何もない夜
「夏希ー、お風呂上がったよー」
「はーい」
あれから、私たちはのんびりと何もない一日を過ごした。あとは明日に備えて眠るだけ。
「じゃあ僕も入ってくるね」
「うん」
「それでさ、今日…一緒に寝ない?」
「え?」
「えっちとかは無しでさ。抱きしめあって寝ようよ」
…ふむ。なんか恥ずかしい気もするけど。
「…うん、いいよ。くっついて寝よ」
「うん!じゃあ待っててね」
まあ、子供の頃の延長だと思えば大丈夫。
「上がったよー」
「じゃあ寝よー」
「うん!」
二人でベッドに寝っ転がる。シーツも変えたふっかふかのお布団で二人で抱きしめあって横になると、何故かとっても満たされた気持ちになる。
「なんかこうしてると落ち着くねー」
「…そうだね」
「不思議と満たされた気持ちになるよー」
「本当っ!?」
パッと笑顔になる夏希。
「僕に抱きしめられると幸せ?」
「うん、やっぱりこの腕だよなーって感じ」
「ふふ、ふふふふふふ」
「え、なに」
「僕も幸せっ!」
ぎゅうぎゅうと抱きしめられて、苦しいけど楽しくて胸が弾む。
「ふふ、もう!夏希ったら私がいないとダメなんだから!」
「そうだよ、僕はゆめがいないとダメなんだよ。ずっと一緒にいてね」
「うん、ずっと一緒にいようね」
「ゆめも僕がいないとダメになってね」
「ええ…」
それはちょっと。
「む、ダメか」
「ふふ、ダメでしょ」
「でもずっと一緒だからまだいいか」
「まだじゃなくてこの先もダメだって」
くすくす笑う私に、夏希はちょっと不満そう。
「本気で依存してくれていいのに」
「依存はダメでしょ」
「僕はゆめに依存してるよ」
「またまたぁ。ふふ、でも夏希が私に依存する分には問題ないかな?だってずっと一緒だしね」
私がそう言えば、夏希はまたパッと笑顔になる。
「ゆめー!愛してる!」
「はいはい、私も夏希が大好きだよ」
この愛してるや大好きも、いつか恋愛感情のそれになるのかな、なんて。
「…そうなるといいなぁ」
「?」
「なんでもないよ。そろそろ寝よっか」
「うん、このまま引っ付いて寝ていいんだよね」
「うん、このまま寝よ…ふぁぁ」
夏希の匂いに包まれて、夏希の腕の中で目を瞑る。
「…おやすみ、ゆめ」
「おやすみ…」
「このまま癖になって、僕がいないと眠れないくらいになってね」
「んー…」
「ふふ、可愛い」
そっとおでこに、キスをされた気がした。
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