好きなもの
「里奈ちゃん、気をつけて帰ってね」
「はい、今日はお邪魔しました!ゆめちゃん先輩の元気な姿を見られて安心しました!」
「ふふ、ありがとう」
「叶さん、ゆめちゃん先輩をよろしくお願いします!」
「任せて」
帰る里奈ちゃんを見送る。何度も振り返って手を振ってくれる里奈ちゃんに、手を振り返して背中が見えなくなるまで外にいた。
「…そろそろ中に入ろう。冷えちゃうよ」
「はーい」
夏希と二人で部屋の中に戻る。
「あー、やっぱり部屋は暖かいね」
「そうだね。でも冷えたしココアいれるよ」
「ありがとう」
夏希が淹れてくれるココアは美味しいので楽しみだ。
テレビを見ながら夏希のココアを待つ。テレビでは、美味しそうなマカロンの特集がやっていた。
「夏希、ココア飲みながらマカロン食べよー」
「いいね。今出すよ」
夏希がココアとマカロンを持ってきてくれる。
「ありがとう!いただきます!」
「いただきます」
マカロンを食べる。安定の美味しさ。
「やっぱりここのマカロンは美味しいねぇ」
「美味しいね」
そしてココアを一口。
「んんー…夏希のココア最高ー」
「あはは、ありがとう」
やっぱり甘いものかける甘い飲み物は最強だ。
「あったまるねー」
「そうだね」
「ちなみにさっきのぬいぐるみ、ココアをイメージしたキャラクターなんだよ」
「なにそれ!?」
困惑する夏希に動画を見せる、ココアのイメージキャラクターだとでかでかと書かれたそれに夏希は釘付けだ。
「ココアのイメージキャラクター…?ええ?」
「色味とかフォルムとかそれっぽくない?」
「不思議だ…」
首を傾げる夏希に笑う。面白いなぁ。
「夏希の反応面白い」
「そう?」
「うん、初見だとそんな反応なんだねぇ」
「あー、初見の反応とか好きな人いるよね。アニメ然り漫画然り」
「あー。音楽とかの初見縛り、結構好きかも」
またも首を傾げる夏希に、動画を見せる。
「初めて聞く歌に、感想を言うだけの動画。でも日本人の反応とか結構レアだから楽しいよ」
「へー、あ。僕これ好きかも」
「いいよね!」
「忖度なしに感想を言う感じいいね」
「歌詞の解釈とか面白いよね」
夏希と好きを共有できるの、楽しいなぁ。
「…ゆめのことはなんでも知ってる気でいたけど、まだ知らないことが多いなぁ」
「えー?そう?」
「うん。でもゆめの好きを知れるのは嬉しいね」
「えへへ。これからも色々共有しようね」
「うん」
お互いこういう時間が楽しいよね。
「じゃあ、ゆめにも僕のよく見る動画紹介してあげる」
「わーい!なになに?」
「これとか」
「え、おもしろーい!」
楽しくて時間も忘れるほど一緒に好きな動画を見せ合った。




