幸せムード全開
「さて、そろそろいい加減起きて朝ごはん食べようか」
「え、もうこんな時間?」
「幸せな気分だと、時間が経つのは早いね。ほら、顔を洗っておいで」
「はーい」
夏希に促されて、顔を洗って着替えを済ませる。夏希も冷凍食品をレンチンした後、顔を洗って着替えてきた。
「お待たせ。食べようか」
「うん、いただきます!」
「いただきます」
パックのご飯をお供に、冷凍のビーフシチューを食べる。朝から豪華だ!ちなみにインスタントのお味噌汁も付いている。あとお漬物もバッチリ用意してあった。
「なんかなんだかんだでバッチリ朝食だね」
「レンチンとインスタントと作り置きだけどね」
「十分!私の一人暮らし生活はもっと荒れた食生活だったもん」
「ゆめはもうちょっと自分を大切にしようね」
優しく叱られてぐうの音も出ない。
「…はーい」
「まあ、これからは僕がついてるから食生活は心配ないと思うけど」
「だよね!」
「…もう。ゆめは調子がいいんだから」
呆れたかな?と思って夏希を見るも、優しく微笑まれてむず痒い気持ちになった。
「でも、最近の冷凍食品は侮れないね。とっても美味しいよ」
「そうだね!ビーフシチューもお肉がゴロゴロと入ってて豪華だ!」
「これは負けてられないなぁ…」
謎の闘志を燃やして冷凍のビーフシチューを味わう夏希に笑う。案外負けず嫌いだよね。
「心配しなくても夏希のご飯が一番美味しいよ」
「本当に?」
「本当に!」
そう言えば本当に嬉しそうな顔になる夏希が可愛い。
「冷凍食品はまだまだあるし、今日はどこにも行かずにずっと家でイチャイチャしてようね」
「そうだね」
夏希とせっかく両想いになれたんだし、せっかくならやっぱりイチャイチャしてたいよね!
「ふふ、ゆめ」
「なあに?」
「大好きだよ」
唐突な愛の言葉にびっくりするけど、嬉しい。
「私も大好きだよ」
「…嬉しいな。やっと想いが通じた」
「待たせてごめんね」
「ううん。僕が意気地なしだったのが悪いんだよ。もっとはやくゆめを攫って仕舞えばよかった」
「もー、なにそれ」
夏希の冗談に笑う。夏希は冗談じゃないんだけどなぁとぼやいていたけど、冗談が上手くなったなぁと思う。
「さて。じゃあご馳走さまでした」
「ご馳走さまでした!」
「食器下げちゃうね」
「私もやるー」
二人で食器を下げて、洗って拭いて片付ける。幸せムード全開で、なんだか二人で流し台に立つのも楽しくなってしまう。
「夏希」
「うん?」
「幸せだね」
「そうだね」
ずっとずっと、こうしていたい。




