いざデート
「夏希、今日予定ある?」
「ん、ないよ?今日も一日ゆめとずっと一緒に居られる。ゆめも予定ないよね?」
「うん、ないよ」
「じゃあ、デートしたいね」
「!!!…うん!」
同じこと考えてくれてたんだなぁと嬉しくなる。
「もしかして、ゆめもそのつもりでいてくれたの?」
「そうだよ!」
「…ああ、本当に嬉しい。幸せ過ぎる」
「大袈裟だよー」
「だって本当に嬉しいんだよ」
そう言って真っ赤になった顔を手で覆う夏希が可愛い。恋愛方面ではウブなのかな。こんな夏希を見るのは、今は私だけだと思うと嬉しい。
「ふふ、どこにデートに行く?」
「んー…ゆめと一緒ならどこに行っても幸せだからなぁ」
「もう、夏希ったら。…じゃあ、映画観に行く?」
「映画か。いいね」
にっこり笑う夏希。今日のデートは映画鑑賞に決まった。
そうこうしているうちに朝食を食べ終わる。
私が食器を洗って片付けて、夏希はその間洗濯物を干しておいてくれた。
「よし、食器の片付け完了!」
「こっちも洗濯物干せたよ」
「じゃあお化粧だけしちゃうからちょっと待っててね」
「うん」
夏希とのデートのため、気合いを入れてお化粧する。いつもより可愛くして、夏希に喜んで欲しいから。
ちょっと時間はかかったけど、お化粧もバッチリで髪も巻いた。夏希が喜んでくれたらいいな。
「夏希ー、デートの準備出来たよー」
「こっちもお出かけの準備できたよ、ゆめ…」
夏希は、おしゃれをした私を振り返って固まった。
「え、夏希?」
「…可愛すぎる」
ぽろっと夏希が溢した言葉をしっかりと拾う。
「ふふ、本当?嬉しい!」
「可愛すぎて、外に出したくない」
「え?」
「ゆめ、絶対僕のそばを離れちゃダメだよ。知らない奴に話しかけられてもついていっちゃダメだからね」
「わかってるよ?」
夏希ったら、過保護なんだから。でも、それはそれとして可愛すぎるって言われたのは良かったかな。心配性が発動するくらい、気に入ってくれたんだもんね。
「それより、早く行こ!」
「うん。手を繋いでいこうか」
「もちろん!デートだからね!」
「はは、そうだね」
手を繋いで外に出る。徒歩圏内に大きな映画館があるので、そのまま歩いて向かうことにする。
「夏希、今やってる映画で観たいものってどれ?」
「そうだなぁ…ホラーもいいかも。ほら、呪われた屋敷に迷い込む奴」
「…夏希に抱きついていいならいいよ」
「その時は喜んで。あとは、ゆめでも安心して観れるアニメ系映画もいいね。あのほのぼのとした恋愛モノの奴」
「ぜひそれにしよう!」
ホラーよりそっちがいい!と言えば夏希がクスクスと笑う。
「ゆめは変わらないね」
「なによー」
「そこが好きだよ」
そう言って笑う夏希に、なんだか胸がムズムズするような感覚になった。




