表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

花の騎士フラワーナイト・リリィ

初投稿です。

pixivにて小説を投稿しているので良かったら読んで見て下さい。

 僕は変身ヒロインに憧れていた。

昔から、自分の周りの同年代の男の子は戦隊ヒーローや、◯面ライダーなどに憧れるなか、僕は、妹と一緒にプリ◯ュアなどを夢中になって見ていた記憶がある。

……ある日、僕は自分でヒロインを作ってみることにした。テレビで描かれるヒロインではなく自分だけのヒロインを……。動きやすいワンピース、左右の腕を覆うグローブとブーツ。腰には細身のサーベル。彼女は花の王国のお姫様で王国を侵略してくる敵に一人で立ち向かう。など、細かくイメージした。そして、その子に名前をつけた。

………花の騎士………フラワーナイト・リリィ、と………




「オ〜ス」

 

天風千晶は馴染みのクラスメイトに挨拶をした。特にこれと言って外見に特徴のない彼は教室を見回した。

 

「なあなあ、聞いたか?最近出る変な怪物の噂」

 

「ああ、それとその怪物と戦っている可愛い女の子の事か?」

 

「ああ。俺の知り合いが怪物に襲われそうな所を、その子に助けてもらったそうだぜ。」

 

 先生が来るまでのこの時間は、気の合う友達がいるものは、世間話や最近話題の怪物と戦う美少女の話題で盛り上がるが、彼のような友達のいないボッチはさっさと机に座り惰眠を貪るのだった。

 

(ああ、この一人の時間が落ち着くぜ〜このまま先生が来るまで惰眠を……)

 

「オッハヨー!千晶!」

 

 バシィーーーーーー

 しかし彼の惰眠は背中の痛みと共に消滅した……。

 

「何朝から夢の世界へ旅立とうとしているんだい?」

 

「……痛ってな〜〜〜……別にお前には関係ないだろ白石!」

 

そう言って彼は自分の背中を叩いた張本人に文句をつけた。長い髪をストレートにして、整った顔立ちに自信に満ちた表情の幼馴染、白石優里香は悪びれる様子もなくこう言った。

 

「何だい何だい君という奴は、美人の幼馴染がこうして話しかけているというのに何が不満だというのだい?」

 

自分で美人とかいうなよ、と彼は心の中でツッコミを入れた。

 

「それで、俺の憩いの時間を邪魔してまで何のようだよ?」

 

「……昨日の宿題……写させて!お願い!」

 

 優里香は、手を合掌して千晶に頭を下げる。

 

「……全く、夜更かしでもしてたのか?」

 

「イヤイヤ!最近初めたソシャゲが面白くて、気がついたら学校に行く時間になっていて慌てて来たからそれどころじゃなかったんだ」

 

……結局夜更かし……というよりか徹夜である。千晶は呆れて机に突っ伏す。

 

「……アホらし……他の人に頼めよ。俺は寝る」

 

「……ああ〜そんなこと言うんだ〜()()()()……ネットに流してもいいなら私は別に構わないけどね」

 

優里香はそう言いながらスマホを取り出し、ふて寝をしている千晶に近づける。千晶は溜息を吐きつつ顔を上げ、鞄からノートを取り出した。

 

「ほらよ。授業始まる前までには返せよ」

 

「サンキュー。恩に着るね!一時間目までには返すから……」

 

そう言って彼女は自分の席に戻っていった。

 

(全く、よりにもよってアイツに()()()を知られるとはな。)

 

そう思いつつ千晶は残った時間を惰眠を貪ることに費やすのだった。










そして放課後……

 

「チーアキ!一緒に帰ろう!」

 

各々、部活や委員会活動に向かうなか、優里香は早速幼馴染の男の子に声を掛けた。

 

「……いいけど俺、帰りに寄る所があるけどそれでもいいか?」

 

「うん大丈夫!付き合うよ」

 

彼女はそう言うと俺の腕に自分の腕を絡ませた。

 

「ちょッ……おい!」

 

「いいからいいから!レッツゴー!」

 

そう言って二人は教室を出て行った。





途中まで腕を絡ませてきた優里香を振り払い、千晶は馴染みの商店街にやってきた。

 

「それで、千晶の寄りたい所って?」

 

「いやお前、それ行く前に確認するやつだろ……本屋で今日欲しかった本が発売されるからそれを買いにきたの」

 

千晶は幼馴染の言動に呆れつつも、この後の予定を伝える。

 

「ふーん……それってもしかして……えっちぃ奴?」

 

優里香はにやりとしながら聞き返す。

 

「ちげーよ!普通の文庫本。つーかそういう本を買うならお前と一緒になんか来ねえよ」

 

「へぇ〜。だったら千晶は私に隠れてコソコソとエッチな本を買いに来てるんだぁ〜」

 

ヤラシィと口にしながら先に進む彼女。すると……

 

――――――――ドォーーーーーーーーーーン

 

商店街の先の方で爆発音が聞こえた。辺りに煙が立ち込める。そして……

 

グガァーーーーーーーーーーーーー

 

煙の中から怪物が現れた。

辺りの人達は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。

そんな中……

 

「ちぃ……またアイツか……優里香!お前は逃げ遅れた人達を助けてやってくれ!」

 

「……うん!分かった。千晶も気をつけて!」

 

優里香はそう言って近くの人の所に駆け出していった。そして千晶は誰も居なさそうな物陰に隠れ、鞄からペンのような物を取り出した。

 

(正直まだ抵抗があるけど……仕方がない!)

