お寝坊さん二人
「おはよう、ゆめ」
朝、カーテンから日差しが差し込んで起きた。
「おはよう、夏希」
「いい朝だね」
「そうだね」
なんでもないこんな朝がとても幸せだ、なんて。
「夏希っ」
「わっ」
先に起きていた夏希に抱きついた。起きていたとはいえ、ベッドの上で寝転がってこちらを見ていたので抱きつくのは簡単。
「ゆめ、どうしたの?」
「幸せだなぁって」
私がそう言えば、きょとんとしたあと笑う夏希。
「僕も思ってた」
「え?」
「僕の隣であんまりにも無防備なゆめを見てるとさ。幸せを感じるんだ」
「ふふ、なにそれ」
抱きついたままで、夏希の言葉に笑う。
「…朝ごはんにしようと思ってたけど。今日は二人でお寝坊しちゃおうか」
「うん、添い寝しよ」
ぎゅうぎゅう抱きついていれば、そんな話になった。夏希はいつも私に甘い。
「ゆめはさ、なんで」
「うん」
「…いや、ごめん」
歯切れの悪い夏希。なんだなんだと見上げれば困った顔をしていた。
「どうしたの?」
「ゆめを困らせようとしてた」
「いいよ、言ってみて」
多分、夏希がこういうなら本当に困ることなんだろうけど。
「…なんで、酷い男ばかり選ぶの」
「ん?」
…ああ、なるほど。たしかに前の私なら困ってた質問だ。でも、今ではノーダメージ。なぜなら今は夏希という最高のパートナーがいるから。
「なんでだったんだろうねぇ…破滅願望でもあったのかな」
「破滅願望って」
「そうとしか思えないほど男運なかったしねぇ…」
でも、そのおかげで今があると思えば。
「でも。…当時はあの野郎どもを恨んでたけど、今はそうでもないよ」
「なんで」
「今が幸せだからさ」
そう言えば夏希の目がまあるくなった。
「夏希を選ぶための回り道だったと思えば、まあ仕方なかったかなって。おかげで今幸せだし」
「え…」
「最終的に、夏希と一緒になれてよかったよ。ありがとう、夏希。酷い男ばかり選んでたのは否めないけど、最後に最高の人と一緒になれた」
気が早いけど、もう結婚もする気満々なわけだし最後の男認定してしまう。
夏希は何故か呆然としていて、今度は私がきょとんとする番。
「夏希?」
「僕は、ゆめが思うより悪い男かもしれないよ」
そう言った夏希はどこか苦しそうに見えた。
「夏希」
だからもう一回抱きしめた。
「え」
「こんなに私を幸せにしてくれる男が悪い男なの?」
「でも」
「夏希は自己評価低すぎ!…そもそも、もしも悪い男だったとしても酷い男じゃないだけ過去最高だし」
「ゆめ」
私のぼそっと言ったそれを夏希は目敏く拾った。
「…僕は悪い男だけど、ゆめを無理にでも繋ぎ止めちゃうような男だけど、ゆめをその分幸せにするから」
「ふふ、知ってる」
そういうところが、大好きなんだよ。
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