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直接対決!フラワーナイト・リリィVSブラックリリィ ①

第一章クライマックスです。

隣の県にある森林公園。

 そこは数ヶ月前、とある二人の少女が初めて相対した場所である。


「………………………………」


 そしてその内の一人、花の騎士フラワーナイト・リリィは再び誰もいない森林公園に姿を現した。

 手足に純白のロンググローブとブーツ。髪は銀髪で腰まで届くロングヘアー、身体を包むのはノースリーブのワンピース、背中にかけて垂れ下がる純白のマント、額に花を模した金のティアラ、左腰に一振りのサーベルを履いた彼女は辺りを警戒しながら見回していた。


「ウフフ、来てくれたのねリリィちゃん」


 すると、何処からか声が聞こえてきた。リリィが視線を上げると、空から一人の美少女が降りて来た。

 全身を黒一色で統一した美少女だった。黒いワンピースを纏い、長い黒髪をそのままストレートにし、黒いヒールを履いたその美少女は妖艶な笑みをを浮かべてながらリリィを見つめている。


「…………ブラックリリィ」


 リリィは降りて来た美少女、ブラックリリィを睨みつけながら、ここに来るまでの経緯を思い出すのだった。






「今日は気分が良いから私が直接相手をしてあげるわ」


 そう言ってブラックリリィは戦う構えを取る。その態度にリリィは一瞬戸惑いを覚える。

 と言うのも、彼女はブラックリリィと初めて会った時から今日まで彼女自身が相手をする事がなかった。もっぱら、自らが生み出した魔物に相手をさせて自らは高みの見物を決め込んでいたのだ。

 そんな彼女が、今回直接対決を挑んで来た事にリリィは戸惑っていたのだ。


(ブラックリリィの事です。何か企んでいるかも知れませんが、このチャンスを逃す訳にはいきません!)


「とは言っても、こんな街中で戦うのは私としても本意じゃないのよ。だからリリィちゃん。場所を変えない?」


 リリィが決意を固めていると、ブラックリリィがそんな提案をする。


「…………どう言うつもりですか?」


 ブラックリリィの予想外の問いに思わずリリィは聞き返す。


「私達がこんな街中で戦ったら、周りの被害がとんでもないことになるわよ。私としてはどっちでも良いけど、正義のヒロインであるリリィちゃん的には関係ない人にまで被害が及ぶのは避けたいんじゃない?」


 ブラックリリィの言葉にリリィは考え込む。そんなリリィの様子をブラックリリィは黙って見つめていた。


(ブラックリリィは何かを企んでいる?でも彼女の言う事も最もだし、けど………)


「安心して。リリィちゃんをここから遠ざけて、街で魔物を暴れさせるなんて事はしないわ。何だったら今すぐ魔物を引き上げさせるわ」

 

 リリィの懸念を察したかのようにブラックリリィは言葉を発する。

 

「…………分かりました。貴女の提案を受け入れます。それで、何処で戦いますか?」


「そうね…………私達が初めて会ったあの森林公園の草原エリアなんてどうかしら?」


 ブラックリリィの提案にリリィも了承する。すると、辺りにいた魔物達が一斉に消えてなくなり、ブラックリリィは宙に飛び立つ。


「それじゃ、私は一足先に行って待っているわ。また後でね」


 そう言ってブラックリリィはその場から飛び立って行った。

 リリィは念の為、街の様子を確認した後、森林公園に向かうのだった。




――――――――――――――――――――――――――――






 

「さて、ここなら周りの被害も気にする事なく、存分に戦えるわね」


 そう言って地面に降り立ったブラックリリィは、戦闘態勢を取る。


「…………一つ聞いて良いですか?」


「ん?良いわよ。リリィちゃん」


 リリィは腰の剣を抜きながらブラックリリィに問いかける。


「貴女達の目的は何なんですか?私を倒すだけなら、場所を変えずに街で戦えは良かったのに」


 リリィ自身、ブラックリリィの提案には感謝している。街やそこにいるであろう人を気にしながら戦うのは彼女にとってはかなり困難を極める。

 逆に自身を倒すだけなら周りの被害を気にせず魔物を暴れさせれば良いのに、それもしない。

 その不可解な行動がリリィを混乱させているのだ。


「別にあそこは戦いにくいから移動しただけ。そして、私達の目的は人間の生命エネルギーを奪う事」


「生命エネルギー?」


 ブラックリリィの答えにリリィは疑問符を浮かべる。


「そう……私達の悲願を達成させる為には大勢の人間の生命エネルギーが必要なのよ。でもリリィちゃんはそれを毎回邪魔してくれている……」


「ッ!あ、当たり前です!……それで、その生命エネルギーを集めて一体何をしようとしているのですか?」


 ブラックリリィの言葉を遮り、リリィは反論する。するとブラックリリィは笑みを深める。


「ウフフッ!そうね……リリィちゃんが私に勝てたら教えてあげるわ!」


 ブラックリリィはそう言いながら、リリィに向けて右手を突き出す。すると彼女の右手から突風が発生し、リリィに迫る。

 

