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直接対決!フラワーナイト・リリィVSブラックリリィ ③

気がつくとリリィの姿は変身前の千晶に戻っていていた。そして彼は見覚えのある空間にいる事に気づく。


「ここは……あの時の」


 そこは一面真っ暗な空間であった。この空間は彼が以前ウッドデーモンという化け物と戦った時、意識を失った際に来た場所にそっくりであった。


「前も来た時も思ったけど此処は一体?」


 ……………………………………此処は貴方の心の中です…………………………………………


 すると、またしても此処に来る前に聞いた声が聞こえてきた。そして彼の目の前に光の玉が現れる。

 やがて光の玉は、形を変えて徐々に人の形に変化していく。そして千晶は目の前の人物を見て驚愕の声を上げる。


「……リリィ?」


 目の前の人物は千晶が変身した姿、フラワーナイト・リリィにそっくりだったのだ。ただ千晶が変身するリリィと違い、服装は白いワンピースのみで足も裸足である。


「リリィ?……私は貴女に力を授けた者です。多分この姿は貴方が強くイメージした結果のものだと思います」


 そう言って少女は自分の身体を見つめて答える。そして少女の答えに千晶はある事に思い至る。


「力を授けたって……じゃああの時、俺に語りかけて来たのは」


 千晶は自身が最初にリリィに変身する時も何者かの声を聞いていた。それも目の前の少女だと思ったのだ。

 千晶の言葉に少女は頷く。そして、真剣な目で千晶を見つめる。


「な、なあ。アンタは一体何の為に俺に力をくれたんだ?一体どう言う理由があって」


「それはいずれ説明します。それよりも……良いんですか?このままで」


 千晶の言葉を遮って少女は千晶に問いかける。その迫力に、千晶は押し黙る。


「……良いも悪いもどうしろってんだよ!ブラックリリィは強い!俺がいくら頑張ったってアイツには勝てない!なら、俺一人が犠牲になって皆が平和に暮らせる方がいいに決まってるだろ!」


 少女の迫力に負けて千晶は思わず捲し立てる。少女はそんな千晶を黙って見つめている。


「アイツの言う通りだ。現実はアニメみたいに単純じゃない……正義が必ず勝つ。諦めなければ勝てるなんて事はないんだ。なら……」


「千晶」


 一人捲し立てる千晶を少女が一言で遮る。


「千晶。貴方は最初、何故力を欲したの?」


「何故ってそれは………もう目の前で誰かを失いたくないと思ったから」


「それだけ?」


 少女に問われ、千晶はあの時の己の考えを思い出す。


「…………俺はあの時、優里香を守りたいと思った」


「そう。貴方はあの時、彼女を守りたいと強く願った。それがこの力の本質」


 そう言って少女は千晶に近づき両手を強く握り締める。


「この力は敵を倒す為のものじゃない。誰かを……大切な人を守る為の力。千晶、もう一度聞くわ。本当に良いの?貴方には守りたい人が…………これからも一緒にいたいと思える人がいるんじゃないの?」


 少女に問われ千晶は考える。


(一緒にいたい人……友達……)


  

 ……………………お前と知り合えた事だ。俺はお前の事を友達だと思っている……………………

  


 ………………そうそう。俺達はもうダチだぜ。そんなに深く悩む事じゃないと思うぜ…………



(金山………中山……俺を友達と呼んでくれた二人)



……………………私ね……もう一度千晶と仲良くなりたい。千晶がどう思っているかは分からないけど……私、諦めないから……………………


 

(優里香……)


 

「……決まったみたいね」


 少女は千晶を見ながらポツリと呟く。


「ああ。ありがとう……あんたの事をなんて呼べば良いかわかんないけど、最後まで守りたい者の為頑張ってみるわ」


 千晶は少女に笑顔で答える。その表情は決意に満ちていた。


「ええ……私の事は好きに呼んで下さい。また……近いうちに会えると思います」


「えっ?それって…………」



 言い終わる前に千晶の意識は途絶えていった。



 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






 気がつくと千晶は現実に戻っており、リリィの姿になっていた。そして目の前にはブラックリリィの姿があった。


(あれ?私一体どれくらい意識を……)


