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シルビアのこれから

「「お師匠様!一生ついていきます!」」


あたしは声に出して叫んでいた。本にしか書かれていない伝説の魔法を、グリーンさんは事もなげにやって見せたのだ。しかも試しにとか言って。それなのに、この方は事の重大さを全く分かっていないみたいで。


「是非!お試しであたしを使ってください。一応計算も出来ますんで!」


「シルビアさんって言ったっけ。困ったな・・雇うって言っても、お金ちゃんと払えるか分からないよ?収入も安定していないし」


「だったら、あたしが営業でもします!散々やらされましたので!」


「やらされた?」


やばい!これは言わないでおこうと思っていた事だ。だけど言わないと誤魔化しきれない。


「以前、何処かで働いていたの?もしかして・・?」


「ごめんなさい。あたし、隣町の治療院で働いていました・・黙っているつもりはなかったんですけど・・」


あたしは目を反らした。ここに来たのは就職先を探すため。以前いた治療院の院長がグリーンさんを殺そうとしていたらしい。そんな物騒な店にいたとなれば、きっと雇ってもらえないだろう。


グリーンさんは少し驚いていたようだったけど。


「分かった雇うよ。だけどお給料はどのくらい出せるか分からないけどいい?」


「あ、有難うございます」


あたしはグリーンさんに頭を下げる。真実を知ってもあたしを雇ってくれる。本当に感謝しかなかった。


「良かった・・」


治療院が廃業になった時は、どうしようかと思っていたけれど・・。


「今度の所はどうだろう。またこき使われるのかな・・」



**



家に戻り、燭台に火をともした。あたしはガラ町で一人暮らしをしている。

昔、親に言われたことを思い出していた。


「あんたはグズだね。何にも出来ないくせに」


毎日のように母親に罵倒を浴びせられた。あの頃は母親のいう事が正しいと思い込んでいた。小さい頃からいつも言われていたからだ。気に入らないと殴られた。あたしはいつも怯えていた。


そのうち、殴られたアザを自分で治せるようになっていた。最初はよく分からなかったけれど。後になってこれは魔法というものだと知った。


ある深夜、両親の声が聞こえてきた。


あの子(シルビア)を売ってしまおう。もういい年齢だ、あれは金になる・・」と


あたしが15歳になった頃の事だった。偶然聞いてしまい、怖くなって家からこっそり逃げ出した。最初は大変だったけど、何とか働けるようになり生活できるようになった。たとえ職場でこき使われていても、暴力は振るわれなかったから。


あれから5年が経っていた。


「あの頃よりだいぶマシね。仕事も決まったし、これで何とか生き延びられる」


あたしは両腕を上にあげて、体を思い切り伸ばした。

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