とある女の自業自得
留置所に入れられてしばらくが立つ。毎日長時間、ずっと同じことばかり刑事さんに聞かれる日々。
弁護士さんには、下手なことを言うなと釘を刺されているので基本黙秘する。
けれど、桃から叶くんを奪ったあの女の話になるとつい口が滑る。
「貴女は彼女に一方的に恨みを募らせて、犯行に及んだのですね?」
「だから!桃は悪くないもん!あの女が私から叶くんを奪ったのが悪いの!」
「彼と貴女の間に恋愛関係はなかったとの証言しか得られませんでしたが?」
「違うもん!叶くんは桃の恋人になるはずだったの!全部あの女が悪いの!」
「埒が明きませんね」
刑事さんはため息を吐くけど、ため息を吐きたいのはこっちだよ…!
「貴女のそれはただの妄想だと思いませんか?」
「妄想じゃないもん!叶くんはその内目を覚まして、あの女を捨てて桃を迎えに来てくれるの!」
「…そうですか」
その後何故かお医者様とお話をさせられた。よくわからない質問もあったけど、刑事さんとのお話よりは楽しかった。
そして私は、責任能力はあるって言われて起訴された。拘置所に送られて、そこでの生活を強いられた。
なんで桃がこんなことに…桃は悪くないのに、桃はみんなから責められる。桃は悲しくて、でも叶くんは会いに来てくれない。
…少しだけ、桃はあの女にしたことを後悔し始めている。




