テレビ
「ただいまー!」
「おかえり、ゆめ」
「夏希もおかえりー!」
「ただいま、ゆめ」
家に帰ってきた。この家にもすっかりと馴染んだ私は、リビングに行ってテレビをつけた。
ソファーに腰掛けてぼーっとテレビを見ていると、夏希も隣に座る。
「あ、お笑い芸人」
「うん、グルメリポートだって」
「へえ、いいね」
夏希とそのままテレビを観る。行列のできるパンケーキ専門店の特集らしい。
「パンケーキと言えば、朝食べたの美味しかったー」
「そう言ってもらえて嬉しいよ。でも、このお店みたいなふわふわのスフレパンケーキもいいよね」
「今度一緒に食べたいね。でも行列がなぁ…」
「そうだね、並ぶのが億劫だね」
とはいえ、ふわふわのパンケーキを頬張る芸人さんの幸せそうな顔を見ると羨ましいとは思う。
「あ、次はオムライス専門店だって」
「へえ、ハンバーグを隠したオムライスか」
「明太子ソースもあるんだ」
次のオムライス専門店は、さらに食欲を刺激される。
「せっかくだし、今日の夕飯はハンバーグオムライスにしようか。明太子ソースがいい?デミグラス?トマトソース?」
「できるの!?」
「もちろん」
「じゃあトマトソースがいい!」
「お任せあれ」
ハンバーグオムライスが楽しみになったところで、次の特集にいくTV。
「次はチョコレート専門店かぁ」
「チョコレートも色々あるんだね」
「日本酒ってチョコに合うんだー」
「お酒を使ったチョコレートもいいよね」
芸人さんが、お酒を使ったチョコレートを食べる。度数の高いお酒を使っているらしく、すごく美味しいとのことだが若干芸人さんが顔を赤らめた。お酒に弱い芸人さんなんだろうか。
「ゆめも、会社でお菓子もらった時にはアルコールとか注意しなよ?意外なお菓子にアルコールが入っているかも」
「はーい、気をつけます!」
「アルコールの入ってるお菓子を食べるなとは言わないけど、ゆめは酒癖が悪いから僕がいるところで食べてね」
「はーい」
夏希の心配性が発揮されたところで、グルメ特集は終了。ニュースが流れ始めた。
「わあ、不倫騒動だって」
「まあ、この女優さんモテるだろうしね」
「他の人に触られて、違和感とかないのかな?好きな人の方がいいと思うけど」
「不倫相手が好きになっちゃったんじゃない?」
「それはそれでってかんじだね…」
綺麗な女優さんのスキャンダル。ちらりと夏希を見れば、興味なさそうに眺めていた。
…うん、夏希なら大丈夫。夏希なら、浮気なんてしないよね。
私の視線に気付いたのか、夏希がこちらをみてにこりと笑ってくれた。なんだか無性に安心した。




