私の状況
「…」
目が覚める。と、同時に血の気が下がる。
私どうなった!?
「ゆめ、おはよう」
「な、夏希…おはよう」
夏希を見つけて、とりあえずホッとする。
あの時夏希は…本気であの子を殺そうとしてた。実際出来たかは知らないけど、殺意は確実にあった。捕まったらどうしようと不安で仕方なかったけど、無事で良かった。止めてくれた里奈ちゃんには感謝しかない。
「…えっと、今って何時かな?」
「十四時」
「え」
「ゆめ、あの後ずっと寝てたらしいから」
「あ…」
そっか、そうなんだ。
「痛み止め打ってもらってるけど、傷が深いから大人しくしてて。お部屋は個室にしてもらった。あの女は捕まったから心配ないよ。入院代とかも考えなくて良いから」
「う、うん」
「…本当はずっと付き添っていたかったんだけど、戸籍上まだ家族じゃないから難しくて。一度帰ったんだけど、起きてから会社休んでこっち来た」
そう言う夏希は、どこか安心した表情だけど…疲れ切っているのがわかる。
「夏希、ちゃんと寝た?食べてる?」
首を振って否定され、思わず焦る。
「ま、待ってるからご飯食べて来て?」
「やだ、離れたくない」
「夏希」
必死な顔で離れたくないと言われると、こちらとしてはどうしようもない。
「…じゃあ、せめて一緒に寝よ」
「え」
「…あ、流石にダメか。病院のベッドだし」
「そうだね…?」
きょとんとした夏希に笑いかける。
「じゃあ、一緒に怒られようか」
「流石にダメだって。…じゃあ僕、椅子で雑魚寝する。それでいい?」
「…寝ないよりはいいけど」
「そうだ。とりあえず、おじさんとおばさん曰く怪我は全治二週間だって…それで、ゆめの会社に聞いたらあとで書類出せば全部有給扱いにできるって。有給二十二日分あったよね?少しは有給残るかな」
「本当に?とりあえず助かった…」
夏希は困ったように笑う。
「真面目だなぁ、ゆめは」
「里奈ちゃんは?」
「沢田さんは、今日は有給使ってお休みだって。警察に事情説明とかまだあるみたいで。ただ、明日から職場に戻るって。ゆめちゃん先輩に任せ切ってた分会社は大変だろうから、ゆめちゃん先輩がいつ戻って来てもいいように私がカバーしますってさ」
「そっか」
「意気消沈してたのに、ゆめが命は助かったってわかったら急に元気になったけど…空元気かも。多分お見舞いに来ると思うけど…どうかな」
…里奈ちゃんも夏希も、すごくすごく心配だ。なんなら刺された本人より精神安定してない気がする。里奈ちゃんが来てくれたら、めちゃくちゃケアしよう。素人のケアで良くなるかわかんないけど、いっぱい構い倒そう。




