退院祝い
「ゆめちゃん先輩!退院おめでとうございます!」
「ありがとう、里奈ちゃん」
退院した次の日、里奈ちゃんが退院祝いに来てくれた。今日明日は会社も休みだからね。
「沢田さん、改めて色々ありがとうね」
「いえいえ!叶さんこそお気遣いありがとうございます!」
里奈ちゃんはカバンからチョコチップマフィンを取り出した。
「お約束のチョコチップマフィンですよ!」
「里奈ちゃん大好きー!」
「私も大好きですー!」
きゃっきゃと騒ぎ合う。楽しい。
「あと、退院祝いにこれどうぞ!」
「え、なにこれ!?」
「熊撃退スプレーです!こっちはスタンガン!」
「そんなものをどうしろと!?」
里奈ちゃんからのぶっ飛んだプレゼントにびっくり。
「護身用です!」
「いやいや…夏希から防犯ブザーもらったから大丈夫だよ」
「叶さんナイスです!」
「沢田さんこそナイスなプレゼントだよ」
「なにもナイスじゃないよ!?これ使う機会そうないよ!」
なんて子達だ。末恐ろしい。
「ええ、もらってくれないんですか?」
「いらないいらない」
「ちぇっ。いいと思うんだけどな」
「そんな顔してもだめですー」
里奈ちゃんに熊撃退スプレーとスタンガンを仕舞わせる。
「夏希も里奈ちゃんを焚きつけないのー」
「いや、本当にいいと思ったんだけど」
「何一つ良くないよ!?」
過激だなぁ、二人とも。
「あ、でもあともう一個退院祝いがあって」
「え、なになに?」
「じゃん!ゆめちゃん先輩の欲しがってたクレーンゲーム限定ぬいぐるみー!」
「えー!取ってきてくれたの!?ありがとう!」
里奈ちゃんは、私の欲しがっていたぬいぐるみを持ってきてくれた。
「え、なにそれ」
「動画配信サイトで流行ってるキャラクターのぬいぐるみー!いいでしょー!」
「可愛いね、ゆめが好きそう」
「でしょ?」
「でも、言ってくれたら僕が取るのに」
ちょっとだけ拗ねる夏希に笑う。
「だって、夏希クレーンゲーム下手じゃん」
「え、叶さんクレーンゲーム苦手なんですか?」
「お恥ずかしながら」
困ったように笑う夏希。
「むしろ苦手なこと一個ある方が、人間味があっていいと思うよ」
「ですね!叶さんめちゃくちゃハイスペックだから」
「そうかな?ゆめの方がよっぽどすごいと思うけど」
「お仕事完璧ですし優しいですし可愛いですからね」
「誉め殺しはやめてー」
急な流れ弾にやられる。
「でも、ゆめのためなら頑張るのに」
「そんなことは頑張らんでよろしい。里奈ちゃんはクレーンゲーム得意だから頼れるし」
「ふふ、クレーンゲームならお任せ下さい!」
「いいなぁ、沢田さん」
そんなこんなで退院祝いをしてもらえた。




