夕飯を作りつつ将来設計の話
「夏希!見て!私ハンバーグ作れた!」
「上手だね、ゆめ。…うん、肉汁もちゃんと透明。火もちゃんと入ってるね」
「おお、そうやって確認するんだ…」
「うん。竹串で刺して、肉汁が透明なら大丈夫なんだよ」
「よし、これでこれからは生焼けは防げる!」
くすくすと夏希が笑う。
「心配しなくても、僕がいつでも教えてあげるよ」
「だってだって、夏希との子供が出来たらお母さんがお料理教えてあげたいでしょー?料理上手なお母さんとか、憧れるじゃん」
私がそう言えば、夏希が目をまん丸にする。
「…僕との子供を考えてるの?」
「え、うん。結婚したら二人くらい欲しいな、出来たら一人目は女の子で二人目に男の子!どっちも夏希に似てたらいいなぁ、美形になるよ!」
私が嬉々としてそう言えば、夏希がぽそっと言った。
「…じゃあ、順番が前後するだけだしいいよね」
「なにが?」
「な、なんでもない!」
「…ありゃ、そういえば夏希の希望の家族構成とかちゃんと聞いたことなかったや。もしかして子供は欲しくないとかある?」
不安になって聞く。夏希が望むなら、夫婦二人で暮らして子供は諦めることも視野に入れる。私は子供はすごく欲しいんだけど、夏希に無理させたくない。
「え!?ゆめとの子供なら欲しい!」
「本当!?よかったぁ…何人欲しい?」
「ゆめとの子供なら何人でも。でも、大切にしたいから二人か三人かなぁ」
「やっぱりその辺が妥当だよねー。でも大家族も憧れるなぁ」
「え、本当?」
夏希がきょとんとしてるので頷く。
「私達お互い一人っ子だし、憧れない?」
「じゃあ、大家族目指す?」
「うーん。でも、愛情たっぷりで育てたいからなぁ。私不器用だから、一人一人をちゃんと見てあげられるか不安。やっぱり二人か三人かなぁ…二人かなぁ…」
「そっか、そうだね。じゃあやっぱり二人くらいかな」
「だねぇ。…って、気が早いか!」
自分で言って自分で突っ込む。そんな私に夏希がまたくすくすと笑った。
「僕としては、将来設計は大事だから聞けて良かったよ?」
「まあちゃんと話し合う必要あることだもんね…あ、そっちも準備できたねご飯食べよ!」
「はいはい」
…今までの彼氏とは、将来の話とかすら出来てなかったなぁ。夏希と付き合えてよかった。やっぱりよぼよぼのおばあちゃんになった未来の私の隣には、よぼよぼのおじいちゃんになった夏希がしっくり来るや。