しても良い?」
千晶が一人考えていると、電話越しに優里香が問いかける。
「ああ、まだ誰にも声をかけていなかったから別に良いけど……超常現象に興味でもあるのか?」
優里香の言葉に千晶は了承し、疑問を口にする。
「ううん。別にそう言うんじゃないけど、さっき言っていた残っている男子部員に興味があって」
「えっ!それってもしかして…………」
千晶が指摘しようとすると、電話越しに向こう側が騒がしくなる。
「あっ、ごめん!お母さんに呼ばれちゃったから電話切るね。じゃ、また明日」
「お、おい!白石!」
そう言うと優里香は一方的に電話を切る。千晶は電話の切れたスマホをしばらく見つめた後、ベットに放り投げ、自身もベットにダイブする。
「…………まあ白石も年頃の女子だし、気になる男子が一人いても可笑しくはないか……」
そう自分に言い聞かせながら悶々とした夜を過ごす千晶であった。
「いやー。このメンツで部活動なんて初めてだから緊張するわ〜〜〜」
「………とても緊張している奴の言葉には聞こえんがな」
翌日の放課後、千晶達は超常現象研究部の部室に向かっていた。ただし千晶と優里香の二人だけでなく金山と中山の二人も一緒だ。
と言うのも、その日の昼休みに優里香が彼らに声をかけていたのだ。
「二、三人って事は多少人数が増えても大丈夫だよね?」
と言う優里香の謎理論が展開された後、二人に声をかけた所、二つ返事でオッケーが出たのだった。(と言っても了承したのは金山のみで、毎度の事ながら中山は付き合わされただけなのだが………)
「と言うか、場所こっちであっているのか?」
と、前を行く金山に中山が問いかける。
「うーーーん。多分合ってると思うんだけど、そもそも俺、文系の部室なんてどこにあるかなんて覚えてねえよ」
「…………お前って奴は、てっきり知っていて前を歩いてたんじゃないのか!?」
「えっ…………あーーーいや間違ってたら誰かしら言ってくれるかと思って…………」
反論する金山の言葉にため息を吐きながら中山は近くにいた生徒に聞き込みを開始する。二人は手伝おうとしたものの、中山は金山を引きずって行ってしまったので完全な手持ち無沙汰だ。
「二人が乗り気で良かったね。千晶」
そして、手持ち無沙汰になった優里香が千晶に話しかけてきた。
「乗り気なのかはともかくとして、俺自身も何をやるかはまだ分かってないけどな」
千晶はそんな優里香に対してそっけない態度で答える。
「…………どうしたの千晶?」
優里香はそんな千晶の態度が気になったのか、優里香は千晶に問いかける。
「いや、お前が昨日言っていた男子生徒って一体どんな奴なのかなって……」
千晶は昨日電話で話してた事の続きを優里香に問いかける。優里香は少し考えた後、口を開く。
「ああ、朝霧くんの事ね」
優里香の口からその生徒の名前が出た瞬間、千晶の顔が強張る。
「去年の期末テストの総合得点で私一回も勝った事がないのよ。だから部活をしながらどんな勉強の仕方をしているのか気になっちゃって」
優里香は何でもない事のように答える。その答えに千晶は目が点になる。
「…………それだけ?」
「それだけだけど。クラスも違うし話す機会がなかったから…………あ、でも部活の助っ人はちゃんとやるよ。………封印の鍵の手掛かりがあるかもしれないし」
千晶の態度に優里香は慌てて謝罪をする。そして、急に声のトーンを落として真面目な話をする。
「まあな、つっても手掛かりがあるかどうかは分かんねえけど……」
「そこは深く考えずに、何か手掛かりあれば良いかな、ってぐらいで構えていれば良いんじゃないかな?」
千晶の言葉に優里香は気楽に言い放つ。すると、聞き込みをしていた中山達が戻って来た。
「すまん。待たせた」
「いや大丈夫。…………その人は?」
千晶は中山達の後ろに見慣れない男子生徒がいるのに気づく。
「初めまして。僕は超常現象研究部二年、朝霧直輝です」
千晶の視線に気づいた男子生徒はそう言って千晶達に挨拶してきた。
見た目は中肉中性で眼鏡をかけており、如何にも文系部という感じの男子だった。
「部室の場所を聞いている時に向こうから声をかけてきてくれたんだぜ!」
と、金山が自分の手柄のように言う。その後で中山にどつかれたのは言うまでもない。
「ええと、杉山先生から話は伺っています。天風千晶さんと………お手伝い下さる方々で間違いないですか?」
金山と中山のどつき合いを見て、心配をしながら直輝は千晶達に問いかける。
「ああ、今日はよろしくな。あと、同い年なんだからそんな堅苦しい喋り方じゃなくてもいいぞ」
あの二人はいつもの事だから、と金山と中山の方を見ながら千晶は付け加える。
「そうしたいのですが………これは癖みたいなもので。じゃあ、今から部室に案内するからついて来て下さい」
そう言って、直輝は皆を引き連れて歩き出す。千晶は若干苦笑を浮かべながら直輝についていくのだった。




