夕飯作りのイチャイチャタイム
「じゃあそろそろ夕飯にしようか」
「あ、私も手伝うー!」
「うん。一緒にやろうか」
私は不器用で家事も苦手だが、壊滅的なほどではない。夏希が隣にいれば大丈夫だろうと、二人でキッチンに立つ。
「なにすればいいかな!」
「今日はハンバーグだから、お肉をこねて欲しいな。材料を冷やしながらの作業だから手が冷たくて大変なんだけど…」
「出来るよ!やる!」
「うん。お願いね」
夏希から教えてもらいつつ、夕飯作りを手伝う。ハンバーグのタネの冷たさに苦戦しつつ、視線を感じてふと横を見ると夏希が微笑んでいた。
「…どうしたの?」
「いや、なんか…本当に僕たち、付き合ってるんだなって」
「…〜っ!!!」
改めてそんなことを言われて、照れないはずもなく。意識しちゃうと、やっぱりなんとなくときめいてしまうというもので。
「…はは、顔真っ赤。かーわい」
「も、もー!あんまりからかうと怒るんだからね!」
なんというか、すごく幸せそうな顔でにやけてる夏希。そんなつもりで手伝ったわけではないが、なんとなくイチャイチャタイムになってしまった。
「こうして二人でのんびりと料理するのも、なんかいいね!」
「そうだね、なんか…ゆめが、僕のお嫁さんに来てくれたみたい…」
「え!?う、うん。そりゃいつかはお嫁さんになるけど、ちょっと気が早いというかなんというか…」
モニョモニョとそう言えば、夏希の器用な手が止まった。
「…え、ゆめ、いつかはお嫁さんに来てくれる気あるの?」
「え、うん。そのために付き合ってるんじゃないの?」
「…う、うん!!!僕はそのつもり!!!」
「私だってそのつもりだよー。言わせないでよ照れるなぁ」
思った以上に嬉しそうな夏希の様子に、思わず頬が緩む。ニマニマしてしまって、でも幸せ。そんな私を見て夏希がまたすごい幸せそうな顔をするから、嬉しくてしょうがない。
「結婚はいつにする?プロポーズの希望とかある?」
「早い早い!まだ付き合ったばっかりだよ!…でも、一年後とかいいよねぇ。どうせお互い気心の知れた仲だし。もういっそ近いうちに婚約指輪二人で買っちゃう?」
「買う!!!つけて!!!」
「そりゃ買ったらつけるよー、男避けにもなるし…なによりその、夏希との大切な証だからね」
照れつつもちゃんと言葉にすれば、夏希が顔を手で覆う。これは夏希が幸せ過ぎてキャパオーバーした時の癖。
「はぁ…幸せ…」
「ふふ、なんかこういうのいいよね」
「そりゃ…だって、ゆめがそんな真剣に考えてくれてるなんて…」
「さすがにお付き合いしてるんだから真剣に考えるよ!?そこまでちゃらんぽらんじゃないよ!」
失礼しちゃうとプリプリ怒れば夏希がくすくすと笑う。
「なんか、安心しちゃった」
「え?」
「捕まえておかなきゃって思ってたから。もうとっくに捕まえてたんだ…」
「…うん?」
なんか、夏希らしくない言い方にちょっと引っかかる。けどまあ、それだけ舞い上がってるのかな。