「リリィちゃん。もうお返事は決まった?あんまり待たされるの嫌なんだけど」


 ブラックリリィはリリィの顔を見つめて問いかける。その様子からそう長い間、意識を失っていなのだろうとリリィは気づく。


「……ええ。決めました」


「そう。じゃあこれからよろしくねリリィ……ッ!」


 ブラックリリィの言葉を遮り、リリィは落とした剣を拾い、そのまま横薙ぎに振るう。しかし、ブラックリリィは素早く回避し、リリィとの距離を空ける。


「あらあらどうしたのリリィちゃん?まさか、勝てないと分かってるのにまだ私に挑むつもりなの?」


「…………勝とうなんて思っていません」


 ブラックリリィの言葉にリリィはポツリと呟き、剣を正眼に構える。


「……どう言う事リリィちゃん?もしかして頭おかしくなったの?」


 ブラックリリィはリリィの正気を疑い始める。


「………思い出したんです。私が初めて変身した時、私は幼馴染を助けたい一心でした。もう誰も失いたくない。そんな思いで今日までやってきました」


「………………………………」



「けど今まで私は、貴方を倒す事だけを考えていました。でも違ったんです。私の力は誰かを守る為の力……今は守りたい人が増えて、一緒にいたいと思える人が出来ました。だから……」


 そう言ってリリィはブラックリリィを真っ直ぐに見つめる。


「貴女の提案を受け入れるつもりはありません。私は……最後まで戦います。守るべき者の為に!」


 リリィの言葉にブラックリリィは笑みを深める。


「…………そう。ならリリィちゃんに、もっと現実の厳しさを教えてあげないとね!」


 そう言ってブラックリリィは、一気にリリィとの距離を詰めようとする。

 すると…………




 ――――――――――――ピカァーーーーーーーーー!――――――――



 リリィの全身が強烈に光り出したのだ。


「くっ!眩しい!…………一体!?」


 あまりの眩しさにブラックリリィは手で目を覆う。やがて光が弱くなりブラックリリィが目を開けると、全身に光を纏ったリリィが立っていた。


「…………なるほど、それはウッドデーモンを倒した時の技ね。でも残念、私はウッドデーモンより遥かに強いわよ!」


 言うや否やブラックリリィはリリィとの距離を一気に詰める。そして、彼女の腹に再び風を纏わせた拳を見舞おうとする。

 しかし…………


「…………ハッ!」


 リリィはブラックリリィの拳を難なく回避し、返す刀でブラックリリィに斬撃を入れる。


「ッ!キャアアア!」


 ブラックリリィは咄嗟に下がって回避しようとするが、間に合わず斬撃を身体に浴びてしまう。


「くっ……ハァ……ハァ」


(何?急にリリィちゃんが私の動きについてきている?まさか………そんな事!?)


 傷口に手を当てて回復をしながらブラックリリィが一人思案をしていると、目の前のリリィの姿が一瞬で消え失せてしまった。


「ッ!一体何処に?」


 ブラックリリィが辺りを見回していると、突如目の前にリリィの姿が現れる。リリィはそのままブラックリリィに斬撃を繰り出す。


「ふっ!……ハァ!」


 ブラックリリィは気迫と共に斬撃を避ける。そして今度はお返しとばかりに風を纏わせた拳を繰り出す。


「…………ハッ!」


 リリィもまた拳を回避し、斬撃を返す。そして二人はしばしの間接近戦で乱舞をする。


(……凄い。身体が軽い……ブラックリリィの動きについていけている。でも急にどうして?)


 …………それが本来の貴女の力です………………


 すると、リリィの頭の中に声が響いて来た。声は先程の少女のものだった。


 …………この力は想いによって強さが変わります。貴女が守りたいと思う気持ちに力が呼応した結果、彼女に匹敵する力を得られるました。今の貴女なら彼女を倒すことが出来ます。…………


(なるほど………………なら、今がチャンスです!)