 

俺は意を決してある()()を唱える事にした。

 

「花の精霊よ……()に力を貸して!フラワーメタモルフォーゼ!」

 

その瞬間、千晶は光に包まれた。そして、光が晴れるとそこには()()()が立っていた。

手足に純白のロンググローブとブーツ。髪は銀髪の腰まで届くロングヘアー、身体を包むのはノースリーブのワンピース、背中にかけて垂れ下がる純白のマント、額に花を模した金のティアラ、左腰に一振りのサーベルを履いた美少女が立っていた。

 

「花の騎士フラワーナイト・リリィここに見参!」

 

 (ああ、何回変身してもやっぱり恥ずかしい!でも、あの怪物は俺じゃないと倒せないし……)

 

「とにかく、ちゃっちゃと倒してしまいましょう!」

 

 そう言ってリリィは地面を蹴って跳躍し、ビルの上に降りる。変身した事によって彼女の身体能力は、常人の倍以上なっている。そしてそのまま怪物にビルの上から蹴りを入れるのだった。


 ――――――ドスーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 

 怪物は仰向けに倒れ、リリィは華麗に地面に着地する。

 

「悪の怪物よ!貴方はこのフラワーナイト・リリィが成敗します。覚悟なさい!」

 

 そう言ってリリィは、腰のサーベルを引き抜き、怪物に向かって剣先を向ける。

 

「花よ!集え!フラワーナイトスプラッシュ!」

 

 リリィは剣から光の奔流を発生させる。光は真っ直ぐ怪物の方に向かい怪物は光に包まれた。そしてそのまま怪物は浄化され、光に包まれ消えていった。




 



 戻ってきた街の人達の賞賛に囲まれそうになるのをどうにか脱し、リリィは人気のない公園まで逃げ込んだ。するとそこに優里香が現れた。

 

「お疲れ様。今日も絶好調だったね!」

 

 いつもの調子でリリィに話しかける優里香。

 

「……今回はたまたま強くなかっただけかもしれないから、油断はできないわ」

 

 そう言ってリリィは光に包まれ、光が晴れるとそこには学園の制服に身を包んだ千晶が立っていた。

 

「まあ、そう謙遜する事もないと思うけど、でもいつ見ても凄いよね。まるでアニメの変身ヒロインみたいだし」

 

「俺は凄く恥ずかしいけどな!何で白石じゃなくて俺が……」

 

 と言いつつ、白石が危険な目に遭わなく済むなら……ともと考え続ける。

 

「まあとにかく、街の人に怪我がなくってよかったじゃん。それより早く買い物行かないと遅くなっちゃうよ?」

 

 白石はまた俺の腕に自分の腕を絡めつつ走り出した。……まあ正直このわがままな幼馴染や街の人達を自分の力で守れる事自体は誇らしいと思う千晶だった。











 優里香はその後、千晶と別れ家路についた。送っていくと言う千晶を、近いからと断って一人で歩く優里香。すると彼女のそばの電柱に一羽のカラスが止まった。

 

「申し訳ございません、()()()()()()()様、待たしても邪魔者が」

 

「いいよそんなの、君たちは引き続き今の作戦を継続して」

 

 優里香はカラスに目を向けずそのまま歩き出す。するとカラスは失礼してと彼女の左肩の上に乗る。

 

「ですがこのままでは我々の作戦に支障が……」

 

「……五月蝿いな……気を見て私が動くからそれまでは今まで通り私の言う事を聞いていればいいの!」

 

 優里香は怒気をはらみながらカラスを睨みつける。すると、カラスはおずおずと引き下がる。

 

「貴女様の仰せの通りに……」

 

 カラスはそう言い優里香の肩から飛び去った。

 





 優里香は家に着き玄関のドアを開ける。両親に帰宅の挨拶をして早々と自宅の自らの部屋に向かう。そしてベットに仰向けに倒れ込む。

 

「……あはは、今日のリリィちゃんも最高だったな〜。でもまだ食べるには時期尚早なんだよね〜。もっと強くなったら、私直々に虐めてあげるからね?」

 

そう言って白石優里香……悪の女幹部ブラックリリィは自分の部屋で来たるべき未来を妄想しつつ、一人笑っていた。



 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