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監禁…?手錠…?

「んん…」


「起きた?おはよ、ゆめ」


「…夏希ぃ?おはよー、ふぁ…」


まだ眠い。けど、身体を起こそうとした。…ら、何故か両手に手錠。


「…?なにこれ」


「手錠だよ?」


「なんで?」


「ゆめを監禁するためだよ」


「…?ジョークだよね?」


???


「いや、僕は本気だよ」


「えー、またまたぁ」


「いや、本気」


まあ、そういうジョークなんだろう。今日の夏希はいつもよりノリがいいなぁ。どうせ鍵なんて掛かってないだろうし、適当にガチャガチャ手錠を弄る。


「あ、ダメだよ。そんなことしても外れないから」


「あ、外れた」


「え!?…あ、しまった、手錠の鍵掛け忘れた!?」


今日の夏希は元気だなぁ。


「ど、ど、どうしよう…」


「ねえ、それより夏希。ここ夏希の家だよね?酔っ払ってたの連れてきてくれたの?」


「…う、うん」


「ありがとー、この部屋初めて見るねー」


「う、うん。こ、好み?」


好みかと聞かれれば、それは。


「うん、この雰囲気好きだなぁ。夏希のセンスは相変わらずすごくいいね」


「そ、そっか。ならさ、ここに住めば?」


「え?」


「そ、そうだよ。煩わしい仕事も辞めてさ。ここに住みなよ!」


「仕事辞めるのは無理」


ばっさりと切れば、夏希は肩を落とす。


「だ、だめかぁ…」


「うん、でもここに住むのはアリだよね。必要なものだけ移してさ」


「え」


「だって私たち、これから付き合うでしょ?」


私が首を傾げて聞けば、夏希は顔を上げた。


「え!?い、いいの!?」


「え、そのつもりで昨日したんじゃないの?」


「そ、それはそうだけど!」


そう、昨日の夜私は夏希と一夜を共にしたのだ。


「じゃあいいじゃん。昨日すごく気持ち良かったし、なんか忘れられそうにないし…夏希のこと、結構好きだし」


「え!?」


ぱあっと明るくなる夏希の表情に、頭にはてなを浮かべつつも告げる。


「お互い、恋愛感情なんてそのうちついてくるでしょ。ずっと一緒にいたから気心も知れてるしさ」


「…ああ、幼馴染として好きってこと」


また夏希は肩を落とす。気分ジェットコースターだね。


「これからよろしくね、彼氏さん」


「んー…うん、よろしく…」


複雑そうな顔に、またはてなを浮かべた私に夏希はいつもの笑顔を見せてくれる。


「…ともかく、お付き合いして同棲してくれるのは嬉しいよ。…監禁できないのは残念だけど」


「え?」


「ううん、なんでもない。朝ごはん、準備してくるね。その後同棲の準備しにゆめのおうち行ってこよう?夜はまた二人で過ごして、仕事は…ゆめは明後日からだよね。なら明日はゆっくりイチャイチャしようね」


「うん、じゃあそーしよー!夏希のご飯楽しみー!」


私が万歳をすれば、夏希はくすくすと笑う。


「とりあえず、白米と味噌汁と…味噌汁の具は?」


「豆腐とわかめー!」


「ん、あと焼き魚と小鉢をいくつかでいいかな。ちょっと待っててね」


「あ、待って、お風呂借りていーい?」


「いいよ。タオルと着替えはこの部屋のタンスに入ってるのを好きに使って」


言われてタンスを確認したら、明らかに新品のものをそのまま封だけ切って突っ込んだ感じのがたくさん入っていた。タオルは新品だから清潔だし、着替えはサイズも見た目の好みも私ぴったり。


「…なんで?」


「なにが?」


「新品ばっかり。それも好みでサイズぴったり」


「…ゆめがいつ遊びにきてもいいように準備してたの」


ぽろっと、夏希がこぼした。何故か気まずそうな夏希だが、私としてはふつうに嬉しい。


「え、本当!?ありがとう!さすが夏希!」


「う、うん」


「じゃあお風呂借りまーす!」


「ど、どうぞー。シャワーだけじゃ風邪引くから入浴もするんだよ」


「はいはーい」


そんなこんなで、私たちは付き合うことになった。

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