 少女の声を受けてリリィのスピードはさらに上がる。一方のブラックリリィは焦りを感じていた。


(マズイわね。私………余り接近戦向きじゃないし、此処は一旦距離を取って……)


 ブラックリリィは攻撃の間を縫って空中に避難する。


「ッ!逃しません!」


 しかし、リリィもフラワービットを使ってブラックリリィを追撃する。


「うふ!かかったわね。ハァ!」


 すると、リリィに向かって地面から木の根のようなものが伸び、リリィを拘束する。


「ウフフ。甘いわねリリィちゃん。実はさっき、近くにウッドデーモンの種を植え付けて置いたの。まだ成長途中だから根しか出てこないけど、これからリリィちゃんのエナジーを吸ってどんどん……」


………………………………ブチブチブチ………………………………


 ブラックリリィが言い終わる前に、リリィは根っこの拘束を力強くで引きちぎる。そしてフラワービットで形成した足場に乗りブラックリリィを見つめる。


「くっ……この!」


 ブラックリリィは右手を突き出し風を発生させリリィを攻撃する。しかしリリィは剣を一閃させ風を切り捨てる。


「…………もうやめましょう。ブラックリリィ」


 リリィは静かにブラックリリィに問いかける。


「やめるって……どう言う意味?リリィちゃん」


 ブラックリリィは静かに怒気のはらんだ声で問い返す。


「これ以上の戦いは意味がありません。貴女の目的を話して下さい、私で協力出来ることがあれば手伝います。だから…………」


「ウフフ……アハハハハハハハッハ!」


 リリィの言葉にブラックリリィは声を上げて笑い出す。


「自分が優勢になったからって良い気になるのはやめてくれない!私はまだ負けていないわ!…………良いわリリィちゃんがその気なら次で決着をつけてあげる!」


 そう言うとブラックリリィから強烈な突風が辺りに吹き荒れる。


「ッ!……キャア!」


 あまりの強さにリリィは地面に落下するが、咄嗟に体制を整えて地面に降り立つ。そして、空を見上げてると巨大な風の塊が渦を巻いていた。


「どう?リリィちゃん。これが私の最強の技。これを地表に落とせば半径数百メートルは竜巻にあったような被害になるわ!」


 ブラックリリィは風の塊持ち上げるように、両手を天に突き出しながらリリィを見下ろす。


「そんな事させません!……ッゥゥ……」


 リリィは何とか止めようとするも突風の勢いが凄まじく、ブラックリリィに近づくことが出来ない。


「無駄よ!今のリリィちゃんでもこれは止められないわ!大人しく最後の時を楽しむことね!」


 そう言ってブラックリリィは両手を放り投げる動作をする。すると風の塊は地表に向けて落下し始めた。


「くっ!光よ!集え!フラワーナイトスプラッシュ」


 リリィは両手で剣を構え、剣先から光の奔流を生み出す。光は風の塊とぶつかり、シーソーゲームを開始する。


「ウフフフフフ」


「くっ!ゥゥゥゥゥゥ」


 しかし、明らかにブラックリリィの方が優勢だった。風の塊は光を呑み込み、そのまま地表に迫ろうとしていた。


「ウフフ。これで終わりねリリィちゃん」


 ブラックリリィは風を操る手に、更に力を込める。


「ん……くっアアアアア!…………くゥ!」


 リリィは迫る力に思わず片膝をついてしまう。


「…………もる…………私は……皆を…………」


 しかし、リリィの目は未だに闘志の色を失っていなかった。


「私は大切な人達を絶対に守るんだ――――――――!」


 ――――――――――――ビカァ――――――――――――――――!


 すると、光の奔流は一層輝きを増し、そのまま風の塊を突き破ってしまった。そして、突き破られた風の塊はそのまま大気に霧散してしまった。


「嘘!まさかこんな!……くっ!」


 ブラックリリィは、即座に気持ちを切り替えて更に上昇。高度を上げて再び風の塊を作ろうとする。


(この高さならリリィちゃんもすぐには追ってこれないでしょ。今度こそお終いよ!)


 ブラックリリィ内心勝利を確信していた。





 



「ブラックリリィ……させない!」


 リリィは地面を蹴ってジャンプ。空中に足場を作ってブラックリリィを追いかけようとする。


「ダメ!距離が遠すぎる。このままじゃ間に合わない!」


(どうしよう。フラワーナイトスプラッシュでそう何回も防げないし……もし別の場所に落とされたら)


