同棲の準備
「はぁ…満腹ー!美味しかった、ご馳走さまでしたー!」
「はい、お粗末さまでした。食器片付けちゃうね」
「え、いや、そのくらい私がやるよ?」
「うん、次からよろしくね。でも、今回は僕がやるよ」
「えー?」
夏希は私を甘やかしすぎだよー。
「ごめんごめん、でもゆめには私室の方を確認しておいて欲しくて」
「うん?」
「あのゆめのための部屋、一通り見て回っておいてよ。それで、足りないものだけゆめのおうちから持ってこよう?」
「ああ、そっかぁ。そうだね。…こっちにもあるけど向こうにもあるものは?」
「んー…こっちにあるならいいんじゃない?あっちのは処分しちゃえば?思い入れのあるものはもちろん別だけど…」
そう言われて、考える。
「…いや、思い入れのあるものとか…なにもない…」
歴代の恋人との思い出のものとか、今の恋人とこれから同棲するおうちに持って来る気無いし。
「じゃあ、足りないもの以外は全部処分だね。費用はこっちで出すよ」
「え、そんな、いいよ!」
「いいよ、ゆめは奨学金の返済もあるし大変でしょ?」
「…お言葉に甘えます」
「良い子。甘える時は甘えるのも大切だよ。偉い偉い」
やっぱり夏希は私を甘やかしてくる。でも正直有り難いー。
「奨学金の返済もあって、ご両親への仕送りもしなきゃいけないのは、キツいよね。むしろゆめはよく頑張ってるよ。いい子いい子」
「うん…」
「これからは僕がいるからね。頼ってね」
「すでに頼りまくってます…」
その他、自分の日々の生活費もあって…貯金はどうしてもほんの少しずつになるし将来を考えるとすごく厳しかった。夏希との同棲で生活費はちょっとは浮く…はずなので、本当に色々助かる。
「じゃあ、お部屋のチェックよろしくね」
「はーい!」
夏希の優しさに甘えて、お部屋のチェックをさせてもらうことにする。
「…ふんふん。夏希のおかげで服には困らないなぁ。さすがに下着はないから持参するとして…うんうん。あとはメイク道具とか化粧品とか持ってくれば…うん」
よしよし、本当に必要なものはそのあたりかな。あとはお気に入りの大っきなテディベアを持ってくるくらい?
「…ふふ。あのテディベア、小ちゃい頃に夏希が誕生日プレゼントにくれたんだよねー。ずっとずっと抱き枕にしてたなぁ」
大事な大事な宝物。
「…あ、あとシャンプーとリンスと洗顔料。歯ブラシと歯磨き粉。…そのくらいだよね?」
うん、よし。必要なものはわかった。メモメモ。
「ゆめ、こっち片付け終わったよ。そっちは?」
「必要なものだけメモしたー!取りに行こー!」
「わかった。残りは業者に頼んで処分してもらうね?」
「うん!」
「じゃあ、行こっか」
その後私のおうちだったおんぼろアパートに必要なものだけ取りに行き、一旦夏希とのおうちに運んだあと不動産屋さんでお引越しするからと契約解除の手続きをした。ほぼ夏希が色々やってくれてすごく助かった。
「あとは、今日と明日でゆっくり過ごそうか」
「うん!」
その後不動産屋さんの帰りに、おうちの近くのカフェで二人で食べてから帰ってきた。
そしてテレビを見たりしながらまったりと過ごした。