出会い
ーー落ちるーー
そう感じた僕は無我夢中で真下に魔術を打ち出した。
「イソコエザク!!!」
凄まじい音と共に地面が深く凹んだ。
僕は体制を整え地面に降り立った。
落ちる速度を緩めるために風を起こす魔法を使ったが、先程怒りに任せて魔力を暴走させてしまったせいで制御が効かなくなっているようだった。
そう自分を解析したとき、
「ガハッ」
咳込み、血を吐いた。
魔力が暴走して勝手に空気中に放出されているようだった。
このままだと自分が死ぬだけではなく、魔力が高密度で含まれている邪素が大量発生してしまう。
「大丈夫?」
聞き覚えのない女の声だ。
初対面なので怖くて声を出すことができない。
「魔力が暴走してるのね。大丈夫。私が治してあげるわ」
彼女が自分に手をかざすと、暴走していた魔力が中心に戻っていく感覚を覚えた。
「とんでもない魔力量をしてるわね。私じゃこれが限界」
僕としては一割も抑えられている気がしないが助けようとしてくれたのだ、お礼は言っておこう。
「…」
怖い。
自分が情けない。
助けようとしてくれたのだ、悪い者であるはずがない。
だが、どんな人でも人を殺す可能性があると考えると恐怖が勝ってしまう。
「まだ口がきけないくらい疲労しているのね。ともかく、暴走を抑えるためにも私達の街に行きましょう」
そう言うと俺はイルフで浮かされ、彼女の街へと連れて行かれることになった、