 リリィはジャンプを繰り返しながら何とか打開策を考えようとする。しかし、なかなか良い案が思いつかない。


 ……………………………リリィ…………リリィ………………


 すると、リリィの頭の中に例の声が響いて来た。


 …………あれを試してみてはどうですか?方法があるとすればそれしかありません…………


 少女の言葉にリリィは少し考える素振りをする。


「…………一度も成功したこともありませんが、どうこう言っている場合ではありませんね」


 リリィは、覚悟を決めて一気に加速する。足場をどんどんと作ってブラックリリィに接近しようとする。すると、前方から強烈な突風がリリィに襲いかかる。


「くっ!一か八か!」


 リリィはフラワービットを目の前に展開するのだった。






「どうやら倒せたようね」


 ブラックリリィは遥か上空で己の戦果を確認していた。先程の風は彼女が放ったものである。彼女は上昇し、再び風の塊を作るような素振りを見せ、リリィを誘い出したのだ。


「さて、それじゃリリィちゃんにとどめを……ん?」


 地面に降りようとするブラックリリィの頭上の空間が、突如歪み始めたのだ。すると空間に穴が空き、そこから剣を振り上げたリリィが飛び出して来た。


「なっ!リリィちゃん!どうやって!?」


 驚愕するブラックリリィにリリィは必殺の剣を振り下ろす。


「光よ切り裂け!フラワーナイトスプラッシュ!ソ――――――――ド!」


 光を纏った剣は吸い込まれるようにブラックリリィに直撃する。


「くっ……ウアアアアアアアアアア!」


 斬られたブラックリリィはそのまま地面に向かって落下していく。


「…………ッ!」


 リリィは剣を鞘にしまい、そのままブラックリリィを抱き抱える。そして彼女を抱えながら地面に落ちていくのだった。





  ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

リリィは地面に降り立つとブラックリリィを地面に仰向けに降ろす。


「今度こそ……私の勝ちです」


 そう宣言して、リリィは仰向けに倒れているブラックリリィに剣を突きつける。


「…………どうして私を助けたの?それに、何で最後手を抜いたの?」


 ブラックリリィは自らの身体を指す。そこには剣による傷が全然ついていなかった。リリィは最後の斬撃の時剣を反対にして峰打ちをしていたのだ。


「…………先も言いましたが私の力は守る為のものです。誰かを傷つける為のものではありません」


 ブラックリリィの言葉をリリィは毅然と言い返す。その言葉にブラックリリィは乾いた笑みを浮かべる。


「あっ……ハハハハハ。負けたわ……完敗ね」


 そして、全身の力を抜いて降参の意を示す。


「教えて下さい。貴女達は人の生命エネルギーを集めてどうするつもりだったんですか?」


 リリィは剣を鞘に納めてブラックリリィの側による。


「…………んっくっ……アアアアア!」


 すると、突如ブラックリリィが苦しみ出した。かと思うと足元から砂のように崩れ始めたのだ。


「ッ!どうしたんですか!?ブラックリリィ!」


 リリィは慌ててブラックリリィを抱き起こす。しかし肉体の崩壊は止まることを知らない。


「…………ブラックリリィ様…………申し訳…………ござ……い……ません」


「えっ!?それって……どういう?」





「う〜ん。まあこんなもんか?実験としては成功かな?」




「ッ!そ、そんな……」


 リリィが声のした方を向くと、そこには先程まで倒れていたはずのブラックリリィが空中に浮いていた。ブラックリリィはゆっくりとリリィ達の近くに降り立つ。


「こんばんはリリィちゃん。…………どうしたの?幽霊でもみたような顔をして」


「ブラックリリィ……何で……だってさっき」


「ああ!それは私そっくりの魔物。強さも私に似せて作ったの」


 リリィが言わんとしていることを理解したブラックリリィは、先回りして答えを示す。


「私も色々都合があって、もう一人自分がいればって思って実験してたんだけど……」


 そう言ってブラックリリィは砂になった地面を見つめる。


「まさか偽者の私を倒せるほど、リリィちゃんが強くなってるなんて思わなかったよ!成長したねリリィちゃん」


ブラックリリィはそう言ってリリィに賞賛の言葉を贈る。


「ふざけないで下さい!貴女はそうやって毎回毎回!何回私を馬鹿にすれば気が済むんですか!?」


 リリィはブラックリリィに怒りをぶつける。しかしブラックリリィは気にする風でもなく告げる。


「別に今回は素直に賞賛しているんだけど…………まあ良いわ。今回は実験に付き合わせてしまったお礼をさせて貰うわ」


 そう言ってブラックリリィはリリィに近づき、彼女の手を取り、そこに何かを載せる。


「これは一体?」


 それは漆黒に塗られていた手のひらサイズの球であった。リリィは怒りも忘れ、球とブラックリリィを交互に見やる。


「これは私達の目的の為の鍵。私達の目的はこれに封印されている主……俗に言う魔王を復活させる事なの」


「ッ!」


 急に語り出した自らの目的に、リリィは一気に警戒心を上げる。


「主……ああもうめんどくさいから魔王にしておくわ。魔王様は昔、この地に降臨されようとしていたけれどある者達の手によって封印され、五つの球の分けられてしまった。これはそのうちの一つ」