「ッ!……ハァ!」


 リリィは掛け声と共に剣を振り下ろし、突風を切り裂く。そして、そのままブラックリリィに肉薄し、彼女に斬りかかる。


「おっ……と」


 ブラックリリィは慌てる様子もなくジャンプし、空中に浮遊する。


「リリィちゃん。私が貴女の為だけに、この場所を対決の場所に指定したと思う?」


 ブラックリリィは空中に浮かびながらリリィを見下ろす。そして、再び右手を突き出しそこから突風を発生させる。


「くっ!」


 リリィは再度、剣で切り払う。するとブラックリリィは、続けざまに突風を発生させる。

 これにはたまらず、リリィも剣での切り払いを諦め、素早く横に飛ぶ。


「……なるほど。そう言う事ですか」


 突風を回避したリリィは、辺りを見回し、ブラックリリィの言いたい事を察する。

 この場所は前回戦った森林の中とは違い、まっさらな芝生が広がっている。周りに遮蔽物が無い為、リリィは常に身を晒しながら戦わなければならない。

 しかも……


(ブラックリリィが空を飛べるのに対して、私は空を飛ぶことが出来ない。彼女に近づこうにも近くに足場となる物も存在しない。ブラックリリィの狙いはこれですか!)


「ウフフ!どうリリィちゃん。自分が罠に嵌った気分は?このまま貴女を一方的にいたぶってあげるわ」


 ブラックリリィはそう言うと、際限なく突風を発生させる。リリィは素早く地面を駆け抜け、突風を回避する。


(こうなったら、何とか木々のある森林エリアまで逃げるしかありませんね)


 リリィは突風を回避しながら、森林エリアを目指す。しかし、それを見逃すブラックリリィではなかった。


「ウフフ!そう簡単に思い通りにはいかせないわよ!」


 ブラックリリィは、リリィの前方に突風を柱を発生させる。突風の柱は丁度森林エリアとの境目まで広がっていた。


「くっ!これじゃ……ッ!」


 森林エリアまでのルートを塞がれ、リリィは苦い顔をする。さらに、突風がリリィを襲う。リリィは咄嗟に回避し、再び走り出す。


「アハハ!どうしたのリリィちゃん?もうおしまい?」


 そんなリリィを空中に浮かんだままブラックリリィが嘲笑する。


「ッ!……好き放題言って!」


(こうなったら、一か八かアレをやってみるしかありませんね!)


「フラワービット!」


 リリィは、走りながら短く呪文を唱える。そして、タイミングを見計らって進路を変更、ブラックリリィに近づいていく。


「あらあらリリィちゃん?もしかしてヤケになったの?」


 ブラックリリィは言葉を発しながらリリィに向けて突風を放つ。リリィはそのまま前のめりにジャンプし、ブラックリリィに接近し剣を振り下ろす。


「おっと、危ない♪」


 ブラックリリィは急上昇し、リリィの攻撃を回避する。そしてリリィは重力に従いそのまま地面に落下していく。

 はずだった………………


「ッ!……ハァ!」


 リリィは何も無い空間を蹴り、再度ジャンプしてブラックリリィに迫る。


「ッ!どう言う事!?」


 ブラックリリィは突然の出来事に動揺しながらも、リリィの攻撃を回避する。そしてリリィは少し落下した後、空中に静止しブラックリリィに向き直る。


(一体どう言うからくり?リリィちゃんは空は飛べないはずだし……)


 ブラックリリィはリリィが立っている空間を注視する。すると、月の光に反射して一瞬透明な足場のような物が見えた。


「…………成る程ね。空中に足場を作ってそれを蹴ってジャンプしているのね」


 ブラックリリィの言葉を肯定するように、リリィは足場を蹴ってブラックリリィに接近する。ブラックリリィはさっと横に避けるが、リリィはそのまま再び透明な足場を蹴って三角飛びの要領でブラックリリィに接近する。


「ッ!……変速的な動きね!」


(でも、動きは直線的……なら!)


 リリィはまたしても三角飛びをしてブラックリリィに迫る。そんなリリィに、ブラックリリィは強烈な突風をお見舞いする。


(これなら避けられないでしょ!)


 ブラックリリィは内心でほくそ笑む。すると、リリィは左手を前に突き出す。すると、リリィの前方に透明な壁が出現し、突風を防ぐ。


「なっ!」


「フラワービットは足場を作るだけじゃないんです!」


 動揺するブラックリリィに近づき、リリィは剣を振り下ろす。


 ――――――――ザシュ!――――――


「ぐっ!……キャア!」

 

 ブラックリリィは反応が遅れ、斬撃をまともに喰らいそのまま地面に落下する。


「…………何とか上手くいきましたね」


 リリィは落ちていくブラックリリィを見ながら呟き、重力に従い地面に落下していく。


(金山達には感謝しないといけませんね)


 そして彼女はフラワービットを作るきっかけになった経緯を振り返るのだった。



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