 そう言ってブラックリリィはリリィの手の上にある球を指差す。すると、球は先程までとは打って変わって仄かに光を放つ。


「それを五つ集めて魔物様を復活させるのが私達の目的。まあ、復活させるのに莫大な生命エネルギーがいるんだけどね」


 そう言ってブラックリリィは会話を締めくくる。


「…………それで、どうしてその大事な封印の鍵の一つを私に?お情けのつもりですか」


 リリィは手にある球を握りしめ、ブラックリリィを睨みつける。


「お情けなんかじゃないわ。さっきも言ったけどそれはお礼。それに、私達は元々二つ持っていたのよ」


「どう言う意味ですか?」


 ブラックリリィの言葉の意味が分からすリリィは思わず聞き返してしまう。


「その鍵は近づけば互いに共鳴し合う。だから、リリィちゃんにも手伝ってもらいたいの」


「ッ!お断りです!何で私がそんな事を……」


「あら?それじゃ私達の事は見逃してくれるのね」


「ッ!それは……」


 ブラックリリィの言葉にリリィは返答に詰まる。


「それに……それは貴女にあげた訳ではないわ」


 ブラックリリィは再度リリィの手の上の球を指差す。


「あくまで、貴女に一時的に預けるだけよ。残りの鍵が集まったら、その時は問答無用で返して貰うからね」


 ブラックリリィの言葉はそれまで態度が嘘であるかのような冷たさを纏っていた。


「これを返すつもりもありませんし……貴女達の目的を、ただ黙って見ているつもりもありません!」


 そしてリリィもブラックリリィに負けじと、彼女を睨みつける。


「…………ウフフ、まあそういう訳だから今日はこれで失礼するわ」


 そして、用事は終わりと言わんばかりにブラックリリィは宙に浮き、そのままその場を立ち去ってしまう。


「…………………………」


 リリィはその姿を黙って見つめていた。やがてブラックリリィがいなくなると、リリィは手の中にある球を見つめる。


「魔王……封印……鍵……ッ!」


(負けない!私は……これからも、大切な人達を守る為に!)


 やがてリリィは球を握り締め、その場を後にするのだった。






「一体どう言うつもりですかブラックリリィ様!」


 リリィと別れた後、ブラックリリィはクロウに先程の顛末を説明していた。彼女は使い魔であるクロウと離れていても会話ができるのだ。


「どうもこうも、リリィちゃんと協力した方が効率がいいと思ったから、彼女に鍵を渡したんだけど」


「彼奴に鍵を渡して仮に我らが他の鍵を揃えたとしても、彼奴から取り返せなかったら我らの目的は……」


「大丈夫よクロウ。そこは私に任せて……それよりも早く鍵を見つけないと」


 ブラックリリィの有無を言わさぬ言葉にクロウは言葉を紡ぐ。


「……奴ら、天界の者が我らの邪魔をしてくる可能性があるのでしたな」


 クロウの言葉にブラックリリィは静かに頷く。


「かつて主を封印した天界の者。奴らはちょっとやそっとの事では動かない。だからこそ今のうちに鍵を揃えて主を復活させ、この地を支配する」


「そう、その為にリリィちゃんにも働いて貰うわ」


(たとえそれが……本人の望まざるに限らずね)


 ブラックリリィは内心で一人考える。


「と言う訳で、クロウは引き続き鍵の散策をお願いね。私も私のやり方で鍵を探すわ」


「畏まりました。貴女様の仰せのままに」


 そう言ってクロウはブラックリリィとの会話を切る。そして、ブラックリリィは遥か天空を一人見つめる。


「奴らがくる前に…………ここから忙しくなるわね」


 その瞳は、天空にいる何者かを見つめているようだった。




…………………………第二部に続く…………………………………


ここまで読んで頂きありがとうございます。

次回から第二部・・・といきたいのですがその前に何話か間章的なものを挟んでいきます。

それが終わってから第二部となります。

出来るだけ早めに投稿しますので、よろしくお願いします。

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